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【東京】「立地県に配慮欠く」行為か 「原発」是非問う都民投票案否決
都民の意思表示は原発立地県への配慮に欠ける行為なのか。原発稼働の是非を問う都民投票条例案は都議会総務委員会で十八日、否決された。案に反対した自民、公明両会派が理由に挙げた一つに、東京電力の原発を抱える福島、新潟両県の人々の意見を聴かずに、都民が原発稼働に賛否を示すのは配慮に欠けるとの理屈がある。 (浜口武司) 最大の電力消費地である都は、確かに原発の恩恵をこうむってきた。原発という「迷惑施設」を原発立地地域に押しつけ、電力という果実だけを享受してきたのは事実だ。「都会の人間が、今更、原発が要る、要らないを言うのは都合が良すぎる」との批判も、傾聴に値する。 しかし、福島第一原発事故で、多くの人が古里を追われた現実を見てきた今、原発を再稼働させるべきか、させないべきかを真剣に考えることが、立地地域の人々を軽視することになるだろうか。 もし、再び福島第一のような事故が起これば、その地域の人々は古里を失う恐れが非常に高い。だからこそ、都民一人一人が原発を動かす意味をあらためて考えることも大切だ。動かすなら立地地域の人々に頭を下げてお願いし、動かさないなら電力が足りない不便や電気料金の値上がりも我慢する。その覚悟を示すことにもつながる。 地元経済へ与える原発の影響が大きいことも事実だろう。都民投票の結果、原発立地地域の人々が雇用を失うような事態は避けねばならない。 ただし、投票条例の趣旨は「知事と都議会は投票の結果を尊重し、東電や政府と協議し、都民の意思が反映されるよう努めなければならない」というものだ。仮に、原発稼働に反対という結果が出たなら、立地地域の経済振興や雇用確保も同時に求めればいい。都民投票が立地地域への配慮に欠けるという理屈は、どこか短絡的に過ぎると感じる。 PR情報
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