隠すほどの爪なら無い

旧名「だいぶつのブログ」。統合医療、代替医療、メンタルヘルス、うつ病、栄養療法、スマホ、電子マネー、IT技術…。日々の「気づき」を、いまさらながらに綴ります。

【統合医療】統合医療への道は遠い

NATROM氏と話をして、やはり統合医療への道は遠いのだな、と感じざるを得ませんでした。

「幸せなお産」の件に関しては、予想通りと言うべきか問題の「出産後死亡」の件で帝王切開の方が良かった、その医学的根拠などと言ったリプライをいただきました。

その点に関して私が異論を持っていないと言うことについても、Twitterをごらんになった方ならご存じの通りです。

8人に1人が死産というのは、私が千分率を百分率と間違えてしまったために起きたミスであって、本当は80人に1人です(ここ数年の平均で行けば、です)。元々私は「死産や出産後死亡」が普通にある、と言っていたのですから、死産と出産後死亡を混ぜています。そして、この数字は十分「普通にある」と言って差し支えないレベルでしょう。

もちろん、私はこの手の統計数字を扱うのには慣れていません、山川という人から根拠を出せと執拗に迫られたので、やむを得ず出しただけですし、間違っているなら訂正してくれればいい話なのです。

というか、医師ならその程度の数字は最初から出すのが筋でしょう。でなければ、横レスなどしなければいいことです。

考えても見てください。80人に一人が死産と言うことは、今新生児は1分に2人生まれているんでしたっけ?(ちゃんと調べてないのでつっこまないでください)つまり30秒に1人生まれているわけですから、80x30=2400秒=40分に1人は死産という計算になります。日本のどこかの「近代医療」の病院で、一日あたり何十例と「死産」があるわけで、これは「普通」でしょう。

さて、その「普通」にある「近代医療」の病院における死産を、ことさらセンセーショナルに、「近代医療の暗部」とか言ってスクープすることも、それほど難しいことではないでしょうし、実際にそういう話も過去にニュースになったことがあります。

これを持って近代医療がどうこうとかマスコミがどうこうといったしょうもないインネンをつける気はなくて、NATROM氏の記事はそういうものに対する一種の「復讐」なんじゃないかと思うわけですね。つまり、本人はいたって論理的・科学的な批判と思っているようですが、実際には感情的なのではないかと思うわけです。

感情的な批判を私は否定するものではありませんが、論理的・科学的な論調で痛烈な批判を行うNATROM氏と、それに諸手を挙げて賛同する「信者」の方々に、私はNATROM氏が吉村医院に感じたであろうと同種の「気持ち悪さ」を感じてしまうのです。

そこには「なぜ代替医療がポジティブに報道されるのか」といったことに対する考察が、そっくり欠落しているのです。

しかし、どうやらあのやりとりで、近代医療と代替医療の間の溝は、私が思っているよりもずっと深くて暗いのだと言うことを思い知らされました。

私が一度世話になった整体師の方にも「連中とは絶対に関わるな」と言われていたのです。

実直な整体師の過去に何があったのか、私には知るよしもありません。しかし、今回のやりとりで何となく分かった気もします。

しかし、私はへそ曲がりですし、自分で確かめないとよく分からないという性分もあり、一度試してみることにしました。彼らが「自分自身の無意識的無謬性」を知る努力を、どれだけしているかと言うことをです。

結果としては、たぶん全くしていないと言うことが分かりました。

「無意識的な無謬性」に対して「それは間違い」と言いきるNATROM氏。しかし「吉村医院より近代医療の方がいい」。こういうのを無意識の無謬性というのであって、この文脈そのものが私から見れば矛盾しています。

しかし、それは無意識になるものですから、自覚するのはまだまだ難しいかもしれません。

やはり、統合医療への道のりはかなり長いのだと思わずにはいられませんでした。
関連記事
[ 2012/06/20 00:00 ] 統合医療 | TB(1) | CM(5)
明らかなダメな例を擁護するのは悪手ではないですか
>その事例についての議論は終わっているという認識です。

「議論は終わっているという」というのは、「医療ミスによって新生児が死亡したのに、吉村医院の医療ミスを認識せず、命を助けてくれた高次医療機関の看護師を批判するのはおかしい」ということに同意されたという意味でしょうか?


>私が取り沙汰したいのは、NATROMさんが自分自身に対して同じ批判をされた場合、どう反応するのかという点です。

「同じ批判」というのがどういう意味なのかわかりかねます。もし私が医療ミスをしたら、吉村医院と同じように批判されて当然だと考えますが。


>もちろんおかしいと思います。そういう教育を受けているから。

同様に吉村医院の「病院側のミスで新生児が死亡したのに「他の病院のように帝王切開をするのは罪悪だ。児頭骨盤不均衡でも経膣分娩を試みるのが正しい」などと言っている遺族」というケースも、だいぶつさんはおかしいと思うのですよね?


