スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消せます。 拍手する

記されなかった使い魔 その四

サイトの投げた教壇は食堂の高い天井すれすれまで上昇し、重力に従って急降下を始めた。
教壇自体の重さと高いところからの落下で、質量兵器となった教壇は、そのままナルシス君たちが座って食事を取っている長机に激突し、真っ二つに叩き割った。
その衝撃でナルシス君やその周りでメイドの子がいじめらていたのを黙ってみていたばか者どもも、吹き飛ばされる。
それに追撃するように跳ね上げられた食器やら銀のナイフやら、フォークやら食事の残りが馬鹿どもに降り注いだ。
なにやら運がいい奴らが多かったようで、大きな怪我をしたやつらもいなかったようだ。
ナルシス君などは吹き飛ばされたところで尻餅をついた後、股間すれすれにナイフが振ってきたようでズボンに染みを作っている最中である。
ざまぁーーーーーーみろ!
もちろんメイドの子も吹き飛ばされるのだが、そこはサイトが回りこんで受け止めてやる。
「キャ」なんて小さな悲鳴がとてもかわいらしくて、これで顔がかわいくて、胸が大きければかなり役得だと思ったら、この子マジでかわいい、胸もでけぇえええーーー!
これはイヨイヨ運が向いてきたんではありませんか~~~~!

「君、大丈夫?」

「えぇ、あの、その……」

うむ、どうも混乱しているらしい。
その混乱する様子も庇護欲がかきたてられてかわいらしすぎる。
黒髪のそのメイドちゃんはなにやらサイトと同じ日本人に近い顔を持っていて、オリエンタルな感じがメイド服と絶妙なハーモニーをかもし出し、彼女の逸在感を演出していた。
ここはこのまま口説くべきか?そんなことを考えていたサイトだったが、そこに罵声がかけられた。

「貴様、なんのつもりだ?貴族にこんなことをしてタダですむと思っているのか!」

お漏らし君がいきがっている。
それにメイドちゃんがビクと震えた。
何をそんなに怖がっているのかサイトにはわからない。
だってお漏らし君はズボンに盛大にシミを作りながら、その足はいまだに教壇落下の衝撃から立ち直っていないのかブルブルと子犬のように震えている。
これの何を怖がれというのか?

「二股八つ当たり野郎に天誅を下してやったんだ!あとイジメを周りで黙ってみていた奴らも同罪ね!」

それにお漏らし君の巻き添えを食った連中がふざけるなと声を上げる。

「なんで俺たちがこんな目にあわなければいけないんだ!悪いのはギーシュだろうが!それに平民を責めて何が悪いんだ」

「そうだ大体二股したギーシュも悪いけど、そのメイドだって不注意だったんじゃないか、平民は貴族に奉仕するためにいるんだ、こんなこと当たり前にあることだろ」

「全くだ、それを平民風情が僕たちをこんな目に合わせるなんて、死刑だ、こんな平民たちは死刑にしてやる!」

その言葉にメイドの子が顔を青ざめさせた。
なんて腐った奴らだろうか?
馬鹿どもを攻撃したのはサイトでメイドちゃんは特に何もしていない。
それを二人とも死刑?
サイト一人を攻撃してくるなら、許してもやれた。
喧嘩を吹っかけたのはサイトだ、いくらでも相手にしてやる、だが、こんなかわいい巨乳のメイドっ子を巻き込むだと?
こん馬鹿どもは殲滅するべきやもしれん。
そう覚悟を決めたサイトだったが、意外な事にそれに待ったをかけた男がいた。
お漏らし君である。

「まぁ、待てよ、みんな。そのメイドの子は貴族の偉大さを理解しているようだから、許してやろうじゃないか、見なよ、あんなに震えている。あんなか弱い花を手折ってしまうのは無粋にすぎる」

いちいち言う事がキザったらしいが、女を無意味に殺すような下種ではなかったらしい。
だがその周りの奴らは失格だ。

「関係ないね!こんなコケにされたんだ、絶対に死刑だ!」

「そうだ、そうだ、どうしてくれる、このマントも服もそこの平民が一生働いても返せないほどの高級品なんだぞ、それをこんなに汚しやがって!」

「だいたいギーシュもよくそんなことに言えるな!君だって、ハハ、ズボンの汚れの責任を取らせるべきじゃないか!」

こいつらは完全に失格だな、半殺し決定。
平賀サイトの人間試験。
不合格、三名、名称不明!
ギリギリ合格、お漏らしナルシス君こと、ギーシュ君。

「うるさい、うるさい、うるさい!とにかくそのメイドの子はもう行きたまえ、君はこれからのことになんの関係もないから!」

その言葉に弾かれたようにメイドちゃんが駆け出して言った、あ~ぁ、まだ名前も聞いてなかったのに……
で、これからのことに関係あるだろうサイトにこのダメ男達は何をしてくれるんだろうか?
いい加減サイトも切れかけていた。
さっきから貴族、貴族と貴族といえばなんでもしていいかのように尊大に振舞う馬鹿者どもを叩きつぶしてやりたくてしかたがない。
初めは二股野郎への嫉妬と関係の無いメイドの子に八つ当たりする理不尽にむかついて事を起こしたが、今は貴族貴族と権威を笠に来てやりたい放題する馬鹿者どもが心底むかついていた。

