記されなかった使い魔 その八
サイトはご機嫌だった。
なんといっても初体験を済ましてしまったのだから。
例え記憶はなくとも。
なんといっても初体験を済ましてしまったのだから。
例え記憶はなくとも。
しかも美人のおねぇさんとの初体験だったのだから。
例え記憶になくとも。
野獣のようにあの危険な美女を蹂躙したのだから。
しつこく言うが、記憶がなくても。
そう、例え記憶がなかったとしてもサイトは脱童貞を果たしたのである。
しかも、マチルダと付き合うという展開はなかったが、これからも酒に付き合うことは約束し、学院で顔を会わせればあの理知的な顔に柔和な笑みを浮かべて会釈してくれるというかなりうれしい関係を築けたのである。
だから、高慢ちきなご主人にシルクのパンツの洗濯を命じられても、そんなにムカつかないのである。
当社費0.89倍ぐらいムカつかないのだ。
今はなにかもう世界のすべてを許せてしまいそうな心地だった。
だから夜中に噴水に手を突っ込んで、ご主人様のパンツをしもやけになりそうになりながら洗わされても、そんなに切れそうになったりはしないのだ。
正直、ふざけろ貧乳!と思わないでもないのだが……
「でもあいつにシルクってもったいないんじゃね~の、だいたい見せる相手もいないだろうに?」
もうちょっと大人になってからこういう手洗いしなければいけない高級な下着に手を出せと思うサイトである。
つ~か、使い魔にしろ一応男のサイトに自分のはいた下着を洗わせる女ってど~よ?
ありえなくない?
女としてむしろ終わってるでしょ?
そうルイズについて思うサイトだったが、これがマチルダやキュルケ、シエスタのものだったらすすんで手洗いしただろう。
彼はそういう変態だった。
ルイズの事をどうこう言える男ではない。
「つ~か、手洗いってこんなもんでいいのか?なぁ、シエスタ?」
そう背後から近づいていた気配に対して、サイトは聞いてみた。
シエスタはピクリと反応してサイトに答えた。
「驚いた、いつ気づいたんです?」
「まぁ、シエスタが庭に出てきたときぐらいからかな?」
死ににくい体を持っているせいで、気配には無頓着なサイトだが、感じられないというわけではない。
むしろ読もうと思えば半径200メートルぐらいの気配なら読んでみせる。
ただいつもそんなに気を張っていたら疲れるのでいつもは無頓着なのだ。
しかし、今はご主人様の下着を洗わされているなんてみっともない姿なので、あまり他人に見られたくなかったから、気配を読んでいた。
だからシエスタの接近に気づいた。
そして、シエスタならサイトは主人の下着を洗わされている姿を見せてもかまわない相手だった。
彼女がサイトの攻略対象外というわけではない。
むしろ本命に近い彼女である。
現在のところサイトが綺麗だな、かわいいな、付き合いたいな、乳がでかいなと思う、美女、美少女は三人。
一番、危険な美女にしてトリスティンの闇夜に舞う、キャッツアイな怪盗。
土くれのフーケこと「マチルダ・オブ・サウスゴータ」
サイトの初体験の相手である。
二番、ゲルマニアの淑女にして妖艶なる褐色の美女、魔法学院の男子生徒の夜のおかずNo1。
微熱ことキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー 。
彼女は他に男がたくさんいるらしいのが問題だ。
三番、、魔法学園に咲く唯一の癒し花、清楚さは誰にも負けない、貴族にはない純朴さはポイント高い、ポイントたかいぞーーーーーーー!
メイドことシエスタ。
なんか目の色彩がおかしくなったんじゃないかと思うほど奇怪な髪の色をしているこの世界において、サイトの目に優しい黒髪の美少女である。
三人とも巨乳なのは間違いない。
この三人のなかでシエスタは唯一貴族の出ではない平民だ。
サイトと同じ庶民の出である彼女はこんな風にご主人様の下着を洗わせられるサイトを見れば親近感を湧かせて、サイトに好印象を持ってくれるのではないか?
