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記されなかった使い魔 その十

サイトは夢を見ていた。
夢の中でサイトは一人の少女になっていた。
桃色の髪の小さな幼女だ。
少女は両親や姉たち、使用人の前で魔法を使う事を尽く失敗し、自身の不甲斐なさに逃げ出した。
逃げ出した先は湖の上。
ボートを浮かべて、その上で横になる、そして静かに涙を流した。
長い間泣き続け、泣き疲れてしばし眠ってしまった少女は自身の体を揺り動かされて目を覚ました。
男が少女を抱きしめながら何か言っている。
男は少女を慰めているようだった。
「僕のルイズ、僕のルイズ」 と少女から涙がこぼれるたびに少女の名を呼びながら少女を撫でている。
少女は男に抱きついてスンスンとはなを鳴らした。
そして、男の顔が少女の顔に重なるように降りてくる。
少女は受け入れるように目を閉じて、少女の唇に男の唇が……

「ってギャーーーーーーーーー、男は絶対にイヤーーーーーーーー!」

サイトは悪夢から悲鳴を上げて目を覚ました。
心臓がズンドコ鳴り響き、気持ちの悪い汗が背中を流れている。
男にキスされる夢など、この上ない悪夢だった。
サイトのファーストキスが男というトラウマを激しく刺激する最悪の悪夢だ。
なぜこんな夢を見てしまったのか?
サイトには見当もつかなかった。
まさかサイトには男色の傾向があったのだろうか?
夢は無意識の願望だという、ならばサイトは少女になって男に慰められながらキスされたいとでも思っていたのだろうか?
ゾワゾワゾワと寒気が走った。
考えるだけで蕁麻疹が出そうだ。
気色が悪すぎる想像である。
サイトは断じてそんなものではないはずだ。
サイトはおっぱい好きのノーマルタイプの男のはず。
初体験だって女性だったのだ。
男が好きなんてそんなわけは談じてない。
そんなわけはないのだが……今見た夢はどう説明すればいいのか?
健全なおっぱい好きの矜持が揺らぐ。
健全な男としてのあり方も揺らぐ。

「っく、このままじゃやばい」

ここはもうおっぱいを見て、サイト自身の精神の建て直しを図るべきである。
サイトはモゾモゾと寝藁の中から立ち上がる。
起き上がると豪奢なベットの上で涎を垂らしながら、なにやらブツブツと呟くご主人様を見つけた。
何を言っているのかと耳を寄せる。

「だめです~、ワルド様~、って変なとこで出てくるんじゃないわよ、馬鹿犬~~」

途中からなにやらウンウンとうなされだした。
よくわからないご主人様だ。
とりあえず目の前のご主人様の平原では口直しはできないことはわかりきっている。
一瞥さえせずサイトは部屋をでた。
考えてみればこのまま夜這いするというのもおもしろい。
瓢箪からこま的に発想をポジティブに転換したサイトはウキウキする。
目指すは一番成功率が高そうなマチルダの部屋である。
結局のところ夜這いは成功しなかった。
マチルダは女性には毎月訪れるお客さんのせいで、機嫌が悪くサイトが部屋を訪れるや否やゴーレムによってサイトを叩き出した。
サイトはスゴスゴと引き下がったが、少し安心してもいた。
彼女とセックスしたとき記憶がないことからも恐らく避妊などはしていなかったはずだから、今回のおかげで子供が出来てはいないことをしって安心したのだ。
早く所帯をもってサーシャを安心させたいと思ったサイトだったが、自分が父親になるというのは、実感も湧かなかったから突然父親になる事に未知の恐怖を感じてしまっていた。
セックスしておいてそんなことを感じるのは、セックスが生殖行為である以上前提条件から間違っているが、酒の勢いでそういうことになった以上仕方がないことなのかもしれなかった。
マチルダの部屋を追い出されたサイトは思うところがあり学校を抜け出し、召喚された草原まで足を運んだ。
悪夢の事は忘れていた、それより考えなければならない事があった。
デルフを引き抜き地面に突き刺す。
そして自分もその横に寝転がった。

「どうしたよ、相棒。夜這いが失敗したのがそんなに悔しかったのか~?」

デルフの言葉にサイトは暫く虚空を見つめてから答えた。

「自分が父親にならなくてすんだと思うと変な気持ちなんだよな~」

デルフが茶化すように声を上げる。

「そいつは俺もおでれ~たぜ、あんなに獣のように交わったくせに出来ね~なんて、相棒種なしなんじゃね~か?」

「ちげ~よ、多分……」

「じゃぁ、何なんだ?」

サイトは考え込む、そしてぽつりとこぼした。

「俺みたいなのが父親になっていいのかなって考えたんだ」

デルフは沈黙して先を促した。

「俺は人殺しだ、仕方がなかったとはいえたくさんの人を殺してる。それも大量殺人者を鼻で笑えるぐらいに大勢だ。そんな自分が父親になっていいものなのか突きつけられた気分なんだよ」

