北橋健治の公約
緑の成長戦略で、人にやさしく元気な街づくり!
はじめに
4年前、北九州市長に着任以来、私は、「人にやさしく元気なまちづくり」をめざして、まっしぐらに頑張ってきました。
この間、市民の皆様の後押しをいただき、子育て、福祉、教育、環境や地元経済の活性化などに一定の成果を上げることができたと自負しています。皆様のご支援に心よりお礼申し上げます。
わが国、北九州市を取り巻く環境には、大変に厳しいものがあります。しかし私は、市民の皆様の志と英知を結集して困難を乗り越え、力強い本市の未来を切り拓くことができると確信しています。
平成20年12月には、市議会での議決もいただいて、むこう10年間を見通した北九州市の基本構想・基本計画として「元気発進!北九州プラン」を策定することができました。
このプランは「人と文化を育み、世界につながる、環境と技術のまち」を大目標として、「T. 人を育てる」から「Z. アジアの中で成長する」など、7分野201項目にのぼる主要施策を掲げています。
私は昨年11月22日、記者会見で正式に次期北九州市長選挙に出馬する決意を申し上げましたが、今後とも、この「元気発進!北九州プラン」の着実な実現にむけて全力をあげて取り組んでまいります。
またその上で、現在の市を取り巻く内外の変化も踏まえながらさらに重点的に取り組むべき5つの政策課題を、以下、「北橋健治の公約」として掲げました。
ぜひ多くの市民の皆様にご理解をいただき、私とともに北九州市の新たなステージを切り拓く取り組みにご参加くださいますよう心よりお願い申し上げます。
北九州市長
一、 環境とアジア!北九州を元気にする緑の成長戦略
数々の難局に直面している日本。景気・雇用の回復は、緊要の課題です。でもピンチのそばにチャンスありです。いま世界は「環境とアジア」が「経済」を引っ張る「グリーンフロンティア」の時代。特に低炭素、環境エネルギー市場は急速な成長をみせており、環境モデル都市として北九州市の蓄積と経験をいかす絶好のチャンス到来です。
アジアの高い成長と大きな需要に対応する地域産業力の充実強化とあわせて、環境と経済が両立し、環境が未来を拓く活気ある緑の産業都市の成功モデルをめざします。また、環境未来都市等の選定をめざすほか、環境に負荷の少ない快適なまちづくりを推進し、企業の設備投資や研究開発、公共投資を本市に呼び込み、元気な北九州を創ります。
1.景気・雇用を回復するため、引き続き緊急経済雇用対策の推進に最善を尽くします。中小企業の経営安定に資するよう、地元発注に努め、生活密着型公共事業の重視、中小企業支援対策を推進するとともに、中小企業の技術開発や営業力の強化、新分野や海外への進出などを支援するワンストップサービスを充実します。
2.低炭素関連の国内投資を市内外から呼び込み、緑の成長戦略を推進します。国の新成長戦略の中に掲げられた環境未来都市・環境国際戦略総合特区の指定を目指すとともに、環境エネルギー産業の振興をはじめ、急激に変化する時代に適合するため北九州市産業雇用戦略の見直しを行います。
3.地球環境にやさしい事業所や住宅の普及をはかるため、低炭素型投資への支援制度を拡充します。事業所の省エネや太陽光発電、ヒートポンプ導入、屋上緑化など環境に配慮したビル、集合住宅の新築改修を積極的に進めるための支援策を充実します。
4.次世代エネルギー社会基盤の整備をめざすスマートコミュニティ創造事業(東田地区)や、ゼロ・カーボン先進街区事業(城野地区)を成功に導きます。
5.アジア低炭素化センター(アジアグリーンキャンプ)を中心に、産学官連携を深め、省エネなど環境技術、水ビジネスなどアジアへの環境ビジネスの積極的展開をはかります。
6.低炭素型の安全なまちづくりを推進するため、地域防犯灯・街路灯のLED化を積極的に推進するなど、公共事業(平成22年度12月補正後、全会計で1100億円)は、生活道路や公園・住宅、放置竹林対策、河川など環境に配慮したグリーン公共事業の比率を高めます。
