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圧縮形式のハナシ

ここ最近、僕は圧縮・解凍の形式に多少こっているので
その関係の話でもしましょう

圧縮形式のハナシ

世の中にはいろいろな圧縮形式があります
古いものでLARC形式(LZHの古いやつ)やARJ形式、ZOOやARCなど
誰でも知ってるものとしては、LZH形式やZIP形式、
最近のものではRAR形式があげられるでしょう。
日本ではほとんどの人がLZH形式をつかっていると思われますが、
僕のようなひねくれた人間はそう単純に考えません。
いろいろな圧縮形式の利点を考えた上で使い分けるべきです。


最も普及している圧縮形式

圧縮ファイルは解凍できなければ意味がありません
従って、相手に圧縮ファイルを渡す場合 、
相手がその圧縮形式を解凍できるかが重要なポイントです。
自己解凍形式にするという手もありますが、
ファィルサイズの増加、OSに依存してしまう点が欠点です。
従って、相手に確実に解凍してもらうためには、
最も普及している形式を選ぶのが一番いい方法です。
さて、日本で最も普及している圧縮形式はLZH形式です。
どういうわけかどこもかしこもLZHだらけ。
事実上日本を完全に征服している圧縮形式です。
従ってLZH形式ならば日本に住んでいる限り
一番無難な選択であるといえるでしょう。
LZH形式は圧縮・解凍のスピードが速く、圧縮率もそれなりのものです。
細かい欠点はありますが、日常的に使いやすい優れた形式です。
また、LZHは普及しているため、対応ソフトが多いことも見逃せません。
何十何百とあるソフトの中から自分好みのものを選べるのはうれしいことです。
さて、日本で最も普及しているのはLZHですが、
海外とデータのやりとりをすることのある人もいることでしょう。
海外 (ここではアメリカなどのこと) で普及しているのは、ZIP形式です。
だいたいLZH と同じ圧縮率・圧縮・解凍スピードです。
LZHと同じ感覚で扱え、こちらも日常的に使いやすい形式です。
ただ、LZHとくらべるとごく僅かに圧縮率が低いのですが、
パスワードや分割機能などがついているのは一歩進んでいる点です。
どちらも、そのまま故郷に根付いてしまった形式です。
ZIP形式についてもいくらでもZIP用のソフトはあります。
日本ではLZH、海外ではZIPをつかうのがもっとも無難な選択でしょう。


バランスのいい次世代圧縮形式

LZHやZIPは非常に普及しており、
もうこの2つに対抗できる形式は現れないのかと思っていましたが、
機能面ではこの2つを超える圧縮形式が存在しました。それがRAR形式です。
まずこのRARはLZHやZIPよりも圧縮率がいいことがあげられます。
平均で1割。場合によっては2割近く圧縮率がよくなります。
また、LZHやZIPではあまり細かいオプションを指定できませんが、
RARではオプションを細かく指定でき、 さらに圧縮率を上げることができます。
また、分割圧縮にも対応、何枚かのフロッピーに分けることができます。
ZIPも対応していますがZIPの分割圧縮はエラーが多いような気がします。
また、RAR形式は強力なパスワード機能を備えていることも見逃せません。
パスワードを利用して料金を取る場合、 RARの方が優れています。
ところで普及率の方ですが、まだあまり普及していないようです。
原因は圧縮できるソフトが一種類しかないためでしょうか?
どうも「WinRAR」以外にRARを圧縮できるソフトが見あたりません。
その「WinRAR」がシェアウェアで、料金を払わなければならないのは痛いです。
料金も約4000円と安くはないことも大きいでしょう。
従って、RAR形式でゲームを配布することは断念いたしました。
ところで僕の作ったゲーム「Space Block」では、
LZH形式とCAB形式でゲームを配布しています。
CABとは何でしょう。


圧縮率のいい圧縮形式

前文からこの独り言を読んでいる人は、
次の話題はCAB形式だとすぐに理解することでしょう。
世の中には普及しているLZHやZIP、総合的に優れたRARなど、
優れた圧縮形式がいくつも存在します。
しかし、やはり圧縮形式なのだから圧縮率こそ全てです。
圧縮率のすばらしい形式としては、間違いなくCAB形式があげられます。
しかし、この形式は普及率は非常に低い形式です。
今現在この形式を使っているのはマイクロソフト社以外にはないでしょう。
ここまで読んで「なぜあのマイクロソフトがそんな形式を使っているのか」
と疑問に思った方もいることでしょう。
答は簡単です。CAB形式は、マイクロソフト独自の形式だからです。
もっとも使っていると言っても、解凍後、すぐにセットアップが始まる
セットアップ形式の自己解凍形式として使っています。
CAB形式を解凍できる解凍ソフトを持っている方は、
ためしにマイクロソフトのセットアッププログラムを解凍してみましょう。
WindowsもCAB形式の圧縮ファイルの分割形式でCD-ROMに収録されています。
分割圧縮にした理由はフロッピーからWindowsをインストール可能にするためで、
事実、僕も以前にWindowsがクラッシュしたとき、友人のコンピューターを使って
Windows の CD-ROM からファイルを延々フロッピー40枚にコピーして、
Windowsの再インストールをした経験があります。
さて、CAB形式は実は圧縮率が最高によろしい形式です。
僕が作ったゲーム「Space Block Ver 1.00」の圧縮結果を表にまとめます。

