ふるさと:原発事故15カ月(2) 放射能、人の間に溝

2012年06月18日

原発事故で生活が一変した友人たちのことを思い、声を詰まらせる武藤類子さん=福島県田村市で、丸山博撮影
原発事故で生活が一変した友人たちのことを思い、声を詰まらせる武藤類子さん=福島県田村市で、丸山博撮影

 「自分の生きる場だった……」。武藤さんの喪失感は大きい。

 いま、武藤さんは国内外の集会で福島の実情を訴えたり、東京電力などの責任を問う集団告訴の取り組みなどで忙しい日々を送る。

 しかし、原発事故前は野菜をよく分けてくれた農家の男性とは疎遠になった。昨秋、放射線量がある程度下がると男性は野菜栽培を再開した。既に収穫しているが、畑仕事を再開しない武藤さんを見て、野菜をもってこなくなった。「放射能の影響に対する考え方の違いが人の間に溝を作った」と残念に思う。

 「国は、情報を隠し、事故を小さく見せた。福島では避難、賠償、除染などを巡る意見の相違から分断と対立が深まっている。私たちはモノ言わぬ国民にされてきたが、これ以上バカにされてはいけないと思う」

 武藤さんはいつの日にか、森の暮らしができる場所で生活を再建したいと思っている。

【湯谷茂樹】

   ◇

 「ふるさと」は次回から東日本大震災発生日に合わせ11日前後に掲載予定です。ご意見、ご感想をお寄せください。〒100−8051(住所不要)毎日新聞地方部。メールt.chihoubu@mainichi.co.jp

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