国際親善の3カ国対抗スウェーデン招待に出場した「なでしこジャパン」が22日、成田空港着の航空機で帰国した。米国に4失点惨敗、スウェーデンに辛勝という消化不良の結果を受け、佐々木則夫監督(54)は現地宿舎、航空機の乗り継ぎ地、帰国後の成田空港で全選手と相次いで緊急の個人面談を実施。至上命令の金メダル獲りへ、危機感を募らせた。
金メダル奪取へ向け不安を残す結果となったスウェーデン遠征。そんな危機を脱出すべくW杯優勝監督は、すでに打つべき手を打っていた。景観の美しいイエーテボリのリゾート宿舎、トランジットのパリ・シャルルドゴール空港、長旅から到着した成田空港…。佐々木監督は時と場所を選ばず、全選手と個人面談を実施したことを明らかにした。
「改善しないといけないことを選手が感じているか確認したかった」。なぜ、特長を出し切れなかったのか? 1人10〜30分間、個別の課題や修正点をみっちり“聴取”。「惨敗して得るものが多かった」(佐々木監督)という立ち上がりの入り方、ロングボールへの対処法など、反省点を共通理解として深めることで次の一手の効果を高めたい狙いがあった。
佐々木監督は「思うようにいかなかったことがないと(改善に向けて)腰が上がらない。負けて学ぶことがある」。座右の銘「日々是道場」の通り、脳裏にはすでに修正プランが描かれている。
7月の五輪直前合宿では、男子大学生を相手にロングボールや高さ、パワー対策を徹底していく方針。米国のFWワンバック、モーガンにやられただけに、指揮官は「悔しいから『仮想アメリカ』もつくってやる」と宿敵への敵対心をむき出しにした。北欧で味わった苦い教訓を生かし、金メダル奪取へ臨戦態勢を整える。 (松岡祐司)
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