アフリカ全土で、いま古着市場が活況を呈している。その商品の多くは、善意から慈善団体に寄付されたものだという。
「まるでアメリカ人になった気分だぜ!」
そう言うと、少年は白い歯を見せながら、身につけたマイケル・ジャクソンのTシャツを親指で示した。彼はシエラレオネの首都フリータウンで古着露天商を営んでいる。
国民の10人に1人が一日あたり2ドル以下で暮らしているシエラレオネでは、古着は必需品。アフリカ全土でも古着の着用は一般的で、その市場は1990年以来で累計10億ドル(約800億円)以上と推定されている。
売買される古着の多くは、欧米やアジアから寄付として集まり、その後に密売業者を通じて各地の露天商へと卸されたものだ。いまや寄付によって集まった古着のじつに約3分の1が、"商品"として流通しているという。
なかには、国外から古着を"密輸入"する業者もいる。ナイジェリアで最大規模の蚤の市が開かれるカタングアで、古着店を経営するマーシー・アズブイクは、月に2回ほど隣国のベナンまで"仕入れ"に出るという。
そうして店先に並べられた欧米の古着は、その安さだけでなく、デザイン性の良さからも人気を博している。アズブイクは得意げにこう語る。
「ときには新品を扱う服屋が、私の店から仕入れていったりするのよ」
彼女のような古着露天商が好景気に沸く一方で、不況に喘いでいるのが地元の織物産業だ。
「ムスリム女性に向けて伝統衣装を売ることで、やっと生計をたてているわ」と語るのは、コートジボワールで仕立屋を営むべマ・シディベだ。コートジボワールには、昨年だけで約20tもの古着が寄付されている。
「ムスリム女性は、伝統的なお祭りが近づくと必ず服を新調してくれるから、なんとかやっていけるの」
そう言って彼女は、力なく微笑んだ。
「COURRiER Japon」7月号より
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