>私がそのセリフを言う前からNATROMさんは自然分娩を批判しているように見える記事を書いていたわけですが。

だいぶつさんがそのセリフを言う前から、ダメな代替医療を行う医師を「人を診ようと努力する医師」などと擁護する人たちがいたわけですが。


>> 標準医療を推進する立場の人で、明らかにダメな例を擁護する人を私は知りません。というか、明らかにダメな例を擁護するのは定義上標準医療を推進する立場にはなりません。
>わたしは標準医療を推進する立場ではありません。

だいぶつさんが標準医療を推進する立場だとは思っていません。統合医療を推進する立場ですよね。「統合医療を推進するなら吉村医院のような明らかにダメな例を擁護するのはまずいのではないか。明らかにダメな例を擁護するようなだいぶつさんのような人がいるから、統合医療がいつまでも推進されないのではないか。だいぶつさんが統合医療推進の足を引っ張っているのではないか」と私は言ったのですよ。

だいぶつさんは標準医療に批判的ですが(本当はだいぶつさんが「標準医療」だと誤解しているものに批判的に過ぎないのですが)、でも少なくとも、標準医療については明らかにダメなものは排除される仕組みになっています。統合医療はそのような仕組みはありません。だから、吉村医院やホメオパシージャパンのように明らかにダメなものが混じってくるのです。

統合医療を推進したいのなら、明らかなダメな例を「標準医療でも死産があるだろ」と擁護するのは悪手です。怠慢による血液型不適合輸血による医療ミスを、「きちんとクロスマッチしても死ぬことは普通にあるだろ。たった一例をとやかく言うな」と擁護しているようなものです。
[ 2012/06/22 08:51 ] [ 編集 ]
Re: 何が「気味の悪い」のか?
> 私が紹介した事例はそうではありません。そもそも(遺族も医師本人も)医療ミスであることを認識しておらず、それどころか命を助けてくれた高次医療機関の看護師を「目が死んでいる。心が死んでいる」とまで批判しています。だいぶつさんはおかしいとは思わないのですか?

その事例についての議論は終わっているという認識です。私が取り沙汰したいのは、NATROMさんが自分自身に対して同じ批判をされた場合、どう反応するのかという点です。

> 病院側の輸血ミスで家族が死亡したのに「他の病院のようにクロスマッチをするのは罪悪だ。血液型を確認せずに輸血をするのが正しい」などと言っている遺族がいたら、だいぶつさんはどうお考えですか?

もちろんおかしいと思います。そういう教育を受けているから。

> 「自然分娩という選択肢があってもいい」と私は繰り返して言っていますが、自然分娩に批判的な人の気持ちも私は理解できます。なぜなら、吉村医院のような明らかにダメな事例に対する批判に対して「病しか診ない医師が人を診ようと努力する医師を一事をもって非難する資格がない」などと言っちゃう人がいるからです。

私がそのセリフを言う前からNATROMさんは自然分娩を批判しているように見える記事を書いていたわけですが。

> 標準医療を推進する立場の人で、明らかにダメな例を擁護する人を私は知りません。というか、明らかにダメな例を擁護するのは定義上標準医療を推進する立場にはなりません。

わたしは標準医療を推進する立場ではありません。

> 「統合医療への道のりはかなり長い」として、それはいったい誰の責任なのかをご自覚されたほうがよろしいかと思います。「自然派とかマクロビとかなんてダメなんだよ」という人は、だいぶつさんの記事も援用できるでしょう。

人類全員の責任と考えています。
[ 2012/06/21 16:47 ] [ 編集 ]
何が「気味の悪い」のか?
>そう、おっしゃる通り吉村医院で起こったことは医療ミスだったのではないでしょうか。「気味の悪い」ものではないのではないでしょうか。

「確かに医療ミスはあったが、それまでは先生に良くしていただいたので、責める気にならない」ということであれば、これは理解できます。しかし、私が紹介した事例はそうではありません。そもそも(遺族も医師本人も)医療ミスであることを認識しておらず、それどころか命を助けてくれた高次医療機関の看護師を「目が死んでいる。心が死んでいる」とまで批判しています。だいぶつさんはおかしいとは思わないのですか?