そんな打算でシエスタの接近に気づきながらも下着を洗うのを止めなかったサイトであった。
「やっぱりスゴイですね、サイトさん!平民なのにスゴく強くて、貴族なんて関係ないって私を庇ってくれて、憧れちゃいます……」
そう言ってサイトの隣にしゃがみ込んでサイトに手から下着を手に取り洗い出すシエスタ。
この子、メイドの鑑や~!
こんなメイド、一家に一台欲しいものである。
彼女は冷たい水で手がかじかむだろうに、そんなことは感じていないかのようにサイトにこうするんですよ?と微笑みながら下着を手洗いするさまを見せてくれる。
家庭的な女の子っていいなぁ~~と素直に思うサイトである。
そのシエスタの胸がサイトの腕に押し付けられている。
やばいな~、我が息子よ、この間初体験を済ましたばかりだというのだから、そういきり立つでない。
そのサイトの言葉に息子さんは答えた。
父さん!ある格言を教えてあげるよ。
それはそれ、これはこれ。
隣の柿は甘く見えるのさ。
大体、父さんは記憶がないのだから、しっかりとやってみたくはないのかい?
そうだよな~、初体験を済ませたけどなんだか実感ないんだよな~と嘆息してしまうサイトだった。
目の前の少女を見る。
一生懸命洗濯する刷るその姿。
時折、目にかかった黒髪をかき上げる姿なんか、もう辛抱溜まらんですタイ。
思はず、僕のトランクスも毎日洗ってくださいとプロポーズ的な意味で口走ってしまいそうなサイトだった。
そのシエスタが洗い終わったのかパンツの水気を切り、サイトにそれを差し出してくる。
「シルクの下着は洗い方が難しいですから、これからは私たちメイドを頼ってくださいね?」
そういうシエスタの瞳がなぜか潤んでいた。
月明かりの中、パンツを手渡す女と受け取る男が二人。
一方は瞳を潤ませながら見つめあう。
パンツは邪魔だろ?っと正直突っ込みたい場面だが、それはそれで滑稽な喜劇の始まりの場面としては似つかわしかった。
このときシエスタの様子に気づけていたのなら、後の惨劇を防ぐことができたのかもしれない、後々、サイトはそう語ることになる。
記されなかった使い魔 その八
翌日、少し変だったシエスタの様子を気にしたサイトは厨房にシエスタを尋ねてみた。
だが、シエスタはいない。
昼時の直前はたいていこの場所にいるのに今日に限っていない。
休みか?そう思ってマルトーの親父に尋ねてみるサイト。
マルトー親父は腕のいい学園の食堂のコックである。
感激屋のところがたまに傷な陽気な親父だ。
「なぁ、シエスタいないの?」
それに鍋を煮込んでいた親父は、鍋から一言も目を離さず答えた・
「我らが超人じゃないか!昨日の夜、シエスタに聞かなかったのか?」
昨日の夜って、あの後シエスタはサイトの瞳をジッと見つめていたが唐突に「今までありがとうございました!」といって逃げ去ってしまった。
サイトもパンツを手に持っていなければそのまま追いかけたのだが、パンツを持っていたので追跡はあきらめたのだ。
学園内でパンツを手に少女を追いかけたらまるっきり犯罪者だ、そんな高いリスクを犯すのは無理だった。
「別に?なんか様子は変だったけど……っていうかその超人って止めてくれよ」
「はは、謙遜するな我らが超人。そうか……シエスタの奴言えなかったか……」
マルトー親父が何かを思い出したのか気落ちするように肩を落とした。
「シエスタは、シエスタのやつはよぉ~~~~!」
そう言ってなぜか号泣し始める親父。
なぜ泣く?
いい年した中年のくせに……
「シエスタのやつは変態貴族に見込まれて、奉公に買い取られちまたんだよーーーーーー!」
う~~ん。
何それ?
買い取られた?
まさか人買いでもあるまいし……
「買い取られたって奴隷でもあるまいし……」
「超人『だから、止めろって!』わかった、サイト……この世界じゃ、貴族に命令されれば平民は絶対に逆らえないんだよ、かわいいそうなシエスタ……今夜にはあの変態の慰み者に……」
なんだそりゃ?
