財務省とのなれ合いで自民党政権時代よりも10兆円以上歳出が増えた民主党政権。大増税に導く2012年度予算はこんなにデタラメだ

2011年12月26日(月) 高橋 洋一
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2001-08年度の小泉、安倍、福田政権の平均歳出総額は83.6兆円。一方、2010-12年度の鳩山、菅、野田政権は平均94.3兆円とその差は10.7兆円。

 

ついで、国債発行額でも同様な比較をしてみると、2001-08年度の小泉、安倍、福田政権の平均歳出総額は31.6兆円。一方、2010-12年度の鳩山、菅、野田政権は平均44.4兆円とその差は12.8兆円。歳出総額の差より大きくなっているのは税収が落ちていることが大きい。為替レートと一般会計税収には円安になると税収が大きくなるという関係がある(11月12日付け本コラム http://gendai.ismedia.jp/articles/-/27252 )にもかかわらず円高を放置したからだ。

 

民主党マニフェスト(子ども手当、高速無料化、農家戸別所得補償、八ッ場ダム中止、議員定数削減、公務員総人件費2割カット)が達成されていないのに、なぜ自公時代より11兆円も増えるのか。

その原因をさかのぼっていくと、政権交代時にある。2009年8月の総選挙で政権交代を果たした時に、民主党内で閣僚人事を巡り争いになって、以前から必要性が言われていた政権移行チームが作れなかった。閣僚人事の先取りとなるという理由だ。そのため、2009年9月から本格化する予算編成に出遅れた。本来であれば、予算シーリングをかけて、民主党の新政策を各省に指示すべきだった。ところが、予算編成に遅れた上に、予算シーリングをかけずに、各省に新政策を求めた。当然政府内の予算組み替えはできず、自公政権の旧政策の上に民主党の新政策が乗った形になった。これがそもそも水ぶくれの原因だ。

事業仕分けも実効性がなく、民主党が政権交代前に豪語していた予算組み替えも不十分で、予算はおおきく膨らんだ。自公政権末期の麻生政権では、リーマンショックもあったが、官僚のいいなりで補正予算で歳出総額が膨らんだ。その後政権交代したが、その間隙を縫って、官僚が予算を既得権化したともいえる。

その翌年度からはシーリングが復活したが、いったん膨れあがった予算がベースなので、厳しいシーリングではなく、予算を既得権化しただけだ。いずれにしても、官僚の無駄遣いに切り込めていない。

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