ホーム > インターネット知事室 > 知事の会見録 > 知事定例記者会見(6月21日)
平成23年6月21日
(県政記者クラブ主催)
今日は3点、まず、節電対策についてですが、4月末からずっと研究をしてまいりました。そして、5月26日の関西広域連合委員会で、特別に数値ということではないんですけれども、まぁ5〜10%くらいの節電をしようということで呼びかけてまいりました。ただ、その後関電さんが突然、6月10日に15%ということで、今まだ調整がつかない段階ではありますが、県としてはここはしっかりと県庁の事業者としての取組、それから、今日後から申し上げますが、関西広域連合としての節電キャンペーンの本日キックオフを午後始めますので、そこについて少し詳しく申し上げたいと思います。みなさんの手元に資料がございますが、「夏の節電クールアクション」ということで、具体的に細かい内容書いてありますけれども、基本的な方針は3点です。「ピークカット対策を重視をする」ということです。夜やあるいは土日などはそんなに節約しなくてもいいわけですから、ともかくピークカットを重点に、ということは真夏の、7月、8月の暑い日、クーラーをみなさんがつけるような日のお昼から午後ということがあります。2つ目は「頑張る関西を支える」です。これまでの電力需要の動向を見ておりますと、企業系は本当に節電、省エネで頑張っていただいております。もうギリギリしぼっている。そして、今回の震災の中でようやく関西から製造業がサプライチェーンも復興しながら元気になりかけている。そこに今回の節電で経済的影響が及んではいけないということで、広域連合としては産業界は優先的に電気を配分してほしいと関西電力にもいろいろ申し上げてまいりました。滋賀県としてもここはしっかりと産業界のみなさんは製造あるいは活動を継続できるように関電に対しても申し入れをしたいと思います。もうそれは昨日の経済界の代表のみなさんとの話し合いで聞いていただいているとおりです。3つ目は「安全・安心のための電力は確保したい」ということです。医療機関なり福祉機関、また節電をしすぎて熱中症などになると、これは元も子もありません。安全・安心のための電力は確保したいと。この3つの基本的な姿勢で滋賀県としては節電対策に臨みたいと思います。具体的にどうやるかということは資料を見ていただいたらいいんですが、2つご紹介をしたいと思います。1つは、「五感で涼感」。日本は元々暑さを自分たちで、まぁ楽しみながらというんでしょうか、どうにか暮らしの中で涼しく過ごす工夫がございます。その「五感で涼感」の文化は、京都が特に暑いということで京都などを中心にしながら滋賀でもずいぶん根付いております。ということで、例えば着る物でこう肌で涼しくということで、これも高島縮でございます。ぜひ地場産業の振興と合わせて、高島縮などをご活用いただきたい。
それから、これは高島の扇子です。まぁ、近江扇子ですね。ぜひもう扇子、紙谷局長使っていただいてますけれども、扇子を使っていただきたいと。それから、これは湖東の麻織物です。湖東の麻織物の布をうちわに、本当にこのなんて言うんでしょうか、風が心地よいんですね。この曲がり具合からして。ぜひこういうものも入手していただいて、地域の産業振興にもなりますし、またデザイン的にもとっても素敵ですよね。こうやって楽しみながらの「五感で涼感」、滋賀ならではの、関西ならではの「涼む」文化を、この際ですから再生して次の世代に伝えていただきたいと思います。県庁前ではできたら暑い時には打ち水もしていきたいと。今日はちょっともう曇っておりますから、あまり効果ないかもしれませんが、晴れた日に打ち水を街全体にやりますと、これは日本水フォーラムが研究しておりますけれども、2〜3℃下がります。そして風が起こります。ですから、打ち水というのは実質的にも効果があります。それが1点目です。それから、2点目は、夏を家族そろって節電クールライフを楽しもうということです。さきほど申し上げましたように、ピークカットは暑い日の夏休み中のお昼前後〜夕方までです。ぜひ昼間には家の中でそれぞれの部屋に子供たちがクーラー付けてファミコンやるというよりは、家族全体で図書館行こうかとか、美術館・博物館行こうかとかいうようなことで、公共施設で文化活動などで楽しんでいただけたらと思います。もちろん、映画・ショッピングというのもあると思います。それから、滋賀ならではですけれども、琵琶湖に行ったり、ちょっと歩いたら山があります。あるいは、湧き水がある場所なんていうのは本当にクールスポットです。昼間も夜も、そして夜はまた星ですね。