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政府 大飯原発の運転再開決定へ
6月16日 4時2分

政府 大飯原発の運転再開決定へ
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関西電力大飯原子力発電所の運転再開を巡り、政府は、福井県などの同意が得られる見通しとなったことから、16日、野田総理大臣をはじめ4人の関係大臣による会合を開き、運転再開を決定することにしています。

大飯原発の3号機と4号機を巡り、福井県の西川知事は、16日午前、野田総理大臣や枝野経済産業大臣らと面会し、運転再開を容認することを伝える方針です。
これを受けて、政府は、野田総理大臣、藤村官房長官、枝野経済産業大臣、細野原発事故担当大臣の4人の関係大臣による会合を開くことにしています。
この会合で政府は、立地自治体である福井県とおおい町の同意が得られている、福島の原発を襲ったレベルの地震や津波に見舞われたとしても対策は整っており、安全性は確保されている、さらに、電力需給のひっ迫は避けなければならず、国民の暮らしを守る必要があるとして、運転再開を決定することにしています。
この決定を受けて、関西電力は直ちに運転再開の作業に着手することにしていますが、安全面や技術面などでのチェックが必要なことから、本格的な運転は来月下旬ごろになる見通しです。
福島の原発事故以降、定期検査に入った原子炉は、安全性の観点から再稼働することができず、先月には、全国で運転中の原発がなくなる「原発ゼロ」の状態となっていましたが、今回の決定によって、政府は再び原発の利用に踏み出すことになります。
野田総理大臣は、先の記者会見で、大飯以外の原発についても「引き続き丁寧に個別に安全性を判断していく」と述べており、政府は、安全性が確認されれば、順次、停止中の原発の運転再開を検討していく方針です。

運転再開へのスケジュールは

大飯原発の3号機と4号機の2基がいずれも最大出力で発電を再開するまでに、早ければおよそ6週間と見込まれています。
定期検査中の大飯原発の3号機と4号機では、今後、原子炉を動かす場合、最終的な機器の点検や試験が行われます。
まず、発電用のタービンを回す蒸気や水が通る配管を洗ったり、配管内の水質を整えたりする作業が行われ、これらの作業にはおよそ10日間かかる見通しです。
続いて、原子炉を冷やす水が循環する配管に異常がないか点検したり、原子炉を止めるための制御棒が機能するか試験を行ったりして、さらにおよそ10日間費やすということです。
最終段階では、原子炉で制御棒を引き抜いて核分裂反応を起こし、臨界状態にしてから発電を始め、その後、出力を上げる計画です。
その結果、作業の開始から最大出力の118万キロワットで発電するまでに、早ければおよそ3週間と見込まれています。
一方で、原子炉を動かす一連の作業は、タービンに蒸気を送りながら実施する必要がありますが、蒸気を発生させる補助用のボイラーは大飯原発では1基分しかありません。
このため関西電力は、3号機を動かしたあとに、4号機での作業に取りかかる計画で、2基がいずれも最大出力で発電するまでに、早ければおよそ6週間と見込まれています。
関西電力によりますと、大飯原発の3号機が最大出力になるのは来月上旬、2基目の4号機が最大出力で動くのは来月下旬とみられています。

深刻事故の対策は道半ば

大飯原発では、大津波に備える対策が取られましたが、メルトダウンのような深刻な事故が起きたあとの対策は道半ばです。
政府は、大飯原発3号機と4号機について、去年春に実施した緊急的な安全対策などの結果、「福島第一原発を襲ったような地震や津波が来ても、原子炉などで炉心損傷が起きないための対策が取られている」と評価しました。
そのうえで政府は、ことし4月、原発の運転再開を判断する新たな基準を示して、メルトダウンのような深刻な事故が起きたあとを想定した、長期間かかる安全対策について先送りを認めました。
例えば、福島第一原発の事故で対策の拠点となった「免震重要棟」のような施設は3年後までに設置されるほか、放射性物質が放出する深刻な事故に備えて、フィルターの付いたベントの設備も3年後までに設置する予定になっています。
さらに、津波から守る防潮堤をかさ上げする工事は来年度中になるとしています。
また、メルトダウンが起きたあとの原発の安全対策を評価する「ストレステスト」の「2次評価」について、電力会社は、去年12月の期限を過ぎても結果を提出していません。
これに対して、国の原子力安全委員会は「1次評価だけでは原発の安全評価としては不十分だ」と批判し、早期に2次評価を実施するよう繰り返し求めています。

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