「それで関係あるだろう俺に何してくれるんだ?」

そう言うサイトにギーシュは懐から、バラを取り出し、それをサイトに突き出した。

「君に決闘を申し込む!それも君一人対ここにいる君に迷惑をかけられた僕を含めた四人だ!これなら君たちも納得するだろう?」

それに三人の馬鹿どもが色をなしたように大声を上げた。

「そりゃあいい、愚鈍な平民に貴族の偉大さを教えるにはちょうどいいじゃないか!」

「ふふん、手加減はしなくていいだろう?」

「タダで済むと思うなよ、平民!」

お~、お~、サイトの実力も知らずに吼えてくれちゃって、まぁ。
やられ役というのは、こうまでむなしい者かとかわいそうに思うサイトだった。
そこにギーシュが話しかける。

「逃げるとは言わないよね、平民君?」

そりゃ、逃げはしけけれど……

「とりあえず、そのションベン引っかぶったズボンを変えてからにしてくれよな……」

「うるさい!」

というわけで決闘である。



記されなかった使い魔 その四


決闘は一時間後にヴェストリの広場で決まった。
ヴェストリの広場ってどこだよと思うサイトだったが、それもあのメイドちゃんとルイズによって解決した。
二人ともサイトを探していたらしく、サイトを見つけるや否やサイトに詰め寄った。
メイドちゃんいわく、あなた殺されちゃうわ!
ルイズいわく、平民は絶対に貴族に勝てないのよ!
かわいい巨乳少女に攻め寄られる(ルイズ?はん、貧乳はおとといきやがれ!)のは、かなりうれしいのだが言っている事が気にいらなかった。
メイドちゃんにしてもサイトが絶対に負けると思っているのもそうだが、貴族に対して卑屈すぎるのが気になる。
ルイズにしても貴族の絶対性を盲信しているくせに、その貴族であるルイズが、しかも散々他の人間より魔法に対して努力していると言ったそのルイズが、召喚した使い魔(サイトは認めてないけど)を信じもせず弱いと決め付けているようで気に触った。
大体魔法が使えるからなんだというのだ?
叩いて、切って、燃やして、毒殺して死ぬというのならサイトと比べれば脆弱に過ぎる。
男と初チューという絶望の思い出とともに手に入れたルーンの力がサイトに不死身の肉体と強靭な力を与えていた、まして左手には仮の主人であるルイズに与えられたガンダールブの力さえ宿っている。
今のサイトは自分がどれだけの力を発揮できるのか皆目見当が付いていなかった、それでもハルケギニア大冒険をこなしていたあのころを遥かに凌駕した力を振るえることを確信している。
なぜならガンダールブはあのサーシャが宿していた力なのだ、ブリミルと組めばサイトと互角に戦えたサーシャが……
話を聞いていると貴族は魔法を使い平民よりも強いから、エライ!というような論法で貴族の優位性を説明されたが、その説明なら大半の貴族よりサイトは偉くなる。
あれ?サイトはこの世界を世界征服できるんじゃないか?
まぁやる気もないし、そんなことをすればサーシャに殺されるから、やらないけど……

「とにかく、力がすべてなんて考えているお子ちゃまたちには一度しっかり叩いてわからせてやらないとダメなんだって!」

「無理に決まってるでしょ!だいたいあんたは私の使い魔なんだから、黙って言う事聞けばいいのよ!」

「あのミス・ヴァリーエールのおっしゃるとおりですから、ここは逃げてください!」

埒が明かなかった。
もう実際に見せてわからせるしかないだろう。

「で、ヴェストリの広場ってどっち?」

ルイズが馬鹿にしたように言う。

「それを私が言うとでも思ってるの?」

腕を組んでない胸を張って高慢に言うルイズだったが、それを隣にいたメイドが台無しにした。

「あっ、はい、それはこのまままっすぐ行けばすぐです」

脊髄反射のように答えてくれたメイドちゃんはメイドの鏡である。
それに唖然としていたルイズが激昂した。

「このメイド!何言っちゃてるのよ、サイトが死んだらどうしてくれるの?」

「ひ~~ん、ごめんなさーーーい」

うわぁ~、なんか萌える。
っと、萌えている場合じゃなかった。
今にもメイドに手を上げそうなルイズとメイドの間に割って入った。

「まぁ~、まぁ~、回復の薬があるんだから死にやしないって……」

相手がだけどな!

