北島/あかみのプライベートなブログです。

なにはともあれ、一般参加された皆様には御礼申し上げます。
早速内情暴露。まず、組曲の編曲について。
評価が見事なまでに真っ二つに分かれましたが、こうなることはある程度予期していました。
組曲のアイデアは編曲作業の過程で二転三転しています。
・最初期稿
一定量のKey関係作品をやるということは、オケ企画の最初期から決定事項でした。しかし、
プログラムがKey作品で埋め尽くされるのは適切ではないということで、全体を一つにまとめて組曲の形にすることにしました。
この段階では「鍵組曲」という一種のコードネームだけが定まり、全体のタイトルは何も決まっていない段階でした。
順序は全く決まっていない状態でしたが、以下のような曲目セットを考えていました。

    ●回想録 ~reminiscences~
    ●鳥の詩
    ●田舎小径
    ●笑顔の向こう側に
    ●白詰草

この後、プロジェクトは二転三転しますが、最終的にこの段階で執筆に取りかかった曲のうち「回想録」
は組曲4楽章の序奏部(ソナタ形式の第1主題部とも言える)に転用されます。
また、「田舎小径」はある段階で「編成上演奏不能」であると判断、お蔵入り扱いとしました。……実は「本番当日の編成」
では演奏可能だったんですが、最後の最後に近い時期まで「チェロ2人」が埋まらず、判断がつかなかったのが実態です。
この段階ではオケの編成も流動的で、どこまで楽器を使えるかの見当さえついていなかったというのが正直なところです。
・第2期
オケ編成の姿が不完全ながら見えてきた時期です。ファゴットは結局最後まで演奏参加がありませんでしたが、
ユーフォニウムもなかなか高レベルな演奏をし、チューバ吹きもレベルがかなり高いことが分かってきて、「一部を省略したオケ編成」
くらいのことを考えても許される状況になってきました。
この時期に、最終的に組曲1楽章に収まる「夢幻譜」を書き上げました。ここから、本番で使ったような「4楽章構成の組曲」
の姿が固まりかけてきました。
とはいえ、このころの計画ではまだ最初期計画の雰囲気も残り、1楽章につき1曲を原則とした編曲計画を想定していました。
夢幻譜の編曲は明らかに1楽章タイプの曲なので、前奏曲「夢幻譜」と名付けることにしました。
一方、1楽章が夢幻譜に決定したことで、回想録の行き先が宙に浮く結果になりました。さまざまなアイデアを検討し、最終的に
「終楽章の序奏部、もしくは終楽章に先行する前奏」という場所がもっとも収まりが良いと判断。
回想録をG-dur(ト長調)で書いていたこと、頭の中にTVアニメ版のAIR第1話で回想録→鳥の詩の繋がりがあって、
強烈な印象を残していたこと、しかし鳥の詩はh-moll(ロ短調)なことから盛り上がる終楽章に相応しいとは言い難いことなどから、
G-dur→H-dur(ロ長調)の繋がりを綺麗につなぐためにどんな曲を使うのがいいかと考えはじめ、
最終的に終楽章の本体部にはBirthday Song, Requiemが採用されました。
そうなると、終楽章がソナタ形式、第1楽章が前奏曲ということで、間の楽章構成が少しずつ定まってきます。
終楽章の序奏部が長いことから全体を通したシンメトリー構造にはなり得ないので、偶数楽章構成が有力候補となりました。
・第3期
最終的な形が定まってきたころです。
交響曲の形式を参考にすれば、偶数楽章構成であれば2楽章:緩徐楽章&3楽章:スケルツォもしくは類似の形式、
もしくはその逆が答えになります。
オータムリーフ管の演奏レベルではスケルツォの実現はきわめて困難(特に弦楽器セクション)と考えたため、ウインナワルツの形式「だけ」
を参考として、複数のワルツが繋がる舞踏会のアイデアが出てきました。
通常のウインナワルツ系作品であれば、複数のワルツが連結された作品となることが多いです。「美しき青きドナウ」、「芸術家の生涯」、
といったJ.Straussの有名作品が良い例でしょう。しかし、今回の場合は鍵系作品を主題に使うことはほぼ決定していたため、
使える材料はウインナワルツに適したものとは言えません。
そこで、様々な資料から使える曲目を探し、演奏者からのリクエスト等も聞き入れた結果、第1ワルツがクラリネットのソロによる朝影、
「最終の1つ前の」ワルツがピッコロのソロによる白詰草、最終ワルツが夏影まで決定しました。
他の楽章とのバランスから、朝影と白詰草の間に入れられるワルツはせいぜい1つ。しかし、
鍵作品で3拍子系の音楽となるとどうしてもこれらとかぶってきてしまう懸念。
そこで、「鍵に影響を受けたと思われる作品」のラインナップまで探しまくったところ、
果て青のレクイエムが有力候補として上がってきました。もともとはmollの作品ですが、
Durに書き換えることによってバランス的にも相応しい作品であると考えられました。
これで1、3、4楽章の形がほとんど決まり、最後に2楽章が残りました。ここもいろいろ探したところ、AIRの「羽根」
がどんぴしゃりと収まり、ほぼ最終的な形が仕上がることになります。
最終的に悩んだのは全体をまとめるタイトル。「鍵組曲」では隠語であるKey=鍵を使うことになり、
最終タイトルとしては相応しくありません。Key組曲でも、
Tactics等Keyではないブランドの作品が混ざっているためさほど適切とも思えませんでした。
最終的な結論は「Keyの様式による交響組曲」というタイトルになりましたが、「様式」には以上のような意味を含んでいます。