星を楽しんだり、今の季節だったらまだホタルがいっぱいいます。ホタルを楽しんだりしながら、ぜひみなさんで家族で涼むクールライフ、そして自然と触れる、文化と触れる。これは滋賀ならではの取組として進めていただきたいと思います。行政として、ここをもう一押し、二押ししたいんですけれども、まだ具体的にできておりません。もしもう少し一押し、二押しできるようでしたら、次の段階で説明をさせていただきます。次に節電の2つ目ですけれども、県内の企業向けの節電セミナーを開催いたします。6月27日です。「知って得する省エネ活用術」西田一雄さんなどからのご講演がございます。ぜひ広報いただけたらと思います。それから節電の3点目ですが、今日の午後1時半から大津駅前で、関西広域連合の節電キャンペーンを始めます。広域連合ですけれども、みんなで節電アクションということで、節電キャンペーンを進めさせていただきます。それぞれの知事がお越しいただけるとよかったんですが、ご多忙の方たちでなかなか日程調整できず、知事の身代わりが来ます。ゆるキャラです。ということで、例えば、京都は「まゆまろくん」、大阪は「モットちゃん」「キットちゃん」、兵庫は「はばタン」、和歌山は「キノピー」、徳島は「すだちくん」、そして鳥取は「トリピー」ということで、それぞれのゆるキャラが集まってくれますので、私の方から節電のためののぼりを渡すのかな、こののぼりをそれぞれお渡しさせていただいて、そしてこれから水の流れのようにこの節電のうねりが広がっていくことを期待をしております。合わせて、太陽光などの再生可能エネルギーについても、府県民のみなさんにお考えいただいて、この際ですから滋賀県4月1日から低炭素社会づくりの条例始まっております。なかなか震災直後で取り上げていただいてないんですけれども、いよいよこれから条例をアクションプランにしていく段階ですので、この夏太陽光などの普及もできたら、この節電キャンペーン+低炭素社会づくりということで、このうねりを広げていきたいと思います。言うまでもなく、低炭素社会づくりはビジネス、環境ビジネスの振興にもつながってまいります。ちょっと宣伝ですが、今、今日の一日ですが、滋賀銀行でエコビジネス・マッチングフェアをやっていただいております。場所は琵琶湖ホテルです。私も今、走って見てきたところですけれども、かなりそれぞれの工夫をした県内の企業が出展をしていただいておりますので、一堂に見ていただけると思います。次に節電対策に関わってですね、節電対策というか低炭素社会づくりに関わってのCO2認証制度でございます。ここはパワーポイントがあるのかしら。
滋賀県が作りました低炭素社会づくりの190項目の行程表、そのくくったものは6つですけど、そのうちの1つがこの森林でございます。森林と人をつなぐ、心が通った滋賀県森林CO2吸収認証制度というタイトルにさせていただいております。すでに企業等が森づくり活動に参加いただいております。例えば、キリンビールさんが多賀町大滝山林組合、コカコーラさんが愛荘町の斧磨の山林組合というようなことで、それぞれ企業と森づくりの活動がつながっておりますが、この中で具体的に伐採をしたり、あるいは間伐をしたりする、その活動をきちんと定量化をして、CO2排出量に換算をして認証しようというものでございます。このことによって、団体および森林所有者のみなさんが日々活動しているものを二酸化炭素の貯蔵効果として、定量化して認証して、見える化を行うということでございます。森林CO2吸収認証制度です。次のページお願いいたします。
こんなふうな形での認証証書、証書そのものも木の板で作っていただけるということですが、認証証書をお出しいたします。森林整備を通じて、温暖化あるいは低炭素社会づくりに貢献しているということをPRしていただく企業・団体のみなさんのご活用をいただきたいと思っております。じゃあ、どういう活用があるかということですけれども、次のページお願いいたします。
この後、実は低炭素社会条例は条例の後の具体的なアクションプラン、行動計画を今年から来年にかけて準備をいたします。その行動計画の中には、事業者行動計画、それぞれの事業者が、例えばA工場さんとかB工場さんがどれだけ削減をするかという目標をつくっていただきます。その目標の中で削減のところに、これを自分たちのところで評価をしていただくということで、インセンティブを高めたいと思っております。そういうところから森林づくりへの参画を低炭素社会づくりに埋め込み、そして全体としてはビジネスのシステム化に結びつけるという仕組みでございます。ただ、システムはそうなんですけど、実際は担当する人たちが楽しんでやっていただきたい。