高橋克也容疑者、菊地容疑者の同居人に脅され「金とられた」

　地下鉄サリン事件の殺人容疑などで逮捕されたオウム真理教元信者・高橋克也容疑者（５４）が、元信者・菊地直子容疑者（４０）と同居していた高橋寛人容疑者（４１）に「金を脅し取られた」と、“恐喝”されていたと供述していることが１９日、捜査関係者への取材で分かった。また、松本智津夫死刑囚（５７）＝教祖名・麻原彰晃＝を、現在も「尊師（そんし）」と、宗教指導者としての敬称で呼んでいることも分かった。

　警視庁築地署捜査本部によると、高橋克也容疑者は、菊地容疑者と同居し、犯人蔵匿容疑で逮捕された高橋寛人容疑者に「金を脅し取られた」と、“恐喝”について話していることが分かった。克也容疑者は一時期、「働いてためた」約１７００万円の現金を持っていたことが既に明らかになっている。

　これに対し、寛人容疑者の方は「（克也容疑者から）２００～３００万円借りた」と話しており、２人の供述は食い違いを見せている。捜査本部は、寛人容疑者が克也容疑者の潜伏先を通報するなどと脅し、金を奪っていた可能性もあるとみて、詳しい経緯を調べる。

　松本死刑囚の写真、著作、説法テープを逃走時に荷物に入れるなど、教団への帰依を続けていることが明るみになっている高橋克也容疑者だが、調べに対し、松本死刑囚のことを「尊師」と呼んでいることも明らかになった。

　尊師とは、教団内で松本死刑囚のことを呼ぶ際に、用いられていた尊称。宗教の指導者を意味する。松本死刑囚は、同じ意味の「グル」と呼ばれることもあった。いまだに尊称を用いていることからも、高橋容疑者が教祖を尊敬する心をいまだに持ち続けているとみられる。ただ、松本死刑囚のことを今どう思っているか、と問われると「ちょっと複雑な心境です」と答えるだけで、それ以上は口を閉ざすという。

　高橋容疑者は、地下鉄サリン事件について、事件前夜に、元幹部・井上嘉浩死刑囚（４２）に「何かをまいて騒ぎを起こす」とアジトで言われた、と供述していることも判明。井上死刑囚は、教団諜報（ちょうほう）省のトップで、高橋容疑者の“上司”に当たる。高橋容疑者は事件当日、散布役の豊田亨死刑囚（４４）を日比谷線中目黒駅まで車で運んだことは認めている。

（2012年6月20日06時03分スポーツ報知）