さらには、Keyの様式に感じられる強いロマン性と、今回の組曲の作風に通底する後期ロマン派的な性質をも重ね合わせているつもりです。

・組曲に組み込んだネタ
「組曲」には、表面的に聞こえるネタ以外にも多数のネタが仕込まれています。気づかれた方もそれなりにはいらっしゃると思いますが、
主なものを下記に記しておきます。

    ●1楽章:中間部(木管アンサンブルを中心としたH-durの部分)冒頭部は「虹を見た小径」を軸にしていますが、
    裏ではホルンが「夢幻譜」を吹いていました。
    ●3楽章:冒頭のオーボエソロ、第4ワルツ直前のヴァイオリンソロはどちらも「Last Regrets」
    から取られた音型で作られたソロです。
    ●4楽章:Birthday Song, Requiemが一通り終わった後、再びG-durになって音楽が少し静まります。
    ここではBirthday Song, Requiemの裏でSaxが回想録を吹いていました。
    ●4楽章:再現部でH-durに戻る直前に一部の管楽器によるコラール、そして経過的な音型がありますが、ここでは「鳥の詩」&
    「戦場のメリークリスマス」が一部よく似ている、というネタを実際に試してみました。

 1,3,4のような対位法(複数のメロディーをうまく重ねる方法)を使ったネタは、私が編曲作業の一部にかかわった「☆☆☆☆☆☆」
でも出現していましたし、アンサンブルステージのメグメルではネタ編曲としてではなく、
メロディーの表現手段として多くの場所で対位法を活用していました。
・感想を書いていただいたblog様への返答。少しずつ出していきます。
ふぃふmemo様 "http://fifnel.livedoor.biz/archives/50141765.html">http://fifnel.livedoor.biz/archives/50141765.html

どうもです。

通常のオーケストラ公演ではせいぜい休憩1回なのですが、
今回の演奏会では管楽器メンバーに特に歴戦の勇者たちが集まったことをふまえて、
吹奏楽ステージと管弦楽ステージの分離が早い段階で決まっていました。そうすると3部構成となることや、
最初期にメンバーが全然集まっていなかったころの名残である室内楽ステージの関係で吹奏楽ステージへの転換に手間がかかることも含めて、
短めの休憩を複数回取ることになりました。

マーラーとかの大曲だと演奏会に1曲しか乗せられないので、
どうしても休憩はありませんね。

2部が吹奏楽ステージだったので、基本的に重低音系の楽器は2部からが出番です。

クラシック音楽の習慣では、チューバやコントラバスといった重低音楽器は低音楽器(トロンボーンやチェロなど)の補助的な役割、
もしくは低音楽器と組んで一つのグループとして動くことが多く、よほどの大曲&
低音好きな作曲家の作品でない限りはそれほど前面に出てくることはないのが一般的です。

オケの場合はバンドに比べて音圧も小さいため、
より繊細な音色を楽しんでもらうのが主眼にならざるを得ません。といっても、
オータムリーフ管の現状では繊細な音色などとも言っていられないのが現実ですがorz
岡餅日記はてな支部 様 "http://d.hatena.ne.jp/okamochi/20051010/1128985016">http://d.hatena.ne.jp/okamochi/20051010/1128985016

パンフの文章については……私の責任ですorz

確かに組曲はやや長かったかもしれませんね。次回は……
このくらいの長さの曲が出現しちゃう可能性はまたあるんだよなorz
一応、気をつけていきます……
意気揚々→消沈の秋 様  "http://d.hatena.ne.jp/dekorin/20051010#p2">http://d.hatena.ne.jp/dekorin/20051010#p2

管楽器はどうしてもソロなので、難しいんですよね……
管弦楽の場合弦楽器は1つのパートを複数人で弾くのが一般的なので、「弦は高レベルなことを要求されるが、さほど精度はいらない」vs
「管楽器はとんでもないレベルは要求されないが、高い精度が必要」というのがオケの現実です。

メンツとしては全曲ほぼ同じようなグループです。特に
「この曲には全体的にうまい人を集める」ようなことを意識的にやった曲は一つもありません……と思います。パート内で
「この曲は吹くのが大変だから上手な人に回そう」くらいのことはあったようですが、指揮者として&
編曲者としてそういう要求がでた記憶はありません。
実態を見ても演奏者の平均演奏レベルが高かったのはメグメルくらいのものですが、これにしても最初期に楽譜ができた曲&
最初期にいた人たちがたまたまレベルが高めだった、という事情で、あえて高レベルの演奏者を割り振ったわけではないです。

 
 

 

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ブログの作者

北島(非同人方面)/あかみ(同人方面) です。いろいろやってます。