2012/01/20 更新
[東京証券取引所]
以下のとおり、監理銘柄(審査中)指定を解除するとともに、上場契約違約金の徴求及び特設注意市場銘柄の指定を行うことにしましたので、お知らせします。
1.銘柄 |
オリンパス株式会社 株式 (コード:7733、市場区分:市場第一部) |
2.監理銘柄(審査中)指定解除日 | 平成24年1月21日(土) |
条文 |
有価証券上場規程第601条第1項第11号a (有価証券報告書等に虚偽記載を行い、かつ、その影響が重大であると当取引所が認める場合に該当しないと判断されたため) |
3.上場契約違約金金額 | 1,000万円 |
条文 |
有価証券上場規程第509条第1項第1号 (当取引所が、開示を行う場合の遵守事項に違反したと認める場合であって、当該上場会社が、当取引所の市場に対する株主及び投資者の信頼を毀損したと認められたため) |
4.特設注意市場銘柄指定日 | 平成24年1月21日(土) |
条文 |
有価証券上場規程第501条第1項第1号 (当取引所が、上場廃止基準に該当しないと認めた場合であって、当該上場会社の内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められたため) |
5.理由 |
オリンパス株式会社(以下「同社」という。)は、平成23年12月6日、第三者委員会から受領した調査報告書の内容を踏まえ、有価証券報告書等の訂正報告書を提出する予定であることを開示しました。これを受けて、当取引所は、その訂正内容が重要と認められる相当の事由があり、同社株式については、虚偽記載に関する上場廃止基準に該当するおそれがあると判断して、同日、監理銘柄(審査中)へ追加指定(注)しました。その後、同社は、平成23年12月14日、平成19年3月期から平成24年3月期第1四半期までの有価証券報告書等の訂正報告書を提出しました。 本件は、金融資産の運用により生じた多額の含み損を、本来はそれを財務諸表に計上すべきであったにもかかわらず、連結対象外の複数のファンドを利用するなどの方法で隠蔽し、純資産の過大計上を長期間にわたり継続したものです。さらに、同社は、企業買収の機会をとらえて、株式の買取代金や仲介者への手数料を過大に支払い、その支払額をファンドに送金して損失を埋めるとともに、財務諸表上は「のれん」の償却等を通じて含み損の解消を図ったものと認められます。これらは、歴代の代表取締役の了知の下で、経理・財務又は経営企画を担当する取締役等が関与し、管理部門の限られた幹部社員の主導によって、数名の社外関係者の協力を受けて巧妙な手法を用いて行われました。その結果、不適切な会計処理が継続し、判明した連結純資産の訂正は、最大で1,235億円にのぼるものとなりました。 一方で、一連の行為は、会社組織としての関与が認められるものの、その発端となった損失の発生やその後の隠蔽行為は、一部の関与者のみによってなされたものでした。また、これらは同社本来の主たる事業部門とは直接的に関係せずに、その事業の経営状況には影響が及ばない形で進められたものであり、不適切な会計処理は、売上高や営業利益には概ね影響していませんでした。 本件虚偽記載の内容については、財務諸表への影響は長期間に及んでいたものの、同社の事業規模を踏まえれば、その利益水準や業績トレンドを継続的に大きく見誤らせるものであったとまではいえず、同社の本業における経営成績を拠り所とした市場の評価を著しく歪めたものであったとまでは認められませんでした。このため、上場廃止が相当であるとする程度まで投資者の投資判断が著しく歪められていたとは認められませんでした。 以上のように、本件虚偽記載の影響の重大性について総合的に勘案すると、上場廃止が相当であるとまでは認められないことから、同社株式について、監理銘柄(審査中)の指定を解除することとします。 ただし、本件については、代表取締役を含む複数の取締役が関与していたうえ、監査法人からの指摘に際して損失の隠蔽が発覚するのを逃れるために虚偽の説明を行い、結果的に、多額の訂正が必要な事態を招いているなど、当取引所市場に対する投資者の信頼を毀損したと認められることから、同社に対して上場契約違約金の支払いを求めることとします。 また、同社においては、企業買収に係る取引等の必要性や妥当性について十分な検討がなされていなかったなど、経営者の業務執行を監督すべき取締役会及び監視すべき監査役会が有効に機能しておらず、コーポレート・ガバナンスが不全であったと認められます。さらに、管理部門の一部におけるコンプライアンス意識が著しく欠如するとともに、重要な資産の管理業務に係る体制・運用に不備があったこと等が認められます。このように、同社の内部管理体制等については、改善の必要性が高いと認められることから、同社株式を特設注意市場銘柄に指定することとします。 (注) 同社が平成23年11月10日に四半期報告書を法定提出期限までに提出できる見込みのない旨の開示を行ったことから、同社株式を同日付けで監理銘柄(確認中)に指定しました。このため、本件では、監理銘柄(審査中)として追加で指定することとなりました。なお、同社が平成23年12月14日に四半期報告書を提出したため、平成23年12月15日付で、監理銘柄(確認中)の指定を解除しています。 |
株式会社東京証券取引所 上場部上場会社担当
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