「そうだけど、でも私の使い魔が怪我されるのなんて嫌だわ!」

よし、言質を取った。
もしやと思い、回復の薬の所在を確認したがここにもあったようで安心した。
たぶん、サーシャさんが作ったエルフの秘薬ほど回復力はすごくないだろうけど、回復する薬はあるようだ。
ならば半殺しにするのも問題ない。
もし、そんなに効かなくてもサイトが自分で作れば問題なし。
これで思う存分ぶん殴れる。
あの薬、現代医薬の常識を覆すような回復力を実現してるんだよね。
それとルイズ、何度も言うようだが俺はルイズの使い魔じゃない!

「ふん、なんと言おうがあんたは私の使い魔なんだから!」

そういうルイズはひどく得意げな顔をしていて、なんかむかついた。


ヴェストリの広場にて

ズボンを変えたギーシュがバラを口に銜え、ファサと前髪をかきあげて大声で宣誓した。

「諸君、決闘だ!」

それにヤジウマどもが歓声を上げる。
うるさいっつーの。
どいつもこいつも人を生贄にされた罪人みたいに見やがって、気分が悪いったら無い。
ルイズがギーシュたちに向かって突っかかっていった。
まだ納得していなかったらしい、ここまで話が大きくなって止められるわけも無かろうに……
サイトが周りを見渡すと、キュルケと青い髪の幼女がこちらを見ていた。
相変わらず眼福の胸を持っていらっしゃる。
思わず拝みたくなるサイトだった。
そのキュルケはサイトに向かって投げキッスをしてくれた。

「使い魔さん、がんばってね!」

俄然やる気が漲るサイトだった。
その隣の幼女は本を読みつつ、時折こちらを鋭い目で見ている。
へ~、その幼女は見かけによらず鋭い気配をその身に宿していた。
この学園では初日にあったハゲの先生以外ではここまでの戦闘者の気配を宿していたものはサイトには覚えが無い。
キュルケも中々だが、隣の幼女には一歩遅れを取っているんじゃなかろうか?
あの年でね~~~?と思ったサイトだったがそこで重大な事に気づいた。
ここは学校だったのだ。
ということはルイズもあの幼女もキュルケと同い歳?
なんて、なんてかわいそうな奴らなんだ!
ぶわ~~~と涙を流すサイトである。
もう成長は望めないその乳にはもはや哀悼を捧げるしか、サイトにはそれしか出来ない。
そしてキュルケの胸よそこまで育ってくれたありがとう!
そのサイトに鋭い目線をよこした青髪の幼女の額に血管が浮き出る、そして杖を構えて、呪文を詠唱しだしたが、慌てたキュルケにとめられていた。
何か気に触ることでもあったのだろうか?
首をかしげるサイトにギーシュが怒声を上げた。

