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宮城海区漁業調整委、8月改選 水産特区で「無風」一転

 8月に改選となる宮城海区漁業調整委員会の選挙(7月24日告示、8月2日投票)に、宮城県内の漁業者の関心が高まっている。東日本大震災後、村井嘉浩知事が打ち出した沿岸漁業権を民間に開放する「水産業復興特区」構想が争点に浮上しているからだ。海区委は漁業権の免許を審査する機関で、これまで漁協関係者が当選してきた。過去30年以上も無投票が続いたが、一転して選挙戦となる波乱含みの展開も想定される。(報道部・馬場崇)

 同構想を提唱した村井知事は、2013年の漁業権免許更新期に合わせ、特区を導入する意向を示している。免許を与えるのは知事の権限だが、その是非を審議するのは、今回の選挙で選ばれた委員になる。
 海区委は漁業者代表の公選委員9人と、学識代表などの知事選任委員6人の計15人で構成する。いずれも任期は4年。
 漁業者代表の選挙は公選法が準用される。選挙権・被選挙権があるのは20歳以上で県内沿岸15市町に住所があり、年90日以上、漁業に従事する人。2010年12月現在の有権者は4753人。
 選挙は無投票がほぼ慣例化してきた。候補者は「三陸沿岸、仙台湾など地域バランスを考慮したり、地域内の暗黙の了解で決まったりしていた」(漁業関係者)という。
 最後にあった選挙戦は1980年。その後、補選を含む8回の選挙は全て無投票だった。漁業者の減少に伴う後継者不足や大きな争点がなかったことも理由とみられる。
 今回の改選もひっそりと進むはずだったが、水産業復興特区構想で状況は一変した。
 特区構想に対し、県漁協は反対の意思決定をしている。漁業関係者は「候補者は特区への賛否が問われ、有権者の判断基準になる」と語り、特区の争点化をにじませる。
 選挙戦は県内水産業の将来に影響を及ぼしそうだ。県南の漁業者は「海区委選挙は、漁業者の意見を直接、県の施策に反映できる機会。課題が山積みの中、水産県・宮城の今後を左右する大事な選挙だ」と選挙の意義を強調した。

◎県選管 有権者の大半被災、準備も異例ずくめ

 震災後初となる海区委選挙の準備は、異例ずくめで進んでいる。
 震災で沿岸部は大打撃を受け、漁業者の大半は家を失った。仮設住宅に移ったり、転居したりしていて、選挙人名簿の作成は難航している。
 例年、名簿の確定日は「選挙前年の12月5日」だったが、今回は国の特例法で告示日の5日前、7月19日となった。
 県選管は漁協、市町選管を通じ、名簿作成に必要な有権者登録申請を呼び掛け、名簿作成にこぎ着けた。担当者は「有権者数はだいぶ落ち込みそうだ」とみる。
 選挙戦になれば、昨年秋に行われた宮城県議選と同様、仮設住宅への投票所開設などの対応が求められそうだ。

[海区漁業調整委員会]漁業法に基づき、漁場計画の策定、漁業権の免許、漁業調整規則の制定に関する知事の諮問に対し答申するほか、漁業権の制限・条件付与について意見を申し立てる。漁場使用、水産動植物採捕の制限、禁止を指示する。         


2012年06月20日水曜日


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