例えば、CO2の排出量取引などは単にCO2削減をお金で取引ということですけれども、それはそれで市場化するところ価値はありますけれども、今回のこの取組は実際に企業の従業員の方とかみんな森に行って、楽しみながら森と触れて、そこにふれあい活動というのがあります。そして、人と人がまた一緒に力を合わせるという人と人のふれあい価値もあるという中で、結果として森林保全に参画をするという参画価値もございます。結果としてこのような形でのCO2削減に物的に貢献できるということで、かなり全体動き出したらうまくトータルに賢い仕組みになると思っております。なお、全国では環境省のカーボンオフセット、ジェーバー制度がございます。あるいは、民間、外郭ですけれども、エスジェックなどの森林認証制度がありますけれども、こういうところと関連しながら県全体としてのこの認証制度をサポートしていきたいと思っております。以上です。森林政策、ありがとうございます。
次に、びわ湖の日関連の発表3点ございます。まず1点目が、琵琶湖の水質ですけれども、琵琶湖政策課さんの方でパワーポイント準備いただいております。まず1ページ目ですね。びわ湖の日はそもそも昭和52年ですけれども、淡水赤潮が大発生をして、そして53年に県の連絡会議が発足をしました。住民会議です。それを受けて、富栄養化防止条例が1980年、昭和55年に施行されております。その施行を記念して、81年、1年後の56年7月1日に「7月1日」をびわ湖の日とするという設定がなされ、その後30年経ったんです。30年というとまさに一世代ですから、大変長い時期このみなさん取り組んでいただきました。幸い今年、地方自治法施行60周年記念の貨幣が造られます。これ琵琶湖とこの生き物などの図柄ですけれども、この貨幣を販売することで3,500万円の収入があるということで、これをびわ湖の日のキャンペーンに使わせてもらうというのが財源でございます。県単というよりは、ちょうどそういうエポックメイキングな歳入があったということです。次お願いします。
さて、琵琶湖の水質ですけれども、リンはずっと昭和50年代、さきほどの富栄養化防止条例の当時はかなり高かったわけです。0.034ミリグラムパーリットル。それがこの後の無リン洗剤の販売などもありまして、だいぶ下がってきて、それから農業の努力もあります。0.018、半分以下になっております。琵琶湖総合開発がこちらで終わっておりますね。透明度もだんだん改善してます。透明度っていうのは高い方がいいんです。メートルですから。北湖ですと6m。次お願いします。
ただしですね、問題はよくご存知のようにCODです。化学的酸素要求量が下がるどころかどんどん上がってしまっております。環境基準はこの下、1です。1.0ですから環境基準よりはるか上までいって、なかなか改善しません。次お願いします。
それから、例の湖底の溶存酸素、DOですが、これもかなり秋口から冬にかけて下がって、そして春の回復が遅くなっております。私は「琵琶湖の深呼吸」と言っておりますけれども、この琵琶湖の深呼吸もかなり阻害されている状態。温暖化が進むともっともっと冬が暖かくなりますから、この酸素を湖底に供給する深呼吸の機能が弱くなってしまうという問題があります。次お願いします。
そういう中で、問題を知ってもらいながらも、しっかりと前向きに取り組んでもらうというのがびわ湖の日30周年の呼びかけです。まぁ、琵琶湖をきれいに、そして豊かな琵琶湖、特に生き物のにぎわい、それと合わせて私たちの湖との関わりを深めようということです。特に、水質、生態系、ここは今までの環境政策でよく言われているんですけれども、関わりの再生というのは環境政策の中ではたぶん全国でも初めてだろうと。これは特に今蛇口ひねったら水が出る、レバーひねったら下水道にということで、本当に水辺とか川に関わらずに、私たちは生活が成り立っておりますけれども、ここの原点を見ていこう。蛇口の向こう、レバーの向こう、そこには生き物がたくさんいるよ。水も美しい水風景があるよということで、この琵琶湖ともっと関わろうというのが今回の30周年の呼びかけの1つポイントとも言えます。7月10日は記念シンポジウム「里山」で有名な今森光彦さんと私と、それから当日お一人、石けん運動に関わった大変ビッグなびっくりゲストがおられます。今まだここでは申し上げませんが、石けん運動を住民側から作り上げてきた大変な方が、私はすごく尊敬をしているんですけど、当時から、その方にもご参加いただけそうですね。じゃあ、ぜひ楽しみにしていただけたらと思います。今森さんはもうよくご存知のとおりです。次お願いします。