7.環境の市民力を高め、市民参加型の環境学習を推進するため、ESD(未来パレット)など環境学習システムを再構築します。古紙回収やノーマイカー運動、植樹、里山保全、打ち水活動など市民が主体となって取り組む環境活動に対する支援策を充実します。
8.アジアなど国内外での本市産業の競争力を強化するため、国内外における貨物航空の拠点化、空港島への企業誘致を目指した空港施設の充実、港湾など広域物流基盤の積極的活用、整備を進めます。
9.世界遺産登録を目指す八幡製鐡所をはじめ、市内各地域に今も残る工場群を掘り起しネットワーク化するとともに、工場萌えやエコツアーなどにより交流人口増や地元消費拡大につなげる産業観光の振興に力を入れます。また、地域課題に取り組むソーシャルビジネスなど、本市で新たな可能性を拓く産業分野の育成を進めます。
10.若者ワークプラザの運営や合同面談会による求人・求職のマッチング支援、求職者のニーズに応じた能力開発、若者のチャレンジショップ事業の拡大など様々な施策を充実し、特に新卒者・中高年齢者、障害者などを対象とした積極的な雇用対策を進めます。
11.交通弱者に配慮しつつ低炭素型の街づくりを本格的に進めるため、「北九州市環境首都総合交通戦略」の拡充を行います。環境首都にふさわしい交通体系を実現するため、公共交通結節点の整備を加速し、エコドライブの推奨、通行分離を進めた安全な自転車専用道の計画的整備を進めます。
12.北九州市「明日の農林水産業を考える懇話会」の提言をふまえて、(仮称)「北九州市農林水産業振興計画」を策定します。北九州市の山の幸、海の幸など食の豊かさを情報発信する「食のブランド化」、学校給食食材の調達率引き上げなど地産地消をさらに推進するほか、鳥獣行政を強化します。
二、 子どもは「宝」!確かな育ちを支える未来戦略
北九州市の次の半世紀を担うのはいまの子どもたち。子どもたちは北九州市の未来そのものです。安心して子どもを生み、しっかりと育てることのできる環境を整備することは、私たち北九州市の大人の責任です。 そのためには、母子が健康に生活できる周産期・小児医療や健診の充実をはじめ、質の高い保育サービスや子育て支援、幼児教育の充実をはかり、子どもたちの「育ち」を保障します。また学力や体力、不登校問題等の課題を抱える教育現場を強力に支援、確かな教育の実現をめざします。さらに仕事や問題に悩む若者を支援する仕組みを整えます。
1.子どもを持つ家庭の医療費負担のさらなる軽減のため、中学3年生までの入院医療費の無料化を実施します。
2.跳んだりはねたり元気な子どもたちを育成するため、保育所・幼稚園園庭の芝生化を実施します。
3.質の高い保育を実現するため、保育所児童一人あたり保育士配置基準の独自改善を実施します。
4.幼児教育を重視し、私立幼稚園への支援を充実します。
5.子どもたちの読書活動を活発にするため、快適で子どもたちに親しまれ活用される学校図書館の本格的整備を実施します。
6.少人数によるゆきとどいた教育を実現するため、現行小学校1、2年生、中学1年生で実施している35人以下学級の拡大を進めます。
7.子どもたちが確かな学力を身につけるため、経済界などとも連携した新たな学習支援事業を小中学生対象に実施します。
8.スクールヘルパー制度など地域・家庭・学校が一体となった取り組みの着実な推進をはかるとともに、教員が子どもたちと向き合う時間を確保できるよう新たな支援策を検討します。
9.小1プロブレムにさらに対応するため、保育所・幼稚園と小学校との連携を強化充実します。また、中1ギャップなど課題克服にむけた小中一貫・連携教育を推進します。
10.悩みや困難に直面する子どもたちを応援するため、「若者応援センター」の機能を充実強化します。 また、児童養護施設への支援を充実します。
11.発達障害児等への支援体制を強化し、市立総合療育センターの再構築を推進します。
