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【福井】

人手足りぬ介護現場 改善求める訴えも

介護の現場で雇用のミスマッチが急速に拡大しつつある=2日、福井市の福井商工会議所ビルで

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 「求人を出しても応募者がない」「人が定着しない」−。介護の需要が伸びる一方で、現場の人手不足感が高まっている。職員からは「重労働の割に低賃金」「(仕事の)成果が給与に反映される仕組みを」など、改善を求める多くの声が上がる。県内の介護現場の事情を追った。

■ミスマッチ

 六月二日に福井市内で開かれた医療、介護関係に特化した就職フェアには、過去五年で最多の五十二事業者が出展した。だが、来場者は百四十七人にとどまり、ピークだった二〇〇九年の七割以下に減少した。

 福祉関係の職業紹介を担う県福祉人材センター(福井市)によると、一〇年三月末に〇・九二倍だった有効求人倍率は、一二年三月末には二・〇四倍と急上昇。求人が百九十四事業所で計三百五人増えたのに、求職者は百四十四人減で、特に男性の減少が目立つ。センター事務局がある県社会福祉協議会は「景気が回復し、他業種に人が流れた。『重労働の割に低賃金』と敬遠する傾向が強まった」と話す。

■責任と待遇

 この十年間、介護サービスを提供する事業者や施設は、県内でも大幅に増えた。「訪問介護の拡充を考えている」「新施設を建設予定」など事業拡大に積極的な事業者もいる。

 国は職員の待遇改善に向け、〇九年十月に新たな交付金を創設。県長寿福祉課によると、〇八年度と一〇年度の賃金比較では、県内でも一人当たり月額一万六千三百二十五円アップした。

 それでも国の一〇年調査では、県内の介護職員の月額平均賃金は十九万五千五百円。製造業の二十八万千三百円、小売業の二十三万九千四百円に比べると格段に低い。一〇年の介護職員の県内の離職率も15・5%で、全産業の13・2%を上回る。

■切実な訴え

 こうした状況を、同課は「現場職員は若手が多く、一概に低水準と言い切れない」というが、福井市内の施設に勤務する三十代女性は「夜勤がある他の職種に比べれば低い。人手は減っており、責任も負担も重くなるばかり」とため息をつく。ある福祉施設は「介護の収入ではやっていけないと、結婚を機に退職した男性もいた」と明かす。

 低賃金の理由を多くの事業所は「収入の大半は介護報酬。待遇改善には介護報酬を上げるしかない」と訴える。しかし介護報酬は利用者の要介護度で決まるため、「お年寄りが元気になって要介護度が低下すると報酬は減る。(仕事の)成果が給与に反映される仕組みではない」と指摘し、国などに根本的な解決を求める声が相次いでいる。

 (北原愛)

 

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