デルフは黙して答えない。

「自分の世界にいるときは、平和な日常に隠れて違う世界のことだとごまかして忘れられてたけど、結局俺がしたことには違いがなくて、ましてやここは俺が人殺しをした世界で、そんな俺が新しい命を生み出すなんて……」

サイトは言葉を濁すがデルフにはサイトが言いたいことがわかった。
デルフがアドバイスしてやることは簡単だった。
デルフ自身多くの使い手に握られてきた剣であり、使い手の中にはサイトと同じ葛藤を抱き潰れてしまったものもいれば、乗り切ったものもいる。
乗り切ったものの例を挙げる事はできる、しかし結局のところは自身で回答を見つけ乗り切らなければならない問題なのだ。
ましてや父親になるというデルフにはできない問題をはらんでいる以上、サイト自身が答えを見つけなければならないと思う。
ただ、相棒がいつまでもこんなアンニュイな調子ではデルフとしてはたまったものでは無いので、からかうようにサイトに告げた。

「相棒がどう思おうと相棒の勝手さ、ただ相棒と似たようなことをしていたブリミルを見な!」

サイトがブリミルという言葉に耳をピクリと動かす。

「あいつはそんな相棒のような考えなんか知らんとばかしに、少なくとも三人の女と子供を作ってやがるんだぜ?」

今のトリステイン、アルビオン、ガリアはブリミルの直系の子孫である。
サイトはブルブルと震えていたが、一転勢いよく立ち上がり吼え狂った。

「ブリミルのやろ~~、ハーレムかハーレムなのか?なんてうらやましい!ずっけーーーぞ、こんちきしょーーーーーー!くっそー、ブリミルなんかには絶対に負けられん。俺もブリミル以上に奥さんもらっていっぱい子供作ってやる!あの世で臍を噛んでろ、元ご主人様!」

サーシャを取り合うある意味ライバル関係だったとサイトが思っているブリミルの偉業を聞いたサイトは、必ずその背中に追いついてやると、星空の中ついてこられるかと広い背中を見せるブリミルの幻影に堅く誓ったのだった。





記されなかった使い魔 その十





サイトはルイズについて学園の授業に出席していた。
サイトは実はこの授業に出席するのが結構好きだったりした。
サイト自身が魔法を使えるわけではないが、様々な魔法を見るのは楽しかった。
好奇心旺盛なサイトとしてはご馳走のようなひと時である。
目を輝かして授業に魅入るサイトをルイズが時折奇異の目で見るがそんなことなどお構いしだった。
今目の前ではギドーという教師が授業を始めたところだった。
なにやら顔色が悪い不気味な感じな教師である。
生徒たちを見下したようにしゃべるその様子は自身をよっぽど過大評価しているのがうかがえた。
そのギドーが最強の魔法の系統とは何かと生徒たちに聞いている。
サイトも最強の系統とは何かと考えてみる。
サイトが知る最強の魔法は間違いなく虚無だ。
大雑把で繊細な制御が難しいがその威力は折り紙つきだ。
しかし、あの教師の言い分はおそらく四系統と呼ばれる「火」「水」「風」「土」の中でどれが最強だと問うているのだと思われる。
サイトは四系統のすべての魔法を一応見ている。
召喚されたとき、決闘のとき、この間の変態襲撃のとき。
それを見るに魔法は使い手によってその威力が変わるので簡単には比べる事ができないのだと気づく。
同じ系統でもギーシュとマチルダではその技量に天と地ほどの差がある。
ましてや系統を混ぜる事もできるのだから単一の系統だけを比べて最強を決める事に意味があるのだろうか?
それぞれの属性に効果的な使い方や特徴があるのだから最強の魔法などというものはナンセンスなのではないか?
サイトはそう考察しているとギドーはキュルケに聞いてみたようだ。
キュルケは当然のごとく自身の「火」の系統こそが最強の魔法だ言い張っている。
なるほどと思うサイトだった。
サイトだからこそ最強の魔法などないというように考察したが、他の貴族たちは自身の魔法に誇りを持っているのだから自身の魔法こそが最強だと主張するのが当然なのだろう。
それに教師は異を唱えた。
ギドーいわく最強は「風」らしい。
おそらくギドーの得意属性なのだろう。
ギドーは教師として恥ずかしくないのか、生徒であるキュルケに魔法を撃ってみろと挑発する。
キュルケも熱しやすい性格そのままに教師のケンカをかって杖を振りかぶった。
う~んとサイトは沈思する。
この諍いを止めるのは容易い。
しかし、止めてよいものか?
キュルケが自身の魔法に誇りを持っているのはいいことだが、そこに過信しているのは愚かだとサイトは思う。
もし目の前のギドーという教師がそんなキュルケを修正しようとしているのなら、サイトが手を出すのは野暮というものだ。
ギドーの態度からその可能性は小さいような気がしたが、ゼロでもない。
サイトが態度を決め悩んでいるうちにキュルケの詠唱が完了した。
キュルケの頭上に子供なら丸ごとの見込めそうな火球が生まれる。
サイトが見た火の属性の中では一番強力そうな魔法だ。
しかし、それを見てもギドーの余裕の態度は崩れなかった。
キュルケが最後の確認をしたが、それを鼻で笑うようにギドーは返した。
キュルケがそうと冷酷になって杖を振り下ろす。
放たれた火球は勢いよくギドーに襲い掛かり、ギドーの風によって防がれた。
舞い上がる風は火球を瞬く間に鎮消し、その余波で持ってキュルケを吹き飛ばそうとする。
しかし、それを許すサイトではなかった。
こんな美味しいフラグを逃すなんてありえない。
キュルケにかっこよい姿を見せる千載一遇のチャンスである。
キュルケを吹き飛ばす風を遮るようにして踏み込んでて来たサイトがデルフを抜き放って剣を一振りする。
生じた烈風はギドーの風を相殺して逆に余波になってギドーの頬を浅く切り裂いた。
ギドーが突然現れたサイトはを見て苦虫を噛み潰したような顔をしながら聞いてくる。

