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政治
【主張】連用制 党利党略の優先に呆れる
民主党が衆院選挙制度改革をめぐる政党間協議を打ち切り、比例代表の一部に小選挙区・比例代表連用制を導入する法案を単独で提出した。
300小選挙区で「0増5減」の定数是正を行うほか、比例代表の定数180を40減らし、このうち35を連用制にあてる内容だ。
自らの党利党略を優先する問題だらけの案であり、呆然(ぼうぜん)とせざるを得ない。
連用制は、選挙区で多くの議席を得る大政党に対して、比例票を圧縮して議席を得にくくする。逆に選挙区で議席をとれない中小政党に有利となるように、比例の議席を優先配分する。
こうした仕組みでは、新たな投票価値の不平等が生じる。大政党が過半数を得るのが困難になるばかりでなく、中小政党がキャスチングボートを握ることで政治を不安定化させかねない。
しかも、今回の連用制導入の背景には、これによって議席増が予想される公明党に配慮を示す狙いも見え隠れしている。
民主党は連用制部分を撤回すべきだ。露骨な党利党略は容認できないことを認識してほしい。
18日の与野党幹事長会談で民主党の輿石東幹事長が単独提出の方針を示したのに対し、公明党は法案への賛否は今後検討するとしたが、「連用制について一定程度の理解を得た」と民主党の法案提出を容認した。
民主党は連用制を一部導入した場合に、公明党の獲得議席がどれくらい増加するかの試算を重ねてきた。
自民党が連用制に強く反対しているため、あえて連用制を打ち出すことによって、自公共闘を分断する狙いがあったことも否定できないだろう。
比例代表でブロック単位を廃止して全国単位にしようとしているのも、地域政党の進出を少しでも食い止めるのが目的に見える。
一票の格差をめぐり、最高裁が「違憲状態」と指摘したことに加え、衆院選挙区画定審議会が区割り勧告を行えない違法状態もすでに4カ月近くに及んでいる。
自民党やみんなの党、たちあがれ日本は、「0増5減」の先行処理と連用制の導入反対で、ほぼ一致している。
「0増5減」の先行処理についてさらに合意を広げ、実現することが政府与党の責務である。
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