12.特別支援学校や学級に通う児童生徒の増加に対応する、特別支援教育の充実と体制整備を進めるとともに、特別支援教育に対する市民への啓発に努めます。
三、 高齢者もますます元気!健康福祉モデル都市戦略
政令市で高齢化率が最も高い北九州市。いつまでも元気で自分らしく暮らせるまちづくり、健康づくりは最重要課題の一つです。ケアが必要な方には質が高く確実な保健・医療・介護のサービスを実施、ケアが必要ではない方も、能力を発揮し生き甲斐をもてる「ますます元気!生涯現役」の環境づくりをめざします。また、子どもから年長者まで、ライフステージに応じた市民主体の健康づくりを推進し「健康福祉モデル都市・北九州市」をめざします。
1.地域医療の現状や今後のあり方を勘案した上で、救急医療体制について一層の充実に努めます。
2.妊産婦健診の無料化を着実に実施するとともに、周産期医療の確保充実を進めます。がんをはじめ各種健康診査の受診率向上のため、さらに工夫した取り組みを進めます。
3.年長者研修大学校事業など高齢者の生き甲斐づくりの充実を進めます。
4.健康マイレージなど健康づくり事業の拡充をつうじた高齢者への支援事業を充実します。
また、健康な食生活を普及するため、家庭、学校、地域における食育を一層重視します。
5.国民健康保険料について、全政令市の中で低い水準の維持に引き続き努めるとともに、制度の大幅改定が予想される国民健康保険制度の見直しについて、地域の実態をふまえた制度改善にむけ、国への提言活動を推進します。
6.生活保護の不正受給の防止を徹底するとともに、稼働年齢層受給者への個別支援方式による施策の導入など、実効性ある生活保護受給者の自立支援に取り組みます。
7.障害者が自立して元気に暮らせるよう、市役所の持つ相談機能を充実するとともに、厳しい雇用情勢にかんがみ、障害者しごとサポートセンターを拠点に、求人、求職双方に対する就労支援のための取り組みを一層推進します。
8.障害者スポーツの振興のため、移転再整備する障害者スポーツセンターの早期開設をめざします。
9.「いのちの電話」への支援の充実をはじめ、きめの細かい相談支援体制を整備しながら市の自殺率低減をめざします。
四、 にぎやか、あったか!向こう三軒両隣のふれあい戦略
北九州らしいにぎわいと、ふれあいをつくりだす文化・スポーツの振興を進め、北九州から情報発進!北九州市を拠点に多彩な交流を作り出します。そして時代のキーワードは「分かち合い」と「お互い様」。お年寄りから子どもたちまで誰もが孤立することなく向こう三軒両隣が「ふれあい支え合う地域コミュニティ」をつくりましょう。まず、いのちをつなぐネットワークをグレードアップ。防犯・防災もふくめた安全安心の確保へ、自治会やまちづくり協議会など地域主体の取り組みを応援します。
さらに、河川改修などの防災への投資を拡大したり、公園や歩道など市民に身近な環境整備を、誰もがもっと使いやすくなるように進めます。にぎやかで心があったかな北九州。そのすばらしさを活かして「市民がふれあう安心NO1」のまちをめざします。
1.男女共同参画、ワークライフバランス(仕事と生活の両立)、人権が尊重される社会の創造に引き続き努めます。
2.スポーツ施設の整備に取り組むとともに、多種多彩な市民スポーツの振興を推進します。全国的にも集客が可能なスポーツ大会開催や遊歩道・登山道の整備などハードソフト両面からウォーキングやランニング環境の充実をはかります。
サッカー、ラグビー、コンサートなど若者に夢のある都心のにぎわいを創出し、市民が熱き心をひとつに北九州市のプロスポーツチームを育て支援する拠点として提案した新球技場の構想は、具体的計画の公表と設計の際、二度立ち止まって、市民・議会の声をよく聞いてすすめます。
3.映画やグルメ・漫画・工場群など北九州市に集積された資源を活かした街のにぎわいづくりを推進します。また、コンベンション支援の充実に努め、2012年開催予定の青年会議所・商工会議所女性会連合会など全国大会の成功を期します。
