福島原発事故:政府、米の放射線拡散情報を避難に活用せず
毎日新聞 2012年06月18日 21時06分
東京電力福島第1原発事故直後の昨年3月、米エネルギー省が放射線の航空機モニタリング結果を日本政府に提供したにもかかわらず、経済産業省原子力安全・保安院と文部科学省が政府内で共有せず、住民避難に活用していなかったことが18日、分かった。「縦割り行政」が原因で、緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)と同様、改めて政府の初動体制の稚拙さを浮き彫りにした。
米エネルギー省は昨年3月17〜19日、米軍機2機を使って原発から半径50キロ圏を測定。その結果は米側から外務省経由で保安院に同18日、20日、文科省に20日にそれぞれメールで送られた。
20日の資料には、福島県浪江町など原発の北西方向で毎時125マイクロシーベルト超の高線量地域が地図に明記されている。これらの内容は、23日にエネルギー省のサイトで公開された。
当時の日本政府は、車による測定が中心で、こうした空間的な広がりは十分解明されず、航空機モニタリングを始めたのは25日からだった。