「君はさっきから、人の話を聴いているのか?貴族が名乗りを上げているのにそれを無視するなんてなんて平民だ!」

「うっせーよ、弱いものいじめしか出来ないような男の腐ったような奴らの名前なんか知った事か!さっさとかかってこいつ~の!」

それにギーシュたちの顔が憤りに染まる。

「わかった、君には何も言っても無駄のようだね!では覚悟するといい!」

そういうと四人して詠唱を始めた。
こいつら戦い方も知らないのだろうか?四人して詠唱したら無防備になるだろうに……
ここで瞬時に近づいてたこ殴りにしてもいいのだが、でもまぁ実力差がありすぎるから先制ぐらい許してやろう。
一発喰らったら正当防衛の言い訳も立つし。
待っていたら、詠唱が終わったらしい。
ギーシュはおそらく青銅のゴーレムを呼び出したのだろう、それを自分達の守りに配置した。
美しいワルキューレの姿のそれをサイトはかっこいいと思った。
サイトにも一分の一で巨乳の美女の銅像を作ってくれないものか?
作ってくれたら喜んで部屋に飾るのに……
ギーシュはそのワルキューレを一人に一体配置し、自分の傍に三体を控えさしている。
これは驚き、少しは戦いのイロハを知っていたらしい。
そのちょっと驚いていたサイトに他の三人の魔法が襲い掛かった。
頭大の火球と足を狙ったかまいたちが襲い掛かる。
サイトの顔が炎上し、腕が薄く切り裂かれる。
そしてその上から大量の水が降ってきた。
こいつらもしかしてアホなのか?
火に水かけてどうするんだ?
こんな程度なら傷が付くと同時に直ってしまう。
もしかして情けでもかけられた?と思ってギーシュたちのほうを見るとワルキューレが二体、サイトのほうに襲いかかろうと宙をすべるように走ってくる。
そしてその後方ではワルキューレに守られた三人がまた魔法を詠唱していた。
素かよ!
ダメだ、こりゃ。
こんなのに息巻いていたなんて自分がはずかしい。
弱いってわかっていたはずなのに、テンションに流された自分が恥ずかしかった。
もういいや、さっさと終わらせよう。
右足に力を込めて力いっぱい大地を蹴る。
それだけでサイトの体は空高く跳ね上がった。
トンボを切りながら詠唱中の三人の背後に着地する。
自動でそれに反応したワルキューレが迎撃に来るのを待つことなく、撫でるようにその胴体に触れて力いっぱい押し出した。
ワルキューレが銅クズになりながら吹き飛ぶ。
同じように残りに二体を吹き飛ばす。
そしていまだにサイトが何処に行ったのかわからず辺りを見回している、三人のうちの一人の懐に潜り込んでリバーブローで肋骨をへし折った。
えぐり込むように撃つべし、でも本気でやると貫通しちゃうんで実際はちょっと押したぐらい。
そしてようやく気づいた残りの二人のうち一人の足を刈って、頭から地面に激突しそうになったところにローキックをぶちかました、少なくても鼻は複雑骨折だろう。
これも本気でやると頭をサッカーボールのように吹き飛ばしてしまうので、注意が必要だ。
そして最後に残った何がなにやらわかっていない顔をしている馬鹿を、アディオスといいながらお空に向かって放り投げた。
注意しないと何処まで飛ばしてしまうやらサイト自身にもわからないので要注意である。
今回もそいつは校舎の倍ぐらいまで投げ飛ばされてしまい、このままでは死んでしまうので地面に激突寸前で縮み上がった股間に蹴りをいれその威力を受け流した、潰れてしまったかもしれないがそこは知らん、変な感触はなかったからうまく力を受け流せたらしい、それでも完全ではなかったから今は悶絶ものであろう、ある意味なんの骨も折らなかったが一番こいつが悲惨だったかもしれん。
この間、ほんの数十秒、投げ飛ばした馬鹿が落ちてくるのを待たなかったらほんの数秒だっただろう。
地面には悶絶して涙を流し、うめている男が三人。
またつまらぬものを殴ってしまった。
半殺しにするつもりだけど、これ以上やるのはイジメに過ぎん。
イジメかっこ悪い。
でもまぁ、後はギーシュ君一人ってわけだ。
サイトがギーシュのほうに振り向くと、ギーシュは呆然としていた。
というより辺り全体が唖然呆然、愕然といった有様だ。
ルイズなんか口をこれでもかとあけて間抜け顔で固まっている。
ふふん、サイトさんの実力を見たか!
これで貴族貴族と偉そうにはさせんぞ!
どうだと手を上げると、数瞬のあとワァと歓声が沸いた。
メイドちゃんなんかキラキラした目でサイトを見ているし、キュルケも獲物を狙う雌豹のような目でサイトを見ている。
惚れるなよ、いやいや出来れば惚れてください。
さぁー、ショータイムだとばかりにゆっくりとギーシュに近づいていく。

「さぁ、ぼっこぼこにしてやんよ!」

それに対してギーシュは怯えたような顔をしたが、さっすがにサイトの人間試験で合格しただけはある男の顔で新たなワルキューレを召喚しつつサイトに話しかけてきた。

「まいったな、まさか、メイジだったとはね。どこに杖を隠しているか知らないけど、まんまと騙されていたよ。」

強けりゃメイジか?この世界の常識はどうなってしまったのだろう?
サイトが知るこの世界にはこんな強ければメイジなんていう暴論は存在しなかった。
所変われば品変わるというけど、国が違うとこんなものなのか?