「誰だね君は?授業の邪魔をしないでもらいたいのだが!」

サイトはデルフを背中に背負いなおしながら答えた。

「ルイズの使い魔です。いや~、美人が怪我するのは見たくないですから授業の邪魔をしたのは勘弁して下さい」

キュルケがサイトに抱きつき頬にキスしてくる。

「ダーリン、ありがとう、うれしいわ。このお礼に今晩ベットをともにしませんこと?」

押し付けられる胸にサイトの顔がデレェーと歪む。
役得役得。
それを見たギドーの顔が一瞬羨ましげになった染まった気がしたが、すぐに平静を取り戻して授業を再開した。
サイトはおっぱいの感触を名残惜しく思いながらも、ルイズの隣に戻る。
キュルケが後で会いましょとサイトに投げキッスをした。
サイト自身ブリミルより多くの嫁さんをもらおうと決意した身だ、やぶさかではない。
今日はキュルケと朝までサタデーナイトフィーバーだと古い事を考えていたサイトだったが、席に戻って隣のルイズの形相を見てあきらめた。
ルイズが般若の顔でサイトに告げている。
行ったら殺す。
机の下サイトに押し付けられた杖から今にも虚無魔法が発動しそうで恐怖に額に汗かくサイトだった。
そうこうしていると突然、教室のドアが開かれた。
「大変ですぞ、大変ですぞ」と見慣れぬ?いやどこかで見たような男が現れる。
誰だっただろうか?
考えているとサイトの脳裏にある人物が浮かび上がった。
ブフーと思わず噴出してしまう。
あんたそんなわかりやすいカツラはないだろう。
あんな照りかえる太陽がまぶしいぐらいのつるっぱ毛だったくせに金髪のたてがみロールってどうなのよ。
ナイスセレクト、サイトを笑い殺すつもりだなと悶絶して机下に蹲るサイトの脳裏には召喚された日にもっとも強い魔法使いだと感じたハゲの教師と今のたてがみロールの教師が互いにカツラを渡しあいながらラインダンスを踊っていた。
そんなサイトをルイズがかわいそうなものをみるような生暖かい目で見ていた。
男はギドーにむかって「失礼しますぞ」と断ってから生徒たちに向かってもったいぶった口調で言った。
それはトリステイン王女アンリエッタ姫がこの学院を訪問するということだった。
笑いの発作を必死に抑える中、サイトは高飛びしなきゃと冷静に考えていた。
アンリエッタ姫は今のサイトにとって地雷だった。
かわいい乳が大きいサイト好みの美少女であるアンリエッタ姫であるが、彼女に出会うことはサイトにとって変態の烙印を押されるかもしれない、今のハルケギニアで一番の危険地帯だ。
くそー、それもこれも全部あの変態のモットが悪いんだと八つ当たりをしながら、巨乳美少女から逃げなければならない不条理に涙するサイトだった。







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テーマ : 自作小説(二次創作)
ジャンル : 小説・文学

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Author:yaishima
どうも細々とss書いてる屋鳥といいます。
どこぞでお会いしたかたはこんにちは、初めての方ははじめまして。
拙い作品ばかりでお目見汚しですが楽しんでいただければ幸いです。

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