貴族だからなんだって?
貴族だからサイトに何の断りもなくシエスタを連れて行ったと?
貴族だからシエスタの同意も得ずにシエスタを連れ去ったと?
ふざけるなよ?
シエスタは……
あのメイドは……
あの黒髪の美少女は……何よりもあの乳は!
「アレ(シエスタの乳)は俺のもんじゃ!」
サイトはそう言って踵を返して猛然と駆け出した。
後にはサイトの宣言に「シエスタを頼んだぜ、我らが超人」と天に祈る親父が残された。
サイトは走る。
一目散にルイズの部屋に、親父の超人の言にふさわしい、まさに超人的な脚力にものを言わせて廊下をひた走る。
それに合わせて竜巻のように風が舞い上がり、廊下を歩く女生徒のスカートを持ち上げ、幾人かの男子生徒にほんの数秒の桃源郷を見せたりしたが、そんなことはお構いなくサイトは走った。
ルイズの部屋のドアを蹴破るようにこじ開ける。
中ではご主人様がなぜか昼間から下着姿でベットの上で座り込んでいたが、そんなことはお構いなく部屋の隅に立てかけてあったデルフを担ぎ上げる。
視界の片隅ではご主人様がすばやくシーツを抱き寄せ、真っ赤になりながらサイトを恥ずかしそうな顔で見ている。
「おい、サイト?そんなに急いでどうしたよ?まさかご主人様が一人で慰めてるのを覗きに来たのか?」
慰める?何のことだ?
はっ!
なるほどそういうことね。
ルイズには悪いことをした、まさかお楽しみの最中であったとは……
つい最近童貞を脱するまでサイトもよくお世話になったものだ。
だが……
「いや、(ルイズのそれには)興味ない。それより急用ができた、今日、明日と帰らないんで、よろしく」
シュタとルイズのほうに手を上げるサイト。
なぜか知らないがワナワナと震えているルイズを尻目に一目散に窓から飛び出した。
その背後から「キシャーーー、馬鹿剣も馬鹿犬も粉々になるまで粉砕してやるーーーー!キシャーーーーーーーーーー!」という怪獣のような雄たけびが聞こえた。
そしてサイトはマチルダの部屋を訪ねていた。
正直に話してシエスタの場所を教えてくれるように頼む。
勢い込んで飛び出したには良いのだが、肝心のシエスタの居場所をマルト親父に聞くのを忘れていたのだ。
マルトー親父に聞きにいけばよいのかもしれないが、あの親父は貴族嫌いで有名なので、嫌いな貴族の領地の場所まで知っているかは心もとない。
そこでサイトが思いついたのがマチルダである。
彼女は貴族からお宝を盗む怪盗「土くれのフーケ」だ。
平民の美女を買い上げて変態行為に及ぶような最悪の貴族についてよく知っているはずである。
ましてや、学園では学園町の秘書という職業、自ずと情報が集まってくるのだ。
「まぁ、確かにそうだけど。その言い方は私が変態貴族の専門家みたいで微妙だね……」
それはサイトもそう思った。
「けど、あんたも変なやつだね。ただのメイドにそこまで入れ込むなんて惚れてんのかい?」
そう言うマチルダの顔は挑発的だった。
いや、妖艶だったと言い換えてもいい。
チロリとたまに唇を舐める。
ベットにしどけなく寝そべって誘うように言うその姿は、サイトの獣性を刺激してやまない。
「別にいいじゃないか、ただ女を抱きたいって言うんなら私が協力してやるよ?」
マチルダが服のボタンを外していく、一つ、一つ、そしてもう一つ。
服のしたからそれを押し上げようとする胸があらわになってくる。
黒の下着が覗いた。
さすがお姉様、ルイズのような白とは違う。
下着の黒は白の下着の三倍は妖艶なのだよ。
角の生えた紅いザクもかくやという破壊力なのだ。
白とは違う、白とは違うのだよ、白とはーーーーー!