「どうでもいいけどよ、なんでそんな自信満々なんだ?」

「それはこういうことさ!」

サイトの足元で粉々に砕けたはずのワルキューレが瞬時に復元し、襲い掛かってくる。
へ~、新しく召喚したかと思ったら、意表をつくために小細工を弄してきたのか?
でも……
ワルキューレの槍がサイトに突き刺さる。
それを見てギーシュがやったという顔をする。
でも、こんな槍程度じゃ瞬時に回復しゃうんだよね。
サイトに物理攻撃でちょとでも傷をつけたいならグレンラガンのドリルでも持ってきて欲しいものだ。
手刀を作ってワルキューレの腕を切り飛ばし、残った胴体を蹴っ飛ばす。
腕から槍を引き抜きサイトは構えた。
ガンダールブのルーンがサイトに新たな力を与える。
うわ~~、これは反則だわ。
体感的に身体能力が二倍ほどに跳ね上がった気がする。
タダでさえ身体能力も反則値だったのに、これはもうチートである。
能力値カンストである。
しかも毎ターン、HP全回復。
どこのラスボスだよってもんである。

「きっ、君は何なんだ?」

ギーシュが後づ去って、怯えながら聞いてくる。
まぁ、自分の魔法のゴーレムを紙切れのように消し飛ばし、槍に刺されたくせにピンピンしてるサイトを見れば怯えもするだろう。
っていうかサイトは何なのか?
新ためて考えてみると、よくわからない。
ルイズに召喚されたわけだけど、使い魔だと認めてはいないから、使い魔だとは名乗れない。
ブリミルの第四の使い魔でサーシャの息子とは、相手がブリミルとサーシャを知らないだろうから名乗っても意味はない。
高校二年の男子生徒、これも特に意味ないだろう。
う~~ん、悩んでしまう。
首をひねり出したサイトにギーシュが首を振った。

「君はそんなに強いというのに自身が誇るべき二つ名を持たないというのかい?」

二つ名ね~、あれだろゼロとかさ爆発とかさ。
そんなものはいらんちゅ~の。

「でもまぁ、しいて言えば、俺は守護者なのかな?」

ブリミルやサーシャ、ヴィンダールブ、ミョズニトニルンたちとともにブリミルの部族を守るために戦った。
そのための力がサイトに宿っているルーンだ。
それにギーシュが愕然としたように膝をついた。

「何ということだ、君はあのか弱い少女を守るためにその力を示したというんだね!あぁ、目が覚めるようだ、そうだ、貴族の力は弱き民を守るためにあったというのに…・・・完敗だ、僕達の完敗だよ!」

なにか勝手に納得して、勝手に結論を出したらしい。
変な奴である。
だが、メイドちゃんに八つ当たりをしたのを後悔したようだが、二人の少女を手篭めにし、うらやま……もとい非道なまねを働いた清算は済んでない。
一人、勝手に完敗だなどといっているが、こういう奴は一度痛い目にあわないとわからないのである。
よってサイトは槍を振りかぶりギーシュの手前の地面に向かって投げようとしたのだが、そこに金髪のクルクルロールの少女が立ちふさがった。

「止めて、もう負けたといっているわ!」

「モンモランシー!」

くっ、なかなかの乳を持つ少女!
貴様、ギーシュ!これを好き放題にしていたというのか!
これを持っていながら二股をかけていたというのか!
許せん、これはもう絶対に許せん。
この滾る嫉妬心どうしてくれようか!
槍を手前の地面に投げつけて、その衝撃波でお仕置きを終えようと思ったがもうこれは突き刺すしかあるまい。
後のことはしらん、あの乳を思うように揉みしだく権利をもちながら、二股なんてかけたギーシュが悪い。
死ね~~~、ギーシュ。
これが乳を愛する男の一撃だ。
怒りに燃えるサイトのゲイボルク(致命傷的な意味で)が放たれようとした、まさにその時。
フニョんとサイトの両腕に心地よい感触が伝わった。
ニヘラ、思わずサイトの顔が緩む。
右手にはメイドちゃんが「おめでとうございます!」とキラキラした笑顔で胸を押し付けるようにして抱きついている。
左手にはキュルケが「ダー~~リン、すごいわね!私燃え上がったちゃったわ!」とこちらも胸を押し付けて抱きついている。
至福である。
お前の罪を許そう、ギーシュ。
これはもう二股もありだわ。
だってこんなに気持ちいいんですもん。
なんか二人ともその気持ちいい感触が微妙に違うんですもん。
というわけで二つの乳に気をとられ、自称ご主人様の対応を怠ったサイトは、使い魔だと思っているサイトがご主人の祝いの言葉を聞きもせず、先祖伝来のライバルに鼻を伸ばしていたことで急速沸騰したルイズに四回目の殺人未遂をされたのだった。



拍手する

テーマ : 自作小説(二次創作)
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:yaishima
どうも細々とss書いてる屋鳥といいます。
どこぞでお会いしたかたはこんにちは、初めての方ははじめまして。
拙い作品ばかりでお目見汚しですが楽しんでいただければ幸いです。

FC2カウンター
FC2カウンター
現在の閲覧者数:
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード