文部科学省と経済産業省原子力安全・保安院は18日、東京電力福島第1原子力発電所の事故直後の昨年3月17~19日に米国政府が測定した放射線量の分布を示す汚染地図を入手したが、住民の避難に活用していなかったと発表した。放射性物質が原発から北西方向に広がる様子を実測値で示した地図だったが、官邸や原子力安全委員会に伝えず、政府の住民避難指示に影響した可能性がある。
文科省などによると、米エネルギー省は昨年3月17~19日、福島第1原発から半径約50キロメートルの地域の放射線量を航空機で測定。その結果を電子メールで日本の外務省に伝え、同18日に保安院、20日に保安院と文科省に転送された。
公表の遅れが問題となったSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)は予測値なのに対し、米エネルギー省が提供したのは実測値だった。
文科省科学技術・学術政策局の渡辺格次長は「文科省が米側の測定結果をどう使うかを決める立場ではないので、避難に使う発想はなかった」と説明した。情報の信頼度も判断できなかったという。米の測定結果は外務省から原子力安全委員会や官邸に情報が伝わっていると思い込み「文科省が伝える必要を感じなかった」とした。
情報の重要度は認識したが、文科省の測定データではなく勝手に公表できないため、昨年3月21日に外務省に「米側に公表するよう要請してほしい」と伝えたという。米エネルギー省は同23日に測定結果を公表した。
東京電力、福島第1原子力発電所、文部科学省、原子力安全・保安院
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