京滋企業「影響は甚大」 計画停電体制発表
関西電力の計画停電の発表を受け、京都、滋賀の企業が対応を急いでいる。一時閉店を検討する小売業者や在庫を積み増すメーカーもあり、停電が実施された場合の影響を最小限に抑える方策を探っている。
■製造業
電子部品向けなどの銅箔を製造する福田金属箔粉(はくふん)工業(京都市山科区)の生産設備は停電で一度停止すると再稼働に2~3日、安定稼働に1週間かかる。自家発電設備をフル稼働させても全電力は賄いきれず「影響は甚大」(坂本善尚取締役)という。現在、金属箔の生産を通常より1~2割増やし、在庫積み増しを急ぐ。中国の工場から金属箔の融通を受ける措置も視野に入れている。
■小売店
大丸京都店(京都市下京区)は「停電になれば一時閉店せざるを得ない」とする。停電2時間に加え、来店客の退館や商品の点検などで前後1時間ずつも営業できないと想定。生鮮食品は山科店(山科区)などに移す。
京滋で計1080店を展開する大手コンビニ3社は、停電中も基本的に営業する。ローソンは入荷量確認で使う小型端末をレジとして活用。保冷剤で冷凍商品を冷やす措置も検討中だ。ファミリーマートは冷凍商品の販売をやめ、来店客の安全確保が難しくなる場合は「一時的な休業もあり得る」。セブン-イレブンは緊急用蓄電池で営業を続ける。
京都の台所「錦市場商店街」(中京区)の宇津克美理事長は「停電で閉店するから早く来店してとお客には言えない」と苦慮し「錦には観光客も多く、京都観光にも大打撃となる」と話す。
■市場
京都市中央卸売市場第一市場(下京区)には鮮魚や青果の冷蔵施設が6カ所(延べ8300平方メートル)ある。毎年2月に日中に電気を止めて点検している経験から、林真佐男次長は「扉を開閉せず冷気を外に逃さなければ乗り切れるのではないか」とみる。マイナス50度まで下げられる冷蔵庫を管理運営する京都全魚類卸協同組合の石塚伸二冷蔵庫部長も「2~3時間なら何とか大丈夫だろう」と話す。
市場では午前5時半に競りが始まり、仲卸店は昼ごろまで営業するため支障が出る恐れがある。前日の実施発表では在庫整理やいけすの非常用電源の用意も間に合わない。林次長は「昨年、東京の築地市場は計画停電区域から外れており、実施されれば市場として初めてとなる。業界団体と対策を練りたい」とする。
■金融
京都銀行は営業エリアを分け、ブロックごとに少なくとも1店舗は自家発電で営業できる体制を整える。軽油約190リットルで8~9時間発電できる装置で、新改装時に整備を進めて61店に導入済みだ。今後2年ほどで100店に増やす予定で、7月2~6日に計画停電の訓練もエリアごとに行う。高﨑秀夫頭取は「お客に多少不便をかけるが、近隣の店に行けば取引ができる体制を整えたい」としている。
【 2012年06月22日 22時30分 】