圧縮形式 圧縮ファイルのサイズ LZHより何%小さくなったか
無圧縮 632KB 省略
LZH形式 164KB 0%
ZIP形式 164KB 0%
RAR形式 158KB 4%
CAB形式 147KB 11%
サイズの小さいファィルではほとんど差はでないのですが、
それでも違いがはっきりと現れました
無圧縮で10MBもあるようなファィルを圧縮すれば、
もっと大きな差が生まれることと思われます。
LZHとZIPではほとんど同じサイズになりました。
RAR では4%、CABにいたってはなんと11%もの差がでました 。
さすがはマイクロソフト社の技術力です。おそるべき圧縮率となっています。
しかし、なぜこれほどの圧縮率を誇るCAB形式が普及していないのでしょうか。
理由としては、非常に使いづらいことが最大の原因です。
僕はコマンドラインプログラムの「makecab.exe」を使い、
Pentium133MHzメモリー16MBで2.31MBのVB6ランタイムを圧縮してみたら、
なんと3時間もかかってしまいました。RARやLZHでは35秒です。
いくら何でも遅すぎです。
また、LZH、ZIPやRARでは書庫をフォルダのように扱えるソフトがありますが、
CABでは追加圧縮や圧縮ファィル内のファィル削除などはできないため、
日常的に使うには非常に使いづらいものだといえます。
そもそもマイクロソフトがソフトの配布用に作った形式なので、
日常使用のことなど一切考慮されていません。
圧縮率はいいのですが、非常に使いづらい形式だといえます。
このCAB形式は、ごく特殊な用途でしか使われることはないでしょう。
とは言っても最近では解凍に対応したソフトも増えてきています。
CAB形式は解凍ができるといろいろ便利なので、
解凍ソフトだけは用意しておくと色々使えて便利です。
また、このCAB形式の圧縮率の良さをあっさり捨てるのも考えものなので、
僕の配布するゲームはLZH形式とCAB形式で配布することにしています。
「Space Block」などでは大差ありませんが、
もっと大きなファイルになるとCABの圧縮率の良さが生きてくると思います。

とりあえずまとめ

今回紹介した圧縮形式の特徴を一覧表にしてみましょう。

圧縮形式 特徴 向いている用途
LZH形式 日本で広く普及。
日常的に使いやすい。
日本でのデータの受け渡し。
ネットでのソフトウェアの配布。
ハードディスクの容量節約。 バックアップ。
ZIP形式 海外で広く普及。
日常的に使いやすい。
海外でのデータの受け渡し。
ネットでのソフトウェアの配布。
ハードディスクの容量節約。 バックアップ。
RAR形式 圧縮率がいい。
日常的に非常に使いやすい。
強力な暗号形式。
分割圧縮のエラーがでにくい。
リムーバブルディスクによるデータの受け渡し。
ネットでのソフトウェアの配布。
ハードディスクの容量節約。 バックアップ。
CAB形式 とにかく圧縮率がすばらしい。 セットアップ形式のソフトウェアの配布。


付録

Microsoft Officeフォルダを圧縮した結果。
Word と Excel を最小設定でインストールした
Microsoft Officeフォルダを圧縮しました。
どれも最高圧縮率、RARはディクショナリサイズを1024KBにしています。
AMD-K6-2 500MHz メモリー64MBのパソコンで圧縮しました。

圧縮形式 圧縮ファイルのサイズ LZHより何%小さくなったか 圧縮にかかった時間
無圧縮 25MB 省略 省略
LZH形式 12.2MB 0% 1分23秒
ZIP形式 12.4MB -1% (-0.2MB) 1分28秒
RAR形式 11.3MB 8% (0.9MB) 2分57秒
CAB形式 10.1MB 12% (1.1MB) 4分00秒



公開日時:2000年 07月 16日
更新日時:2002年 07月 13日
 このコラムは内容を保証するものではありません。
 また、内容は公開日時の時点でのものであり、
 その後の修正内容は文章の推敲に過ぎません。

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