千葉県の森田健作知事は18日、放射性セシウム濃度が1キログラム当たり8000ベクレルを超える指定廃棄物を、県営の手賀沼下水処理場(我孫子市)に一時保管することを決めた。7月にも仮設倉庫の建設に着工し、今秋にも稼働する計画。地元の我孫子市などでは依然反対の声が強いが、森田知事は「苦渋の決断」と述べ、理解を求めた。
手賀沼下水処理場の敷地のうち2万平方メートルを使い15棟の仮設倉庫を建設する。保管可能量は約2500トン。環境省が2014年度末までに県内で最終処分場を確保する方針を示したため保管期限は14年度末までとした。
仮設倉庫には、県北西部市町の保管場所からあふれた指定廃棄物を保管する。県資源循環推進課は「今後各市で保管できなくなる指定廃棄物の1年分に相当する量」が保管できるとみる。ただ最終処分場設置までに、再び置き場所が不足する可能性が大きい。「並行して各市で保管場所確保の努力をしてもらう必要がある」(同)
仮設倉庫はコンクリートの基礎の上に鉄骨の枠組みを作り、プラスチックのシートで覆う。「耐用年数は10年で台風にも耐えられる」。周囲にはU字溝を作り、倉庫内に雨水が入り込まないようにする。週に1度は放射線量を測定し、問題があれば搬入を停止する。
県内で保管する指定廃棄物は5月末時点で、ごみ焼却灰が約3600トン、下水汚泥焼却灰が約550トン。焼却を見合わせている剪定(せんてい)した枝などの保管量も約1万トンに達している。
手賀沼下水処理場での一時保管を受け、地元である我孫子市議会の川村義雄議長は2度にわたる手賀沼一時保管案の白紙撤回を求める決議に触れ「我々が断固拒否しているのを無視した動きで強硬すぎる」と憤った。
一方指定廃棄物の置き場所が確保できず、ごみ焼却施設が運転を停止した柏市の秋山浩保市長は「柏市のごみ処理行政は危機的な状況にある」と述べ「重く、厳しい決断をして頂いたことに心から感謝する」と話した。
我孫子市や印西市はこれまで、複数の候補地を示すよう県に要請してきた。我孫子市は19日、県に抗議文を郵送する。
■地元とは平行線続く
県が手賀沼下水処理場を候補として提案してから約8カ月。森田知事は同処理場での一時保管をようやく決断したが、地元の我孫子市や印西市の理解は得られていないままだ。手続き上、一時保管には地元の同意を必要としないが今後の反発は必至で、どう理解を求めていくかの課題が残る。
県が9日開いた住民説明会では、一時保管を考え直してほしい住民と安全性や公益性を強調する県との立場は終始平行線だった。森田知事は「これからも粘り強く理解を得られるよう努力する」と強調するが、説明会などに出向くことは「考えていない」という。一部住民に不利益を強いる割に自ら説明しようとしない姿勢に疑問も残る。
手賀沼はあくまで一時保管施設。最終処分場は、国が9月までに県内で候補地を選ぶ。主体はあくまで国だが県も支援をする方針。一時保管で相当な労力を割く中、地元の理解という大きな難題が再び待ち受けている。
森田健作、秋山浩保、保管
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