米調査機関ピュー・リサーチ・センターは19日、「アジア系米国人の台頭」と題する報告書を発表、 米国ではアジア系の人口が最も急速に増加していると指摘するとともに、教育水準でも収入でもアジア系が最も高いことを明らかにした。
それによると、アジア系の人口は1980年から2010年の間に4倍の約1800万人に達し、総人口に占める比率は6%となった。アジア系のほとんどは、中国、インド、日本、韓国、フィリピン、ベトナムの6カ国がルーツで、米国人全体に比べると結婚、しつけ、勤勉、職業を重視し、一般的な米国の親は子供に甘過ぎるとみていることも分かった。調査では、アジア系の5分の3が、米国の両親は子供を高学歴を得るよう厳しくしつけていないとみている。
報告書は215ページに及ぶもので、全米50州から抽出した3511人を対象に調査するとともに、米国勢調査の経済・人口データを分析した。
アジア系のうち大学卒者は半分で、米国民全体の36%を上回り、家計の年間平均収入は6万6000ドル(約520万円)で、これも全体の4万9000ドルに勝っている。またアジア系は、米国民全体よりも既婚が多く、3世代以上同居している家も多いようだ。両親により育てられる子供の比率も多そうだという。
報告書の編集に当たったピュー・リサーチのポール・テイラー執行副社長は、「アジア系は技能が非常に高い21世紀型の労働力である一方、伝統的な価値観を継承している」と指摘。さらに「アジア系はほとんどが第1世代の移民で占められているが、教育水準は高く社会経済的に成功の基準を超えている」と述べる。テイラー氏によれば、アジア系の4分の3は外国生まれ。
アジア系の移民はここ数年増加テンポを速め、移民第1位 の座をヒスパニック系から奪った。07年にはヒスパニック系移民が54万人だったのに対し、アジア系は39万人だった。しかし10年にはアジア系が移民全体に占める比率は約36%となり、ヒスパニック系の31%を上回った。
ヒスパニック系は不法移民を含めブルーカラー職に就くことが多く、近年国境警備の厳格化とともに、米建設業界の不振から増加率が減速している。これに対しアジア系は、主として学生ビザや就労プログラムで入国しており、高学歴で、IT業界など成長産業に就職する。
報告書は、こうした傾向は続き、2050年にはアジア系の人口は4100万人と、現在の倍以上に増加すると予測している。