それから2つ目はびわ湖の日・恵みをいただこうということで、小鮎を食べようキャンペーン、これ水産課がこの間はある大津の中心部のショッピングセンターのところで、それから今度25、26日とおうみんちとか琵琶湖大橋の米プラザで400人に300gずつ小鮎を直接お配りして、無料です、料理して楽しんでくださいというそういう催しでございます。まさに関わるというのは食べるということ。琵琶湖の小鮎を家庭で煮て食べる文化を普及する機会としたいということです。次お願いします。
それから学校給食でも湖魚を食べようということで、13市6町のうち、12市で取り組んでいただいております学校給食に小鮎。特に子供たちに人気があるのが、カレーで唐揚げですね。唐揚げにカレー粉入れるというのが人気があるようです。こんなふうにして食べた感想書いてくれてます。キャッフィーも書いてくれてます。ということで、琵琶湖博物館のはありましたかしら、チラシが。お配りはしてない?入手できてない?琵琶湖博物館では7月1日、2日、3日、これ開館以来初めてですが、朝昼晩の博物館といって、朝9時半から夜9時まで全部無料です。全部無料で博物館をお楽しみいただけると。そこでは、いろいろなトークであるとか、あるいは体験の催しがございますので、ここもぜひ広報していただきたいと思います。私はかねがね琵琶湖博物館、夜開けて、夜の水族館みんなに楽しんでもらおうと、ずーっと言い続けてきたんですけれども、15年目にして初めて夜の琵琶湖博物館お楽しみいただけるということで、7月1日、2日、3日、ぜひとも広報お願いいたします。びわ湖の日関係は以上ですね。
次に、びわ湖漁場をきれいにする運動です。これも毎年7月1日に行っているんですけれども、そもそもびわ湖の日よりも歴史が長いんです。美国会(美しい湖国を守る会)昭和40年代から始まっておりまして、その関わりで昭和46年から始まっております。今年で41回目でございます。漁業者が一斉に漁を休んで湖岸の清掃を行うものです。この運動に感謝をし、敬意を表すために、できるだけ私か副知事かお伺いするようにしております。今年度は私と家森県議会議長が東近江市の能登川漁業協同組合へ伺いまして、激励とお掃除のお手伝いをさせていただきます。ここにもあるビッグなゲストが予定されておりますが、まだ最終決定しておりません。そのうちに。
次に、最後でしょうか、県職員の民間企業の知恵ですね、これは職員研修ですね、職員研修ですけれども、研修センター、県の政策研修センターというのが交流センター、ピアザ淡海の中にあります。たいへん最近予算がなくてご苦労いただいているんですが、講師料、旅費などがなくてご苦労いただいているんですが、今回は、お金がない、じゃあ汗をかこうということで、まさに知恵だし、汗かきで、企業から研修を提供していただくという仕組みを作りました。
特に若い職員向けのブラッシュアップ研修ということで、これ選択制体験型の選択研修を創設いたしました。21科目の講座を設けております。
このうちの5科目は民間企業5社からの提供で実施いたします。この5科目を企業提供研修と呼んでおります。企業提供研修は民間企業において培われた顧客中心のノウハウや知恵を研修を通じて県職員に伝えてもらうことになります。その中で県職員そもそも県の行政も県民あっての行政なんですけれども、ともすれば供給側の論理になってしまう。そこを、需要側、県民、企業者の意識に寄り添った形での政策作りができるような、そういう意味合いの研修でございます。若手職員が企業の現場に出かけたり、第一線の職員、社員から直接学ぶことで、現場感覚を身につけて、そして県民本意の姿勢に磨きをかけていきたいと思います。今回提供いただきます民間企業5社というのは、実施順で申し上げますと、京セラ株式会社様、ここでは稲盛イズムなど、あるいは環境産業への取り組みなどを見せていただきます。
野村ホールディング株式会社様、それからサントリーホールディングス株式会社様、それから関西アーバン銀行様、最後にたねや様、和菓子、洋菓子もありますけど、たねやの心を学ばせていただく、たねやの製造場所を訪問する研修になります。
これが京セラのフィロソフィに学ぶという、サントリーホールディングス、ここはお客様の声を生かす事業を進めております。
それから野村ホールディングスは今後の世界経済、日本経済を展望する。それと関西アーバンは企業会計について学ばせていただくことになります。以上私の方からの発表とさせていただきます。
[読売新聞]
