欧州選手権のチェコ戦で決勝ゴールを決め喜ぶポルトガルのロナルド=ワルシャワで(AP=共同)
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◇欧州選手権2012<第13日> ポルトガル1−0チェコ
▽21日、ワルシャワ(ポーランド)▽準々決勝▽ペン・工藤拓、原田公樹
ロナルドの一撃で2大会ぶりのベスト4進出だ!! ポルトガルは後半34分、右からのクロスをFWクリスティアーノ・ロナルド(27)がダイビングヘッドで決め、そのまま1−0で押し切った。ロナルドは2戦連発の大会通算トップタイの3点目。チェコは守備に追われゴールを脅かすことができなかった。ポルトガルは、スペイン対フランスの勝者と27日(現地時間) の準決勝で対戦する。
準決勝進出が決まった瞬間、ロナルドは5万8145人の大観衆の前でこん身のガッツポーズ。直後に「ウォ〜」と雄たけびを上げた。左腕のキャプテンマークを外し、主将の重責から解き放たれると、満面の笑みで次々とチームメートたちと抱き合った。
「僕たちの最大の目標は決勝へ進むこと。すばらしいチームメートに恵まれ、いまその確率は五分五分まで来た。ただ信じるだけだ」。マン・オブ・ザ・マッチに選ばれたロナルドは力強くそう宣言した。
序盤は苦戦したが、エンジンがかかった20分すぎからロナルドはチェコにシュートの雨を降らせた。前半終了間際には、体を巧みに反転させシュートを放ったがポストを直撃。後半4分のFKもポストにはじかれた。ようやくゴールをこじ開けたのは同34分だ。右クロスに中央でFWアルメイダがつぶれた背後から、オールバックの頭で豪快なダイビングヘッド。この価値ある一撃でポルトガルを準決勝へ導いた。
「多くの得点機を作った。完璧なゲーム。準決勝へ進める力はあると信じていた」。地元開催の2004年大会で当時19歳だったロナルドは2得点を決めたが、決勝でギリシャに0−1で惜敗。ポルトガル代表史上、初の栄冠を逃し、じだんだを踏んだ。以来、スーパースターの道を歩みクラブレベルでは、いくつもの栄冠に輝いたが、代表ではいまだ無冠。ファンの不満はロナルドに向けられ、お金になるクラブでの試合でしか力を発揮しない−とやゆされることもあった。
まさにそんな汚名返上の今大会3得点目。「僕たちは成熟した。戦う準備はできている」。悲願のVまであと2勝。ロナルドはポルトガルのため、そして己のため死力を尽くす。
試合終了のホイッスルが鳴ると、チェコの選手たちはピッチに倒れ込んだ。健闘むなしく無念の完封負け。しかしサポーターは万雷の拍手を送り限界まで走り続けた選手たちをねぎらった。
豊富な運動量による全員守備で抵抗したが、最後に力尽きた。攻撃では司令塔ロシツキーの故障欠場が響き最後まで決定機をつくれなかった。枠内シュートは1本もなし。「チェコのメッシ」と呼ばれるMFピラジもDF2人を抜き去った後半14分のシーン以外は見せ場がなかった。
ビレク監督は「選手たちはいいプレーをしてくれたと思う。試合終了直後は失望感でいっぱいだったが、冷静に考えるとポルトガルの方が強かった。力の差があった」と完敗を認めた。
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