病院側の輸血ミスで家族が死亡したのに「他の病院のようにクロスマッチをするのは罪悪だ。血液型を確認せずに輸血をするのが正しい」などと言っている遺族がいたら、だいぶつさんはどうお考えですか?


>元の記事の文脈が自然分娩信仰的なものへのアンチテーゼ的に書かれていたため、私を含め、それが自然志向忌避的なものと受け取られた可能性についてはどうでしょうか。
>一部には「だから自然派とかマクロビとかなんてダメなんだよ」という持論のために先生の記事を援用する人もいるようです。

「自然分娩という選択肢があってもいい」と私は繰り返して言っていますが、自然分娩に批判的な人の気持ちも私は理解できます。なぜなら、吉村医院のような明らかにダメな事例に対する批判に対して「病しか診ない医師が人を診ようと努力する医師を一事をもって非難する資格がない」などと言っちゃう人がいるからです。標準医療を推進する立場の人で、明らかにダメな例を擁護する人を私は知りません。というか、明らかにダメな例を擁護するのは定義上標準医療を推進する立場にはなりません。

「統合医療への道のりはかなり長い」として、それはいったい誰の責任なのかをご自覚されたほうがよろしいかと思います。「自然派とかマクロビとかなんてダメなんだよ」という人は、だいぶつさんの記事も援用できるでしょう。
[ 2012/06/21 08:52 ] [ 編集 ]
おっしゃる通りです
吉村医院を擁護しているつもりは全くないのですが、先生のおっしゃる

> 私は、「普通にクロスマッチしろよ。医療ミスだろ」と思います。吉村医院に対して、「普通に帝王切開しろよ。医療ミスだろ」と思うのと同じように。

と言うコメントに関しては普通に共感できます。

そう、おっしゃる通り吉村医院で起こったことは医療ミスだったのではないでしょうか。「気味の悪い」ものではないのではないでしょうか。

元の記事の文脈が自然分娩信仰的なものへのアンチテーゼ的に書かれていたため、私を含め、それが自然志向忌避的なものと受け取られた可能性についてはどうでしょうか。
一部には「だから自然派とかマクロビとかなんてダメなんだよ」という持論のために先生の記事を援用する人もいるようです。

ちなみに、私は、自分自身の無謬性を信じません。自分は常に間違っていると思っています。
[ 2012/06/20 09:29 ] [ 編集 ]
血液型不適合輸血も擁護できますよね
吉村医院のケースは死産ではなく早期新生児死亡であり、約1200人に1人であるという指摘をなかったように扱うのは誠実と言えるでしょうか。それから、自分自身の無意識的無謬性」を知る努力を、だいぶつさんはされていますか?

吉村医院のケースは、標準的な医療水準では普通に行われているリスクを減らすために手段があるにも関わらず、その手段を講じることを怠ったことにあります。実は、8分の1であろうと1200人の1であろうと、本質的な問題ではないのです。

別の例を挙げましょうか。出血多量の患者に対して、きちんと血液型を確認して輸血を行うべきなのにそれを怠って、血液型不適合輸血を行い、患者は死亡しました。マスコミに漏れたら医療ミスだとスクープされる事例です。その病院に対する「出血多量患者は標準医療を受けても死ぬことは普通にある。いったいなぜそういう事例は報道しないのか」という擁護と、だいぶつさんの吉村医院に対する擁護は論理的に同じですが、いかがでしょうか。

私は、「普通にクロスマッチしろよ。医療ミスだろ」と思います。吉村医院に対して、「普通に帝王切開しろよ。医療ミスだろ」と思うのと同じように。
[ 2012/06/20 08:55 ] [ 編集 ]
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック:
この記事のトラックバック URL

まとめtyaiました【【統合医療】統合医療への道は遠い】
NATROM氏と話をして、やはり統合医療への道は遠いのだな、と感じざるを得ませんでした。「幸せなお産」の件に関しては、予想通りと言うべきか問題の「出産後死亡」の件で帝
[2012/06/21 04:00] まとめwoネタ速neo
プロフィール

だいぶつ

だいぶつ

ツイッターアカウント@daibutsuda
某大手企業で病んでるサラリーマン中。40歳を超えた今、最も誇れるキャリアが「病んでいること」となってしまったことに驚きを感じます。病んでるキャリアで再起を目指します(意味不明)。
口癖は「たまには更新せい!」。最近はまめに更新しています。
テーマはコロコロ変わります。今のところは「統合医療」にハマっているらしい。

写真は2歳の息子です。おおむね同じ顔と言われるので、自画像代わりに貼ってます。



by Google Fan
ブログパーツ
カレンダー
05 | 2012/06 | 07
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
Twitter