節電に関連してお伺いしたいんですけれども、昨日の県公館の話し合いの中では、最終的に15パーセントお願いしますという関電の方は結論を求めたと思うんですが、各府県とも15パーセントの論拠があやふやであると、15パーセントといいつつ、広域連合は当初10パーセントと言いつつ、若干混乱しているかもしれないという状況の中で、どういうメッセージを発信するかということをお伺いしたいんですけれども。
今日は関西広域連合としてのキックオフ、そこではパーセンテージは申し上げません。関電さんは7月1日ということです。
今週の25日に広域連合の連合委員会、知事たちが集まる会議があります。そこで関電さんも来られる予定でございますので、25日に数値のところは調整できたらと思います。調整できないと両方併存ということになるかもしれません。このあたりは1週間ほど余裕をいただきたいと思います。いずれにしろ東京のように電気事業法27条によって、罰則付きの節電ではございませんので、もちろんそれぞれの管理者、あるいは業界別の目標というのは必要だと思うんですけれども、全体で15パーセント、そもそも不合理です。最初に申し上げましたように、産業界なり、命を守るところに対してはこの全体15パーセントというのは、私ども最初から反対をしておりますので、この数値のところは少し時間をいただきたいと思います。
[NHK]
原発についてお尋ねしたいんですが、先週、経産省の方が可能なものについては、原発の稼働を再開したいということをおっしゃられましたけれども、それについての知事の見解と、もう一点改めて脱原発というのが広がりつつあるんですが、知事の原子力政策に対する見解を改めてお願いします。
3月15日の記者会見の時にも申し上げたかと思います。研究者として、びわ湖の水質、生態系、あるいは人と湖の関わりというようなことを研究していた時代からこんなに琵琶湖の保全努力して、下流に対して安全な水を供給するという活動、何十年積み上げても、万一若狭の原子力発電所で、北西の風、北の風が強い日に事故が起きたらあっという間だと、最悪の汚染が起きてしまうということは、心配をしておりました。ただ国の方は、絶対安全という形でずっと言い続けておりましたので、行政としてはその絶対安全、しかもEPZが10キロということで、これは一種の想定ですね、10キロ以外は影響ないというEPZを信じて、知事としての政策を進めてまいりました。
今回EPZは完全にくずれました。20キロ、30キロそれだけではなくて飯館村などは、40キロ、50キロ、離れているところで、全村離村というような大変な、日本の歴史始まって以来の環境汚染だと思います。
私は琵琶湖の研究、水俣の研究などしながら、戦後のあるいは日本の近代化の中での公害問題研究してまいりましたが、もうそのレベルを超える最大の環境破壊、今起きている訳です。まだ収束できていない。収束の見通しがたたない。そういう中で、しかも国際的には、ドイツやイタリア、福島の影響で原子力発電所の依存度を下げよう、あるいはやめようと言っている。それに対して私たちはある価値観の選択をしないといけないと思っております。
これはもう、技術の問題ではない。価値観の選択だと思っております。
そういうところで、若狭のことを考えますと、3つの不安があります。この3つの不安は、福井の西川知事の思いと共有します。
一つは浜岡以外は安全だと言ったその論拠がわからない。
神戸大学の地震学の専門の石橋克彦さんあの方は地震が起きて原発の事故が起きるということを、ずっと1990年代から予想していて、原発震災という言葉を作られた方ですけれども、石橋さんが浜岡は確かにハイリスクだけど、次のリスクは若狭だと、なぜなら活断層がかなりあり、そしてすでに活動期に入っていると言っておられます。
浜岡以外のところがなぜ安全なのか、その2つめは地震の問題です。福島も津波で壊れたと言うんですけれど、津波が来る前に地震で損傷がかなりいっていたんじゃないでしょうか。ここは情報公開がきちんとできておりません。
3点目は老朽化です。あの世界では高経年化というらしいですが、老朽化、日本で最も古い商用原発としてはですね、美浜がございます。というところから安全性という意味では、今、例え6月18日に浜岡以外は安全ですと言っていただいても、これは若狭の方が信じられないのと同じように私も信じられません。滋賀県民の命と暮らしを守り、1400万人の関西の皆さんの命の水を守るという意味からして、できるだけ早く、ハイリスクな原子力発電所はやめてほしいと、ただ、ここ1年、2年でどうにもならないと思います。
ここはそれこそしっかりと、代替エネルギー、その代替エネルギーのためには技術だけではなくて、仕組みが必要です。地域独占と言われるような社会的仕組みに対しても、かなりの大きな転換が必要です。
