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林野火災わずか1件 原発事故で山菜採り敬遠影響 福島県

福島県の山林。原発事故で山菜採りの入山者が減り、林野火災が減少した=福島市

 福島県内の5月の林野火災が、1件にとどまったことが分かった。5月は山菜採りの最盛期で、例年なら入山者の火の不始末が原因とみられる火災が続発するが、今年は大幅に減少した。福島第1原発事故で山菜の放射性物質の基準値超えが相次ぎ、山菜採りの入山者が減ったためとみられる。


 福島県の12消防本部によると、県内の5月の林野火災はいわき市消防本部管内で14日に起きた1件だけ。原発事故前の2010年5月(23件)と比べると少なさが際立つ。事故直後の11年5月(17件)も大きく下回っている。
 特に中通り地方の減少が著しい。福島、郡山の両市消防本部管内では10年が4、6件だったのに対し、今年はともに0件だった。
 消防関係者の話では、林野火災の原因は入山者のたばこやたき火の不始末など人的なものが多い。山菜採りの春、キノコ採りの秋は火災が増え、市町村や消防団が注意を促すのが常だ。
 原発事故で、福島県内の山林で今年採れた山菜から国の基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を超す放射性セシウムの検出が相次いだ。政府は県内31市町村に山菜7品目の出荷停止を指示し、県も県民に採取自粛を呼び掛けている。
 この結果、「山菜目当ての入山者が減少」(消防関係者)し、林野火災の抑制につながったという。山林が広範囲に放射能汚染された負のイメージが広まり、山を敬遠する人が増えたことも影響している。
 郡山市消防団の鈴木英雄団長(68)は「ともかく火災が減るのは喜ばしい。地元の山菜を食べる機会が少なくなるのは残念だが、消防団としては消火活動の負担が減るのでありがたい」と話している。


2012年06月21日木曜日


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