野田首相は20日の民主党両院議員懇談会で、社会保障・税一体改革関連法案の衆院採決に向け、自ら党内の説得にあたった。
反対を貫く姿勢の小沢一郎元代表グループの議員らとの亀裂は深く、党内の緊迫感は高まっている。
懇談会の冒頭、首相は「昨年の党代表選後に『ノーサイドにしましょう』と言った思いは変わらない。みんなで心を合わせて、力を合わせて、様々な困難に立ち向かう政党でありたい」と述べ、一体改革関連法案の修正合意を了承した判断を受け入れるよう求めた。
しかし、質疑に移ると、首相らに反対意見をぶつける議員が相次いだ。
福島伸享衆院議員は「社会保障改革の姿が固まってから消費税を上げるようにすべきだ」と消費税率引き上げを棚上げするよう主張。「21日までになぜやらなければいけないのか。成長戦略が大事だ」「このままなら解党の危機だ」などの意見も相次いだ。
約3時間にわたった懇談会で首相は積極的に説明に立ち、「財政再建に加え、成長戦略が大事なのは分かっている。G20(主要20か国・地域首脳会議)でも訴えてきた」「党を割るなんて毛頭考えていない。一枚岩になるよう責任を持ってやりたい」などと強調した。
首相の懸命な説得は、中間派議員が法案賛成に回る条件として、党分裂回避への努力を求めてきたことを踏まえたものだ。実際、田中慶秋副代表や鹿野道彦前農相ら中間派のベテラン議員は、懇談会で「党を割るべきではない」と結束を呼び掛けた。最後は進行役の直嶋正行副代表が「代表と幹事長に判断していただきたい」と打ち切りを宣言したが、ヤジは少なく、19日の政策調査会の合同会議のような混乱はなかった。
しかし、反対派は首相への対決姿勢を強めている。小沢グループは、衆院での採決で54人以上の造反をまとめようとしている。仮に造反した議員全員を除名すれば、与党が過半数割れに追い込まれ、少数与党に転落する。党執行部は、採決直前まで反対する議員の翻意を求める構えだ。
小沢グループの議員らは懇談会に先立ち、20日午前から都内のホテルに集まり、対応を協議した。参加者の一人は「みんな除名覚悟だ」と記者団に語った。