その一つが今、国会に出されております、全量買い取り制度ですね、首の皮が繋がっているか、繋がっていないかという管さんと同じくらい危ないところにいるんですけれども、全量買い取り制度は通していただきたい。再生可能エネルギーをですね、そうすると技術の次の経済として成り立ちます。経済として成り立ったら、そのあと、ビジネスとして参入が増えてくる。この辺をしっかりと工程表作る必要があると思っております。今度の25日関西広域連合でもここは話し合いをしたい。つまり関西は電気を使う運命共同体であるなら、水を使う運命共同体なんです。ですから、これは単なる受益者としていられない。供給側の悩み、苦しみも当事者として関わっていただいて、広域連合の方で、工程表、もちろん、滋賀は環境保全の責任を負っておりますので、皆で力を合わせて、提案をしていきたいと思います。ただ、そんなに1ヶ月、2ヶ月でできるものではないと、かなり時間をかけてじっくりとやっていきたいと思っております。これのもう一つの広域連合の取り組みが地域防災計画、広域の地域防災計画、これは兵庫が作っておられますけれども、まさに津波、一昨日だったでしょうか、中央防災会議で川田委員長が今の想定最悪の想定を考えると、大阪は5メートルか6メートルの津波、大阪の街の中心部は皆やられてしまいます。あそこの高潮はせいぜい、2メートルから25メートルまでしか、対応できてないんです。まして地下街が多いというところからすると、大阪の津波対策は大変な危機です。もちろん、和歌山、徳島も大変ですけど、万一の時は大阪がまさに文明化され、皆さんが自然と離れているが故に大変だと思います。もう一つの最大の危機が原子力発電所です。広域防災計画の中に入れていただきたいと思っております。
というような背景を考えると、私はここで、今日も関西電力の森会長は原子力重視という姿勢は維持し続けるという自然エネルギーはあてにならない。そうやって50年、60年言い続けてきて、今の体制になっているわけですから、ここはやっぱり、価値転換が必要だと思っております。これは知事として、琵琶湖をお預かりする知事だからこそ、確実に代替可能エネルギーを探しながら、原子力発電所に頼らない、エネルギー政策を作っていかなければいけないと思っております。2日ほど前に前武村知事が卒原発という言葉を出してくださいました。原子力発電所から卒業しよう。言葉の感覚、ニュアンスとしてはそれに近いなと、脱原発というとそれだけで、イデオロギーになっていますから、私はまだ武村さんにお願いしないといけないんですが、この言葉を使わせていただいて、卒原発、気持ちとしてはそういう感じですね。卒業というのは1年で卒業か、10年で卒業か、今どの段階にいるかによって、何年かかって卒業するかということで、卒原発というのは一つの大事な表現かなと思っております。
ちょっと長くなりましたけれども、大変大事なところで、また県民の皆さんも本当に不安に思っておられますので、私自身はこの思いは、サイレントな県民の皆さんのかなりマジョリティだと思います。つまり、組織なりいろいろなところでは、なかなか言えない。立場もあるし、でも多くの方が、やっぱり危ないのはいやだよねと言っているこういう声は聞こえてきますし、サイレントな皆さんの声だと思います。この辺も県民、国民的議論巻き起こしていくということが大事ですので、これからそういう機会を県としても持っていきたい。単に賛成、反対ではなく。ここはエネルギーどうするのかという議論を巻き起こしていきたいと思っております。
[滋賀報知新聞]
今の問題にも関連しますが、ちょっと廃棄物のことで3点伺いたいんですが、1つは管理型の産業廃棄物の処分場のクリーンセンターについてなんですが、知事が3月28日の検討委員会の報告が提出されたときに東日本大震災から出たガレキですね。災害廃棄物をクリーンセンターで受け入れることができるかどうかですね、許可申請との調整を進めるよう担当課に指示したとされてますが、今どういうような現状になっているのかが1点。お伺いしたいと思います。そして、2点目は国の方が上水道の、水処理施設があって汚泥ですね、放射性の汚泥について1キログラムあたり8,000リットル以下はですね、処分場の埋め立て可能という判断をしているんですが、知事としてはどういうお考えなのかということと、これに関連してクリーンセンターで放射性の物質の比較的低いレベルを扱うお考えがあるのか、これが2点目です。3点目は安定型のRDの処分場について伺いたいんですが、昨年処分場の一部を公園として、北尾団地に無償で貸しておられるということなんですが、これについて県の方は省令、技術上の基準を定める省令によると、埋め立て、覆土すれば利用できるということなんですが、県がやられている有害物質調査検討委員会の委員の梶山弁護士の方は、廃止前の処分場が例外的に埋め立て以外の用途に使えるのは、支障除去のための措置とか廃止のための対策工事とかですね、あるいは資材の仮置き場、軽易な行為とか被害など必要な応急措置等に限定されると、従って廃止前の埋め立て地に自治会の広場としての使用は禁じられていると、解釈すべきであるという解釈をされているんですが、これについてのお考えですね、この3点を伺いたいんです。
まず1点目のクリーンセンターに東北の大震災の廃棄物が入れられるかどうかということで、検討をするように伝えてありますが、今日、廃棄物処分の担当はおられない。私の理解、具体的にどうかは後でまた聞いてください。ご存知のように3ヶ月経ってもなかなかガレキ処理がすすまないということで、どこまでいわばガレキの供給があるのかということも分かっておりませんので、ともかく国が動かないとあれは調整できません。ですから現実ほとんど進んでないと思います。2点目はそうこうしている間に1ヶ月程前から下水処理場で、最初に私が気がついたのは福島の中通りの福島中下水処理場です。そこでセシウムが出たということで、ずーとその後郡山だったり、福島市だったりして注視をしていたんですが、ようやく最近になって、先程のように下水処理場の汚泥の基準を800ベクレル以下であるなら埋め立て可能という基準を出しました。ただこの基準はお尋ねのように安全なのか、安全じゃないのか、私はまだそれを判断するだけの研究成果なり、県の方も業績の蓄積がございませんので、ここは判断を保留したいと思います。そもそもこれまでの環境行政は放射線を一切扱ってないんです。これは日本が極めて異例な、つまり放射線なり原子力行政は全て科学技術庁とあそこのところしか扱えなくて、研究者も手を出せなければ、環境省も手を出せないという領域だった。だからこういうことが起きるんですね。私はそのシステム自身が不備だということをまずは問題にしたいと思います。だから判断する材料がない、ここは自治体としてしっかり声を上げていきたいと思います。それから、3点目のRDの安定型処分場で、北尾のところを遊び場に提供しているということです。梶山弁護士がそのように違法の可能性が高いと言ってらっしゃるということは滋賀報知さんの新聞記事、またもちろん担当からも報告を受けております。ここのところは50センチ以上の覆土をすれば、当面の利用はできるということを安定型処分場のですね、規則についての最終的な元締めである環境省は言っているということは、伺っております。それからそもそもこのRDは処分場の設置許可を失ったために、大変跡地としてはグレーな状態ですよね。という中にあって今地元の皆さんが、やはり一番近接の所で使わせてほしいというまさに当事者です、北尾は。しかも、危険性がないように覆土したというところから提供させていただいているわけで、まぁ当事者のみなさんの思いに少しでも沿うようにというのが、こちらの判断でございます。それ以上、違法かどうかということについては、またグレーな部分ですので、担当の方に聞いていただきたいと思います。中村課長、今のところ補足があったらお願いします。
【循環社会推進課】
ただいま知事がおっしゃったとおりでございます。環境省に確認しています。
[滋賀報知新聞]
もう1つ関連でお伺いをします。クリーンセンターの件なんですが、がれき等の災害の廃棄物をクリーンセンターで受け入れるということができるかどうかということで、知事もそれを原課に検討をさせたと指示を出されてるわけですが、地元ですね、甲賀市なり、神区のところで納得が取れるのかということがもう1つあるのと、あそこはご存知のとおり産廃ですから、一廃はですね、基本的にはまぁ受けないという形で来ているわけですが、その辺の地元との調整もいるように思うんですが、その辺は知事はどうお考えですか。
そこについても中村課長の方からお答えさせていただきます。
【循環社会推進課】
現況、環境省の方から全国の自治体に対して、災害廃棄物の受入れの容量についての照会がございましたので、私どもの方から県内の状況、クリーンセンターも含めてですね、ご報告させていただいております。その結果ですね、環境省の方ではそれぞれの府県とのマッチングをするというふうな話があるんですが、それ以後話は進んでおりません。したがいまして、具体的な事例はございません。ただ、環境省の方にですね、容量の話を申し上げましたという点については、甲賀市さんの方にお伝えしておりまして、今後必要な協議があれば進めていきたいと考えておるところでございます。
