阪急阪神ホールディングスの定期株主総会が先日、大阪市内で行われ、借金生活で4位と低迷の続く阪神球団に対する批判が株主から続出した。阪神の低空飛行に不満を抱いているのはファンや株主だけではない。虎軍団の動向が関西経済に大きな影響を与えるとあって、関西財界から和田阪神に対して「AKB48を見習え!」という提言も飛び出した。
経営陣への質疑応答が進む中、男性株主が「阪神タイガースの件ですが…」と切り出した。「若手が育っていない。外から城島、小林宏と給料の高い選手を獲得して、不良債権を抱えているようなもの。若い選手を育てて5年後、10年後に強いタイガースにしてほしい」。さらに女性株主が舌禍騒動と不振に悩むマートンについて「今年は、おととしや昨年のような熱気が感じられない。今後の契約は、どうなっているのか」と迫った。
今季も4位と苦戦が続き、世代交代という大きな課題も前進していない。このまま再び低迷期に突入してしまうのではないかと、株主が大きな不安を抱くのも当然だろう。
この沈滞ムードを象徴するようにファンの虎離れも進んでいる。交流戦終了時の本拠地での観客動員数は、昨年の1試合平均4万3068人に対して、今年は3万9837人。3231人の減少で、このペースだと年間23万人以上、減ってしまう計算だ。関西経済の研究を続けている関西大大学院の宮本勝浩教授(67)は〝虎離れ〟の原因について「今の戦いぶりではファンが期待感を抱くことはできない。それが観客動員に表れている」と指摘する。
そこでAKB48だ。関西経済の重鎮は「AKBが人気を集めているのも、売れる前からファンが思い入れのあるメンバーを応援するという流れがあるからだ。強引にでも若手を抜てきしていれば、今は結果が出なくても、熱心なファンが〝将来、この若い選手が頑張ってくれるはず〟と期待感や夢を持つことができる」と提案する。
財界関係者も「もう何年も同じメンバーで戦っている。しかも、ベテランの力が明らかに落ちているにもかかわらず、若い選手が出てこない。ここまでチーム状態が悪いなら、若い選手を使った方がファンの楽しみが増える」と説明。現状打破のためにも、今こそ若虎起用しかないというのが財界の意見だ。
提案は、これだけではない。波に乗り切れない最大の原因は深刻な得点力不足。財界関係者は「ここまで打てないなら、もっと思い切った作戦を取るべきだ。バントやスクイズを多用しているけど、まだ4番にはさせていない。地味な作戦だが、徹底すればサプライズになる。こういう意外性や必死さがファンを引きつけるし、チームにも活気が出てくる」と和田采配に注文をつけた。関西財界も厳しい目で和田阪神の戦いぶりをチェックしている。