だが……サイトは耐えた。
正直目の前のご馳走は美味しそうだ。
このまま飛びつけば甘美な体験を今度は完全に記憶を保ったまま迎えることができる。
それは最高の瞬間だろう。
だが……サイトは後味悪いのが大嫌いなのだ。
「マチルダさんを抱けるのは最高ですよ。でもここでマチルダさんを抱けばシエスタを見捨てることになる。そいつは後味が悪いし、いいかげんむかつくんですよね。貴族、貴族って貴族なら平民に何したっていいように振舞いやがって……シエスタに惚れてるかなんてわかんないけど、あの子がいい子だって俺は知っているんですよ」
そんなものは普段サイトを慕ってくれるシエスタを見ていればわかる。
彼女は心の優しいいい子で、変態貴族なんかに蹂躙されてよい存在ではない。
「力でそんなシエスタを蹂躙するのが貴族にとって正しいことなら、おれはそれ以上の力で貴族を蹂躙してやりますよ!」
それにシエスタの乳はもうサイトのものなのだ、すでに予約済み。
後から現れて掠め取ろうとは不貞やつである。
そのサイトの言にマチルダは胸元を広げたまま呆気にとられていたが、すぐに大声で笑い出した。
「あはっははっははははは、そんな理由で貴族に歯向かおうってかい、それで貴族を蹂躙してやるって?あはははっはははっは、あんた以外が言ったらどんな誇大妄想かって言うところだけど、あんたが言うと本気でできそうじゃないか。」
そういいながらマチルダはベットを降りてサイトに近づいてくる。
そのまま両手でサイトの頬を包んで、サイトの瞳を至近から覗き込む。
「ふふん、男の顔をしてるじゃないか……いいわね、後味が悪いか。そんな馬鹿な理由で戦う男は嫌いじゃないよ、サイト。それに貴族がムカつくってのは私も同感だ。」
そう言ってサイトの唇に彼女の唇を押し付ける。
進入してきた舌がサイトの口内を蹂躙した。
「いいわ、助けてやるよサイト。それじゃぁ、悪巧みをはじめようかい?」
そう言って妖艶に微笑むマチルダは美しかった。
ホンと、ホンともったいない。
記憶的には始めてされたディープなキッスに腰を砕けさせながらサイトは逃したご馳走を思って血の涙を今日も流すのだった。
例え記憶になくとも。
野獣のようにあの危険な美女を蹂躙したのだから。
しつこく言うが、記憶がなくても。
そう、例え記憶がなかったとしてもサイトは脱童貞を果たしたのである。
しかも、マチルダと付き合うという展開はなかったが、これからも酒に付き合うことは約束し、学院で顔を会わせればあの理知的な顔に柔和な笑みを浮かべて会釈してくれるというかなりうれしい関係を築けたのである。
だから、高慢ちきなご主人にシルクのパンツの洗濯を命じられても、そんなにムカつかないのである。
当社費0.89倍ぐらいムカつかないのだ。
今はなにかもう世界のすべてを許せてしまいそうな心地だった。
だから夜中に噴水に手を突っ込んで、ご主人様のパンツをしもやけになりそうになりながら洗わされても、そんなに切れそうになったりはしないのだ。
正直、ふざけろ貧乳!と思わないでもないのだが……
「でもあいつにシルクってもったいないんじゃね~の、だいたい見せる相手もいないだろうに?」
もうちょっと大人になってからこういう手洗いしなければいけない高級な下着に手を出せと思うサイトである。
つ~か、使い魔にしろ一応男のサイトに自分のはいた下着を洗わせる女ってど~よ?
ありえなくない?
女としてむしろ終わってるでしょ?
