海賊版ダウンロードの罰則化などを盛り込んだ改正著作権法が20日、成立した。3年ぶりの法改正。罰則化は、インターネットユーザーの注目を集めたが、それ以外の内容でも、一般市民に関わりが深いものが含まれている。
海賊版ダウンロード罰則化案は、衆院文部科学委員会で、自民公明両党から提出された。政府提出の改正法案の一部に盛り込まれる形で、衆院でほとんど議論されないまま、可決。法案が送付された参院では、文教科学委員会で、賛成・反対それぞれの立場の参考人を4人呼び、約4時間の議論を経て、可決された。
法案成立によって、10月1日から、海賊版の音楽・動画ファイルと知りながらダウンロードした場合、懲役2年以下、200万円以下の罰金となる。「YouTube」などのストリーミング放送は対象外だ。
自公のダウンロード罰則化案を飲むのと引き換えに、可決された政府の改正法案では、市民生活にかかわる内容も含まれている。
「写り込み」規定では、たとえば自分の子どもを撮影した時に、人気アニメのキャラクターが背景に写り込んでしまった写真を、ブログなどで公開しても、キャラクターの権利者の著作権侵害にはならない。
絶版本が地方の図書館で見られる機会も増える。絶版本のデジタルデータに限り、国会図書館が地方や大学の図書館にネット配信ができるようになり、各図書館で一冊丸ごとでなければ、コピーも可能だ。
著作権の研究者が注目するのは、録音・録画技術に関する研究では、権利者に断らずに映画や音楽などを自由に使えるという規定だ。
岡本薫・政策研究大学院大学教授は「録音録画ならば企業が営利目的にする研究でもよいとした。研究目的の例外という扉を開いた点で画期的。著作権の例外規定となる研究の分野を今後拡大する検討も必要だろう」と話す。