知的障害者が乗り継ぎ案内 市バスなど全路線暗記
豊富なバスや鉄道の知識を持つ知的障害者が、京都を訪れた観光客に的確な乗り継ぎや行き方を教えるボランティア「京都人力交通案内」を、京都市北区のNPO法人「スウィング」が始めた。観光地・京都の複雑で分かりにくいバス路線や電車の乗り継ぎ回数、料金などを案内する。NPOは「障害があっても特技を生かし、頼りにされることで自信を持たせたい」としている。
水野光隆さん(39)=山科区、服部光男さん(44)、中村章男さん(37)=いずれも伏見区=が担当する。
水野さんと服部さんは京都市バスのほぼすべての系統、中村さんは京阪電車と近鉄電車の全路線を暗記する。3人は持ち前の集中力や、電車やバスへの興味から覚えたという。
同法人の木ノ戸昌幸施設長(35)が、帰り道を訪ねる施設見学者の問いに即座に答える3人に着目。乗り継ぎが複雑で説明しにくいコースを3人に出題し、準備を進めてきた。
下鴨神社(左京区)で3日にあったイベントで初めて行い、30人に案内した。バスか電車だけなら数秒で、乗り継ぎを含む道順も3分程度で回答した。「乗車時間が長くてもバスだけで行きたい」などの要望にも、協力して、行き先を導いた。
自宅への道順を聞いた障害者就労施設職員北野しのぶさん(30)=大阪市=は「インターネットで調べることもできるが、ふれあいがあるこっちの方が楽しいですね」と話す。
3人は「なんとか案内できた。他のバスや鉄道の路線も覚えたい」と意欲を見せる。
NPOが出展する手作り市などにコーナーを併設する。イベントなどで依頼があれば検討する。スウィングTEL075(712)7930。
【 2012年06月20日 15時30分 】