そうルイズについて思うサイトだったが、これがマチルダやキュルケ、シエスタのものだったらすすんで手洗いしただろう。
彼はそういう変態だった。
ルイズの事をどうこう言える男ではない。
「つ~か、手洗いってこんなもんでいいのか?なぁ、シエスタ?」
そう背後から近づいていた気配に対して、サイトは聞いてみた。
シエスタはピクリと反応してサイトに答えた。
「驚いた、いつ気づいたんです?」
「まぁ、シエスタが庭に出てきたときぐらいからかな?」
死ににくい体を持っているせいで、気配には無頓着なサイトだが、感じられないというわけではない。
むしろ読もうと思えば半径200メートルぐらいの気配なら読んでみせる。
ただいつもそんなに気を張っていたら疲れるのでいつもは無頓着なのだ。
しかし、今はご主人様の下着を洗わされているなんてみっともない姿なので、あまり他人に見られたくなかったから、気配を読んでいた。
だからシエスタの接近に気づいた。
そして、シエスタならサイトは主人の下着を洗わされている姿を見せてもかまわない相手だった。
彼女がサイトの攻略対象外というわけではない。
むしろ本命に近い彼女である。
現在のところサイトが綺麗だな、かわいいな、付き合いたいな、乳がでかいなと思う、美女、美少女は三人。
一番、危険な美女にしてトリスティンの闇夜に舞う、キャッツアイな怪盗。
土くれのフーケこと「マチルダ・オブ・サウスゴータ」
サイトの初体験の相手である。
二番、ゲルマニアの淑女にして妖艶なる褐色の美女、魔法学院の男子生徒の夜のおかずNo1。
微熱ことキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー 。
彼女は他に男がたくさんいるらしいのが問題だ。
三番、、魔法学園に咲く唯一の癒し花、清楚さは誰にも負けない、貴族にはない純朴さはポイント高い、ポイントたかいぞーーーーーーー!
メイドことシエスタ。
なんか目の色彩がおかしくなったんじゃないかと思うほど奇怪な髪の色をしているこの世界において、サイトの目に優しい黒髪の美少女である。
三人とも巨乳なのは間違いない。
この三人のなかでシエスタは唯一貴族の出ではない平民だ。
サイトと同じ庶民の出である彼女はこんな風にご主人様の下着を洗わせられるサイトを見れば親近感を湧かせて、サイトに好印象を持ってくれるのではないか?
そんな打算でシエスタの接近に気づきながらも下着を洗うのを止めなかったサイトであった。
「やっぱりスゴイですね、サイトさん!平民なのにスゴく強くて、貴族なんて関係ないって私を庇ってくれて、憧れちゃいます……」
そう言ってサイトの隣にしゃがみ込んでサイトに手から下着を手に取り洗い出すシエスタ。
この子、メイドの鑑や~!
こんなメイド、一家に一台欲しいものである。
彼女は冷たい水で手がかじかむだろうに、そんなことは感じていないかのようにサイトにこうするんですよ?と微笑みながら下着を手洗いするさまを見せてくれる。
家庭的な女の子っていいなぁ~~と素直に思うサイトである。
そのシエスタの胸がサイトの腕に押し付けられている。
やばいな~、我が息子よ、この間初体験を済ましたばかりだというのだから、そういきり立つでない。
そのサイトの言葉に息子さんは答えた。
父さん!ある格言を教えてあげるよ。
それはそれ、これはこれ。
隣の柿は甘く見えるのさ。
大体、父さんは記憶がないのだから、しっかりとやってみたくはないのかい?