[滋賀報知新聞]
それはいつですか。いつ環境省と話をされたんですかね。
【循環社会推進課】
環境省から照会があったのが、4月に入るか、前後くらいだったと思います。それ以後、マッチングの話があったのが5月中旬くらいだったと思いますが、それ以後話は進んでおりません。
クリーンセンターの設置目的の中に、災害時の廃棄物を受け入れるというのはしっかりと入れておりますので、ただもちろん地元との協議、そして廃棄物そのものをきちんと評価をすると、むやみやたらに入れないというのは当然のことでございます。
[時事通信社]
社会保障と税の一体改革案に関してなんですけれども、昨日政府・与党がですね、先送りするという判断を下しましたが、それに対する受け止めと、先送りに伴う取組側の遅れることに対する懸念をどう感じていらっしゃるかというところ。あと、そのまま続けてお伺いしますが、当初の案に比べて国有利なものから地方への配慮が見られるような案に変更されてましたけれども、それに対する知事の受け止めと、それの背景にあります国と地方の協議の場の役割はどういうふうになっていたかという評価、あと最後にですね、地方単独がどれだけ反映されるかと、国と地方の配分がどのように反映されるかというのはまだ決まってませんけれども、それに対する知事の考えなり、要望なりを教えていただけますでしょうか。
まず、昨日せっかくの改革案が民主党さんの方の協議で見送られたということは、とっても残念です。そもそも今、社会保障の支出に見合うだけの歳入がなくて、この差額はみな借金で、次の世代に先送りをしているんです。こんなに未来破壊的な仕組みはございません。次の世代にツケを回して、今の世代が安穏と暮らすということは許されません。ですから、この社会保障と税の一体改革は、今の私たちの世代としてはぜひとも進めなければいけないということで、期待をしていたんですけど、見送られたというのはとっても残念です。できるだけ早いところでこの本格議論をまた再現していただきたいと思います。いわば選挙に負けるという、あるいはこういろいろな民主党さんの中の政局含みで本来国民にとって必要な政策が動かないということは大変、これは政治家としても残念に思います。2点目ですが、今回実は6月2日に示された当初案は、地方単独事業が社会保障の対象に含まれていなかったわけです。7兆円分くらいですね。例えば、ガンの検診であるとか、あるいは保育園の運営費なども含めて、最初の案では含まれていなかった。その7兆円の財源は地方が独自に取ってらっしゃいと、大変乱暴な案だったわけです。それが6月2日です。その後、幸いなことに、2つ目の質問ですね、国と地方の協議の場が今回の地域主権改革三法の中で成立をいたしました。これまでともすれば、市町村でも都道府県でも国にいろいろ提案・要望に行っても、聞き置かれても仕方なかったんですけど、今回は少なくともこの国と地方の協議の場で協議したことは国会で報告をするということで、国会という歯止めがついたという形で制度として一歩前進しております。その中で6月の13日だったでしょうか、国と地方の協議の場が開かれて、まさにさきほどのような地方単独の社会保障・事業費を地方単独で、財源を今回の一体改革の中から担保しないというのは極めて乱暴だということで、山田知事会会長、とっても頑張っていただいたと思います。それから、市長会の長岡・森市長ですね、も頑張っていただいたと思います。この国と地方の協議の場があったからこそ、この自治体の声を聞いていただいたということで、特に福祉の、かなりの実際のサービスは市町村ですから、市町村の意見も十分に聞いていただいて、対応していただいたんですが、ただまだまだ配分の中身についてはこの次の議論が必要だと思います。総務省も大変緻密なデータ出していただいております。ここはぜひ片山総務大臣と、それから山田知事会会長と、そして森市長会会長などを含めて、私たち自治体の思いを、次の第一歩、具体的な配分割合のところまで進めていただきたいと思います。そのためにも、この20日、昨日見送られたのは大変残念です。ぜひともマスコミのみなさんもこの不条理を声を上げて、伝えていただきたいと。国民のサービスを受ける方としたら、財源が地方なのか、国なのかわからないですよね。で、サービスがきちんと受けられたらいいわけです。でも、実態としては、本当に自治体の単独で入れているものもずいぶん多いということで、ここはしっかりと歳入を確保する。そして、次の世代に先送りしないという仕組みづくりは必要だと思っております。