【その2】中国の軍拡・脅威の増大傾向が続いているのに、なぜ自衛隊の組織・規模そして防衛費を削減したのか?
我が国の防衛政策の基本は、紛争の未然防止/戦争の抑止にある。抑止を成り立たせるための条件は、(1)(脅威に対抗できる)十分な防衛力を持つこと、(2)それを行使する決意があること、(3)相手にその決意を悟らせることである。
新防衛大綱において自衛隊の組織・規模を削減ないしは抑制し、過去約10年間続いてきた防衛費の減額に歯止めを掛けなかったことは、明らかに抑止成立の条件を形骸化させた。
つまり、日本は、自国を守るに足る力を持たず、その意思さえないことを表明しているに等しく、我が国として最も重視すべき抑止政策の基本を自ら反故にして抑止力を著しく低下させた。今後、さらにこの動きを続けると、中国をミスリードすることは明らかだ。
我が国が抑止の実効性を高めるには、脅威対象国をあえて刺激しない曖昧戦略を採るとしても、予測される脅威に有効に対抗できる防衛力を着実に整備し、脅威の顕在に際しては個別的・集団的自衛権を果断に行使する国家の決意を表明し続けなければならない。
そして、尖閣諸島などへの挑発行動に対しては、実行動をもって毅然とした対応を取り、我が国の決意を悟らせることが不可欠である。
【その3】なぜ、陸上自衛隊は、一方的に人員・装備を削減されたのか?
新防衛大綱において、陸上自衛隊は現役(常備)自衛官を14万8千人から14万7千人に、戦車を600両から400百両に、火砲を600門/両から400門/両に、それぞれ削減されている。
海上自衛隊は、護衛艦が47隻から48隻に、またイージス・システム搭載護衛艦が4隻から6隻に強化され、潜水艦部隊が4個隊から6個潜水隊に(潜水艦が16隻から22隻体制に)増強されている。
航空自衛隊は、作戦機を350機から340機に削減されているが、戦闘機については260機を維持し、地対空誘導弾(ペトリオットPAC-3)が3個高射群から6個高射群全てに配備される。
全般的にみて、陸上自衛隊は一方的に人員・装備が削減され、海・空自衛隊は体制の変更などを伴うが、量的あるいは質的には僅かながら増強近代化されている。
このように、全体として削減されている防衛費の枠内で、相対的に海・空自衛隊重視に傾いたのには幾つかの理由が考えられる。
-
国家の危機管理態勢を建て直すべし! (2012.06.18)
-
増える軍事用ロボット、米軍機の3割は既に無人 (2012.06.13)
-
「防衛産業」がない日本、このまま防衛装備品は作れなくなるのか (2012.06.12)
-
歴史が教える海洋国家・日本への教訓 (2012.06.11)
-
なぜか「侵略的、非行集団」のレッテル、真の役割を知って日本にも「海兵隊」を (2012.06.05)
-
領海警備を巡る政治主導外交の蹉跌 (2012.05.30)
-
陸上自衛官の帽子を作ると他の帽子を作れなくなってしまう理由 (2012.05.29)
-
独立(自由)と平和(相互依存) (2012.05.21)
-
夢見る自衛官の子供たち、「将来は自衛隊!」 (2012.05.17)