そうだよな~、初体験を済ませたけどなんだか実感ないんだよな~と嘆息してしまうサイトだった。
目の前の少女を見る。
一生懸命洗濯する刷るその姿。
時折、目にかかった黒髪をかき上げる姿なんか、もう辛抱溜まらんですタイ。
思はず、僕のトランクスも毎日洗ってくださいとプロポーズ的な意味で口走ってしまいそうなサイトだった。
そのシエスタが洗い終わったのかパンツの水気を切り、サイトにそれを差し出してくる。
「シルクの下着は洗い方が難しいですから、これからは私たちメイドを頼ってくださいね?」
そういうシエスタの瞳がなぜか潤んでいた。
月明かりの中、パンツを手渡す女と受け取る男が二人。
一方は瞳を潤ませながら見つめあう。
パンツは邪魔だろ?っと正直突っ込みたい場面だが、それはそれで滑稽な喜劇の始まりの場面としては似つかわしかった。
このときシエスタの様子に気づけていたのなら、後の惨劇を防ぐことができたのかもしれない、後々、サイトはそう語ることになる。
記されなかった使い魔 その八
翌日、少し変だったシエスタの様子を気にしたサイトは厨房にシエスタを尋ねてみた。
だが、シエスタはいない。
昼時の直前はたいていこの場所にいるのに今日に限っていない。
休みか?そう思ってマルトーの親父に尋ねてみるサイト。
マルトー親父は腕のいい学園の食堂のコックである。
感激屋のところがたまに傷な陽気な親父だ。
「なぁ、シエスタいないの?」
それに鍋を煮込んでいた親父は、鍋から一言も目を離さず答えた・
「我らが超人じゃないか!昨日の夜、シエスタに聞かなかったのか?」
昨日の夜って、あの後シエスタはサイトの瞳をジッと見つめていたが唐突に「今までありがとうございました!」といって逃げ去ってしまった。
サイトもパンツを手に持っていなければそのまま追いかけたのだが、パンツを持っていたので追跡はあきらめたのだ。
学園内でパンツを手に少女を追いかけたらまるっきり犯罪者だ、そんな高いリスクを犯すのは無理だった。
「別に?なんか様子は変だったけど……っていうかその超人って止めてくれよ」
「はは、謙遜するな我らが超人。そうか……シエスタの奴言えなかったか……」
マルトー親父が何かを思い出したのか気落ちするように肩を落とした。
「シエスタは、シエスタのやつはよぉ~~~~!」
そう言ってなぜか号泣し始める親父。
なぜ泣く?
いい年した中年のくせに……
「シエスタのやつは変態貴族に見込まれて、奉公に買い取られちまたんだよーーーーーー!」
う~~ん。
何それ?
買い取られた?
まさか人買いでもあるまいし……
「買い取られたって奴隷でもあるまいし……」
「超人『だから、止めろって!』わかった、サイト……この世界じゃ、貴族に命令されれば平民は絶対に逆らえないんだよ、かわいいそうなシエスタ……今夜にはあの変態の慰み者に……」
なんだそりゃ?
貴族だからなんだって?
貴族だからサイトに何の断りもなくシエスタを連れて行ったと?
貴族だからシエスタの同意も得ずにシエスタを連れ去ったと?
ふざけるなよ?
シエスタは……
あのメイドは……
あの黒髪の美少女は……何よりもあの乳は!
「アレ(シエスタの乳)は俺のもんじゃ!」
サイトはそう言って踵を返して猛然と駆け出した。
後にはサイトの宣言に「シエスタを頼んだぜ、我らが超人」と天に祈る親父が残された。
サイトは走る。
一目散にルイズの部屋に、親父の超人の言にふさわしい、まさに超人的な脚力にものを言わせて廊下をひた走る。
それに合わせて竜巻のように風が舞い上がり、廊下を歩く女生徒のスカートを持ち上げ、幾人かの男子生徒にほんの数秒の桃源郷を見せたりしたが、そんなことはお構いなくサイトは走った。
ルイズの部屋のドアを蹴破るようにこじ開ける。
中ではご主人様がなぜか昼間から下着姿でベットの上で座り込んでいたが、そんなことはお構いなく部屋の隅に立てかけてあったデルフを担ぎ上げる。
視界の片隅ではご主人様がすばやくシーツを抱き寄せ、真っ赤になりながらサイトを恥ずかしそうな顔で見ている。
「おい、サイト?そんなに急いでどうしたよ?まさかご主人様が一人で慰めてるのを覗きに来たのか?」
慰める?何のことだ?
はっ!
