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運転再開 自治体の受け止めは
6月16日 17時59分

政府が関西電力・大飯原発の運転再開を正式に決定したことについて、地元、福井県おおい町の時岡忍町長は「国民の生活を守るため、産業などの安定のために決断されたものと認識しており、重く受けとめている。総理がリーダーシップをとって重大な決断をいただいたので、関西電力は安全運転を続けて国民の信頼回復に努めてほしい」と述べました。
また、住民の安全確保について時岡町長は「特別な監視体制ができるので、国側と常に連絡を取って、住民に安全安心を伝える役目を果たしていきたい」と述べ、国と密接に連絡を取り合いながら住民に、安全に関わる情報を伝えていく考えを示しました。

京都・舞鶴市長“賛成しがたい”

大飯原子力発電所の運転再開が決まったことについて、30キロ圏に人口の7割が暮らす京都府舞鶴市の多々見良三市長は記者団に対し、「安全性の根拠がはっきりと説明されていないなかでの再稼動であり、賛成しがたい」と述べました。
舞鶴市は、大飯原発の30キロ圏に人口の70%に当たる6万3000人が暮らしています。
多々見市長は記者団に対し「政府が運転再開を決めた背景には大飯原発が安全だとする明確な根拠があるはずだが、その根拠が全く明らかにされていないなかでの再稼動であり、賛成しがたい」と述べました。
そのうえで、「国は運転再開にあたって、立地自治体には再三説明をしているが、原発のすぐ近くにある舞鶴市には説明がなく、立地自治体以外は無力だと感じた」と述べ、原発が立地している自治体と同様の対応を国に求めていく考えを示しました。
また、多々見市長は、国の避難計画作りが進まないことで、舞鶴市でも避難計画の策定に遅れが出ているとしたうえで、「国に対して防災対策の強化を急ぐよう求めていくと同時に、市としてもできることを進めて行きたい」と述べ、国の素早い対応を求めるとともに、市としても詳しい避難計画作りを急ぐ考えを示しました。

滋賀・高島市長“歓迎できる判断ではない”

大飯原子力発電所から市の境までがおよそ20キロの距離にある滋賀県高島市の西川喜代治市長は、市長室のテレビで運転再開の決定を確認しました。
西川市長はNHKの取材に対し、「日本全体のことを考えて重い決断をしたと思うが、中長期的な安全対策がとられていないなかでは、隣接する自治体としては、運転再開について『はい分かりました』とは言えないし、歓迎できる判断ではない」と述べました。
そのうえで今後の取り組みについて、西川市長は「最悪の事態が起きた場合、市民を避難させる交通手段や経路などを考え、市民に安心してもらえるような対策をとっていきたい」と述べました。

大阪市長“あくまでも限定的な稼働”

大阪市長“あくまでも限定的な稼働”

大飯原発の運転再開について大阪市の橋下市長は「大阪府の調査では自家発電のない病院が実際にあり、停電まで備えができていないのが現状だ。そのなかで運転を再開したことは、停電へのリスク、人の命へのリスクを回避することになり、正直、関西にとっては助かった点もあり、地元の皆さんには感謝しないといけない」と述べました。
一方で「暫定的な判断に基づいたものだから、地元の皆さんにもぜひ、関西、日本全体のことを考えて、あくまでも限定的な稼動を原則に考えていただきたい。きちんとした安全の手順を踏んでいかないといけないということを、関西全体でも示していきたい」と述べ、再開後の運転が限定的になるよう、今後も政府などに求めていく姿勢を改めて示しました。

滋賀県知事“原発の危険性を訴え続ける”

滋賀県知事“原発の危険性を訴え続ける”

大飯原発の運転再開について、滋賀県の嘉田知事は「安全基準が暫定的である以上、再稼働は電力のひっ迫期に限定するのが筋だ」と述べ、政府に引き続き運転期間の限定を求めていく考えを示しました。
また、大飯原発の運転再開に当たり、政府が打ち出している「特別な監視体制」の構成メンバーに周辺自治体の滋賀県が含まれていない点については、「正式なメンバーとして位置づけてほしいと政府に要望してきたが、今回の国の判断は中途半端だ。ただ、情報の提供は受けられるということなので、オフサイトセンターに職員を派遣して、恒常的に情報収集に当たり、県民の不安の緩和に努めていきたい」と述べました。
また嘉田知事は「日本は地震が頻発する国であり、原発の危険性を訴え続ける。滋賀県としては再生可能エネルギーの強化に力を入れていきたい」と述べ、原子力発電を徐々に減らして自然エネルギーによる発電に移行すべきという、「卒(そつ)原発」の持論を改めて主張しました。

福島県知事“非常に残念”

関西電力大飯原発の運転再開の決定について、福島県の佐藤知事は報道各社のインタビュー取材には応じず、県のエネルギー課を通じてコメントを出しました。
それによりますと、「事故の検証さえ終わらず原子力安全規制体制も確立しないなかで、国が原発の再稼働を決定したことは非常に残念だ。被災県として、一刻も早い事故の収束と県内の原発のすべての廃炉を引き続き求めていく」としています。
一方、運転再開に同意した福井県の判断についてはコメントしませんでした。

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原発運転再開 安全上の課題は (6月16日 15時49分)

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