4.核となる商業の活性化や面的整備を進めながら小倉・黒崎中心市街地の活性化を進めるとともに、市内各商店街の特色を活かした支援策を充実します。
5.地域伝統文化の活性化をはかるため、市指定有形無形文化財の保存・継承事業を推進します。
6.中央図書館を中心に地区図書館や学校図書館などとも連携した図書館文化施策の充実を進めます。
7.ふれあいの地域づくりの課題と手法を検討する(仮称)「コミュニティ再生検討委員会」を設置します。
8.「地域カルテづくり」などを進めながら例えば買い物難民対策などハードソフト両面から住民主体のまちづくりを進める市民主体・提案型の地域コミュニティ活性化事業を充実します。
9.一人暮らしの高齢者などの孤立を防ぎ、安心できる街にするため、いのちをつなぐネットワーク事業をさらに充実強化します。
10.大雨災害に備えるため、紫川などの治水対策・河川改修を国・県との連携で積極的に推進します。
11.所有者が不明で倒壊の危険などの問題をかかえる老朽廃屋について、危険防除のできる制度の創設を検討します。
12.暴力を許さない安全で安心な街づくりを推進するため、暴力追放運動の強化を図ります。
五、
市民との協働・連携!信頼される市役所刷新戦略!
市議会では自治基本条例が全会一致で成立し、北九州市も本格的に市民と行政が協働する時代に入りました。何と言ってもそこで大事なのはお互いの信頼関係。市長を先頭に、親切で丁寧な対話を重ね、市民に一層信頼される市役所をめざします。また、住民主体による地域のまちづくりを積極的に支援できる機能的な区役所をめざします。
さらに、厳しい財政状況の下で事業の選択と集中が求められる時、経営改善の継続と、税金の使い道を分かりやすく市民に説明し、無駄を省く市政評価の仕組みが不可欠です。そのため、行財政改革の取り組みを検討する新たな委員会を設置するなど、市民に分かりやすい行政改革をすすめます。
1.行財政改革の取り組みを検討する外部機関として、新たに委員会を設けます。
2.地域のまちづくり活動を支えるため、区長権限の拡大など区役所の充実と支援機能の強化を行います。
3.行政と市民活動団体とが連携して進める市民協働事業を推進するため、協働のあり方に関する基本指針を作成します。
4.ベトナム・中国・韓国をはじめ東アジアや、欧米の環境先進都市もふくめた友好・協定都市や福北・関門・北大・南九州市など国内外の都市間の連携、経済文化交流を促進します。
5.平和の大切さを伝えるため、嘉代子桜の植樹を推進するとともに、平和市長会の取り組みなど、非核平和都市宣言都市の関連事業を推進します。
(市制50周年記念イベント)
希望の半世紀を歩みたい!2013年・祝市制50周年!
平成25年には北九州市制50周年を迎えます。激動の半世紀を超え、新たな希望の50年へ進むことを市民こぞってお祝いしましょう。世界の環境に貢献する北九州市。核なき世界の平和に貢献する北九州市。少子高齢化など今後、日本が直面する諸課題の解決に果敢に挑戦する北九州市。このふるさとを未来に引き継ぐ決意とともに、市民のアイデアを募集しながら、北九州シティマラソンの開催など市民みんなで祝う意義ある周年行事にします。
特にこれからの50年の主役は、いまの子どもたちです。子どもたちのために印象に残る有意義な事業を積極的に実施します。数年をかけた積み立てや寄付募集など、周年事業のための財源対策なども工夫して取り組みます。
(検討課題の例示)
1. 「美しいまち北九州」をコンセプトに市民からの意見・提案をもとに、北九州市の多くの誇りや財産をわかりやすく内外に発信する北九州市ミュージアム構想の検討
2. ボランティアを含めて多くの市民が参画する北九州シティマラソンの開催の検討
3. 文化・芸術、スポーツなどを中心に市民が主体となったイベントの開催