なるほどそういうことね。
ルイズには悪いことをした、まさかお楽しみの最中であったとは……
つい最近童貞を脱するまでサイトもよくお世話になったものだ。
だが……
「いや、(ルイズのそれには)興味ない。それより急用ができた、今日、明日と帰らないんで、よろしく」
シュタとルイズのほうに手を上げるサイト。
なぜか知らないがワナワナと震えているルイズを尻目に一目散に窓から飛び出した。
その背後から「キシャーーー、馬鹿剣も馬鹿犬も粉々になるまで粉砕してやるーーーー!キシャーーーーーーーーーー!」という怪獣のような雄たけびが聞こえた。
そしてサイトはマチルダの部屋を訪ねていた。
正直に話してシエスタの場所を教えてくれるように頼む。
勢い込んで飛び出したには良いのだが、肝心のシエスタの居場所をマルト親父に聞くのを忘れていたのだ。
マルトー親父に聞きにいけばよいのかもしれないが、あの親父は貴族嫌いで有名なので、嫌いな貴族の領地の場所まで知っているかは心もとない。
そこでサイトが思いついたのがマチルダである。
彼女は貴族からお宝を盗む怪盗「土くれのフーケ」だ。
平民の美女を買い上げて変態行為に及ぶような最悪の貴族についてよく知っているはずである。
ましてや、学園では学園町の秘書という職業、自ずと情報が集まってくるのだ。
「まぁ、確かにそうだけど。その言い方は私が変態貴族の専門家みたいで微妙だね……」
それはサイトもそう思った。
「けど、あんたも変なやつだね。ただのメイドにそこまで入れ込むなんて惚れてんのかい?」
そう言うマチルダの顔は挑発的だった。
いや、妖艶だったと言い換えてもいい。
チロリとたまに唇を舐める。
ベットにしどけなく寝そべって誘うように言うその姿は、サイトの獣性を刺激してやまない。
「別にいいじゃないか、ただ女を抱きたいって言うんなら私が協力してやるよ?」
マチルダが服のボタンを外していく、一つ、一つ、そしてもう一つ。
服のしたからそれを押し上げようとする胸があらわになってくる。
黒の下着が覗いた。
さすがお姉様、ルイズのような白とは違う。
下着の黒は白の下着の三倍は妖艶なのだよ。
角の生えた紅いザクもかくやという破壊力なのだ。
白とは違う、白とは違うのだよ、白とはーーーーー!
だが……サイトは耐えた。
正直目の前のご馳走は美味しそうだ。
このまま飛びつけば甘美な体験を今度は完全に記憶を保ったまま迎えることができる。
それは最高の瞬間だろう。
だが……サイトは後味悪いのが大嫌いなのだ。
「マチルダさんを抱けるのは最高ですよ。でもここでマチルダさんを抱けばシエスタを見捨てることになる。そいつは後味が悪いし、いいかげんむかつくんですよね。貴族、貴族って貴族なら平民に何したっていいように振舞いやがって……シエスタに惚れてるかなんてわかんないけど、あの子がいい子だって俺は知っているんですよ」
そんなものは普段サイトを慕ってくれるシエスタを見ていればわかる。
彼女は心の優しいいい子で、変態貴族なんかに蹂躙されてよい存在ではない。
「力でそんなシエスタを蹂躙するのが貴族にとって正しいことなら、おれはそれ以上の力で貴族を蹂躙してやりますよ!」
それにシエスタの乳はもうサイトのものなのだ、すでに予約済み。
後から現れて掠め取ろうとは不貞やつである。
そのサイトの言にマチルダは胸元を広げたまま呆気にとられていたが、すぐに大声で笑い出した。
「あはっははっははははは、そんな理由で貴族に歯向かおうってかい、それで貴族を蹂躙してやるって?あはははっはははっは、あんた以外が言ったらどんな誇大妄想かって言うところだけど、あんたが言うと本気でできそうじゃないか。」
そういいながらマチルダはベットを降りてサイトに近づいてくる。
そのまま両手でサイトの頬を包んで、サイトの瞳を至近から覗き込む。
「ふふん、男の顔をしてるじゃないか……いいわね、後味が悪いか。そんな馬鹿な理由で戦う男は嫌いじゃないよ、サイト。それに貴族がムカつくってのは私も同感だ。」
そう言ってサイトの唇に彼女の唇を押し付ける。
進入してきた舌がサイトの口内を蹂躙した。
「いいわ、助けてやるよサイト。それじゃぁ、悪巧みをはじめようかい?」
そう言って妖艶に微笑むマチルダは美しかった。
ホンと、ホンともったいない。
記憶的には始めてされたディープなキッスに腰を砕けさせながらサイトは逃したご馳走を思って血の涙を今日も流すのだった。
テーマ : 自作小説(二次創作)
ジャンル : 小説・文学