“出生率”の算出に疑問提起6月23日 1時44分
1人の女性が産む子どもの数の指標になる「出生率」について、国勢調査のない年の都道府県別の統計には、計算の基となる日本人女性の数に多くの外国人が含まれていて、実態を正確に反映できていないとする調査結果を東北大学大学院の研究グループがまとめました。
1人の女性が一生のうちに生む子どもの数の指標になる「出生率」は、厚生労働省が「1年間に生まれた日本人の子どもの数」を「15歳から49歳の日本人の女性の数」で割って算出し、毎年、公表しています。
ところが、この計算方法を東北大学大学院の研究グループが調査したところ、国勢調査が行われない年の都道府県別の統計には、分母となる女性の数に多くの外国人が含まれていて、出生率が実態よりも低い値になっているということです。
これは、厚生労働省が総務省から提供される外国人を含んだ人口推計のデータを、そのまま使っていたのが原因だということです。
国の公表値では、国勢調査がなかった去年はおととしと比べて、37の都道府県で出生率が低下したとされていましたが、研究グループが外国人を除いて計算し直すと、39の都道府県が上昇か横ばいで、大きく異なる結果になったということです。
調査を行った東北大学大学院の吉田浩教授は、「出生率は各地の自治体が少子化対策や子育て支援の効果を見るのに必要なデータなのに、実態を反映していないのは問題だ」と話しています。
この調査結果について厚生労働省は、「総務省から提供されている、基となるデータに外国人の数が含まれているので、しかたがなかった」と話しています。
一方、総務省は、「外国人が少なかった昔からの慣例で、都道府県別のデータには外国人の女性の数も含まれていた。厚労労働省側から見直しの要望があれば検討したい」と話していて、今後、国勢調査がない年の都道府県別の出生率について統計の取り方を改めるよう求められそうです。
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