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【社会】

大飯再稼働決定 8市町「事故対応ムリ」

 関西電力大飯(おおい)原発3、4号機(福井県おおい町)の半径三十キロ圏内の十市町のうち、過半数を大きく上回る八市町が原発事故への対応に不安を抱えていることが本紙の調べで分かった。十分な対策を取れるとの回答はゼロで、避難ルートや移動手段の確保など住民の避難対策が不十分なまま、政府は再稼働に踏みきった。 

 本紙は地元の福井県おおい町、小浜市、高浜町、美浜町、若狭町、滋賀県高島市、京都府舞鶴市、綾部市、南丹市、京丹波町を対象に書面でアンケートを実施。三十キロ圏内に一部が含まれる京都市左京区は住民がいないため対象外とした。圏内に住む住民は計十四万三千人ほど。

 事故対応で、小浜市をはじめ五市三町が「対応できない」「どちらかといえばできない」と回答。「地震と原発の複合災害による避難では混乱が予想される」(高浜町)など、複数の自治体が移動手段やルート確保の難しさを理由に挙げた。

 「対応できる」との回答はゼロで「どちらかといえば対応できる」と回答したのは、おおい町と京丹波町のみ。おおい町の担当者は「市町や府県をまたぐ避難が必要な場合は限界がある」とし、福島第一原発事故と同じ大規模な放射能漏れ事故では、対応は難しいとの認識を示した。

 住民避難計画の策定で、おおい町以外の九市町が高齢者や入院患者の移送対策を「未定」と回答。舞鶴市は「高齢者や重症患者の避難中の健康管理が困難」と懸念を示した。

 甲状腺被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤の配備では、全員分を近くに備蓄していると答えたのは舞鶴市と高島市だけ。多くの市町は、県や府が準備するのを待っている状態という。

 大飯原発の再稼働に伴う特別監視体制で「安全性が確保できる」と評価したのは、おおいと高浜、美浜の三町にとどまった。

 福島事故を受け、国は原子力防災指針を見直し、これまで原発から半径八〜十キロだった重点地域を拡大、三十キロ圏を緊急防護措置区域(UPZ)として原発事故への備えが必要としている。

 

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