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【高橋乗宣の日本経済一歩先の真相】

増税前にやるべきことがある

【政治・経済】

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2012年6月15日 掲載

税収が増えれば緩む

 スペインの10年債の利回りが、14日の欧州債券市場で7%を突破した。自力での資金調達が難しくなるとされる水準で、財政再建が危ぶまれる状況だ。ギリシャから始まった危機は、じわりじわりと欧州を侵食している。いずれイタリアも火を噴くだろう。ユーロ市場が落ち着きを取り戻すのは困難な情勢である。
 国の借金が膨らんでいるのは日本も同じだ。安心はできないが、10年債の利回りは史上最低水準。今すぐにギリシャやスペインになることはない。それでも、借金をして社会保障に回すやり方は、限界に近づいている。いつまでも続けられるものではない。
 野田首相は、足りない分を消費税の増税で賄おうとしているが、難航している。制度を導入した旧自民党政権は、欧州では当たり前のインボイス方式を採用しなかった。そのため、だれがどの段階で消費税を負担したのかが不透明で、品目によって税率を変えたりすることもできなくなっている。低所得層対策で民自公3党の足並みが乱れるのは、最初の設計が間違っていたからだ。
 もっとも、いまさら根本から仕組みを変えるのは事実上不可能だろう。やれる範囲内でベストを目指すしかないが、このまま増税だけを先行させるのは無意味だ。小沢さんにエールを送るわけではないが、税収が増えれば緩みが出る。増税後はムダの排除など二の次、三の次となるだろう。現状のままで税収を増やそうとするのは、底の開いたバケツに水を入れるのと同じである。
 民主党は事業仕分けで政権交代の成果を演出したが、実際に削減された事業はチョボチョボだった。今や仕分けそのものもやめている。霞が関が抵抗する困難な作業は放り出し、役人の賛同を得られる増税は政治生命を懸けて実現させるというのでは、いかにもバランスが悪い。
 国境が低くなり、人も企業も自由に往来するグローバル時代である。国境を前提にした税制はそぐわない。日本人でも海外からの旅行者でも、日本でモノを買ったり飲み食いしたりすれば、税金を払わなければならない消費税は、時代に合っている。それだけに、まずはやるべきことを大急ぎでやってもらいたい。
【高橋乗宣】
~2012年6月15日以前の記事~

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