学校と私:「できること」より「わかること」=共産党委員長・志位和夫さん
毎日新聞 2012年06月18日 東京朝刊
小学校教員だった父も影響を受けた「先生」です。幼稚園か小学生のころ、父から「1も割れるんだよ。知ってる?」と聞かされました。新しい教育法を試したのかもしれませんが、よく覚えています。父は「わかることとできることは違うんだ」とよく話していました。「わかる」というのは暗記して点数を取るのではなく、本当に深く理解することです。
東大時代、田中角栄内閣の小選挙区制実現に向けた動きに反対するストライキなどに参加するなかで共産党に入党しましたが、一生の仕事にすべきか物理学にこだわるべきか、卒業時には正直、悩みました。消去法でいまの仕事を選んだわけではないのですが。
振り返ると、自分の世界の見方や考え方には、あのころ物理と音楽に打ち込んだ経験が役立っている。真理を分かる喜び、楽しさ。「できること」より「わかること」。2人から、学ぶこと自体の大切さを学んだと思っています。【聞き手・田中裕之】
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■人物略歴
◇しい・かずお
1954年、千葉県四街道市生まれ。東大在学中の73年に共産党入党、90年に書記局長に抜てきされ、93年衆院選で初当選。現在6期目(比例南関東ブロック)。00年から委員長。