野党・統合進歩党(進歩党)の李石基(イ・ソッキ)議員が15日、記者懇談会で「愛国歌(韓国の国歌)は国歌ではない」と発言したことをめぐり、波紋が拡大している。
李議員は15日に行われた記者懇談会で「韓国には法律で定められた国歌がない。独裁政権によって(愛国歌が国歌として)つくり上げられた」として、上記のように述べた。李議員は「愛国歌は単に国への愛を表現する歌の一つにすぎない。愛国歌を歌うのをやめようという意味ではないが、愛国歌を歌うことを強要するのは全体主義だ」と話した。さらに「(韓国の)民族的な歴史と情恨(愛情と恨み)が反映されたアリランのような歌が、国歌といえると思う」とも語った。
李議員の発言が広まると、政界では強い批判が相次いだ。与党セヌリ党の金栄宇(キム・ヨンウ)スポークスマンは16日、論評を通じ「従北(北朝鮮追従)主体思想派勢力の低質なドラマを見ているようだ」と批判した。野党・民主統合党(民主党)の金玄(キム・ヒョン)スポークスマンも「愛国歌を論争の対象にするのは極めて不適切。李議員には常識的な政治を求めたい」と述べた。
簡易投稿サイト「ツイッター」などソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)でも「大韓民国を否定した発言」「従北・進歩勢力の素顔が明らかになった」「嘆かわしい」などの批判が相次いだ。
「李議員は(左派と右派の)色分け論争をあおるために、故意に愛国歌に言及したのではないか」との反応も出ている。あるネットユーザーは「李議員は(総選挙の比例代表順位を決める)内部選挙での不正問題を、『従北と反共の対立』という論争を過熱させることで隠蔽(いんぺい)しようとしているようだ。そうでなければ、今のデリケートな時期にこのような発言を自らするはずがない」と指摘した。ソウル大の韓寅燮(ハン・インソプ)教授も、自身のツイッターに「李石基は保守派に対し(食い付きそうな)餌をまき、自分を攻撃させている」と書き込んだ。
行政安全部(省に相当)は「現在の愛国歌は、1948年8月に行われた大韓民国政府樹立の祝賀行事のときから現在まで、慣例として使用されてきた正式な国歌」として「愛国歌を国歌と明示した法律がないのは、これがあまりにも当然のことだからだ」と説明した。ただ、行政公務員の内部規則には「国民儀礼規定」(2010年制定)に「愛国歌斉唱」という部分があり、愛国歌が正式な国歌と定められていることを示している。