訃報:原田正純さん死去77歳…水俣病研究の第一人者
毎日新聞 2012年06月11日 23時54分(最終更新 06月12日 01時02分)
カナダの先住民や中国での水銀被害、ベトナム戦争での米軍の枯れ葉剤使用に伴うダイオキシン被害の実態調査など海外での公害調査に携わった。国内でも63年の三井三池炭鉱(福岡県大牟田市)炭じん爆発事故に伴うCO(一酸化炭素)中毒やカネミ油症患者の診療に尽くした。
医学以外に広い分野から水俣病問題を考える「水俣学」を提唱した。潜在患者の広がりを示すため09年9月、不知火海沿岸住民約1400人を対象に実施された水俣病一斉検診にも実行委員長として参加するなど晩年まで水俣病問題とかかわり続けた。
72年に熊本大助教授、99年に熊本学園大教授。主な著書に水俣病問題を広く社会に伝えた「水俣病」(72年、岩波新書)をはじめ「水俣が映す世界」「水俣病にまなぶ旅」「宝子たち」など。【西貴晴】