韓国の研究グループが自閉症に関係する新たな遺伝子を発見し、この遺伝子の欠落によって自閉症が起きているメカニズムを解明しました。
ソウル大学や延世(ヨンセ)大学などによる共同研究チームは13日、「シャンク2」と呼ばれる遺伝子の欠陥が自閉症を誘発することをマウスによる実験で突き止めたと発表しました。
それによりますと、神経細胞の中にある「シャンク(Shank)2」遺伝子が働かないように遺伝子を操作したマウスの行動を観察したところ、マウスはほかの個体に関心を示さず、繰り返し自分のヒゲの手入れをするなど、典型的な自閉症の症状を見せたということです。
遺伝子に欠陥があるマウスの海馬を分析した結果、神経細胞で信号伝達にかかわる部位に問題が生じ、信号伝達が大きく減少していることが確認されました。
そして研究グループが問題の生じた脳の部位を刺激する薬物を投与したところ、マウスはほかの個体に関心を示すようになり、社会的な接触が改善したということです。
自閉症は、他人との感情的な相互作用ができずに特定の行動を繰り返す症状を示す病気で、世界人口の1%、韓国人の2~3%が患っています。
これまでの自閉症治療薬は、特定の行動を繰り返す症状を和らげることしかできませんが、今回の研究によって社会性の欠如を治療する薬の開発が期待されています。
今回の研究結果は、世界的な科学雑誌「ネイチャー」に掲載されました。