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【岐阜】

感染性胃腸炎が季節外れの猛威

 例年、春を境に減少する感染性胃腸炎の発生件数が、今年は一向に減らない。定点観測している県内五十三の医療機関で五月第四週に確認された患者数は、平年の倍近い約四百人。県保健医療課によると、この時期としては記録のある過去十年間では最多で、手洗いの徹底など予防を呼び掛けている。

 池田町の池田小学校では先月二十一日から、嘔吐(おうと)や腹痛を訴える児童が続発。町教育委員会によると、少なくとも三人の児童から胃腸炎を引き起こすロタウイルスが検出され、二十三〜二十五日に十五学級中、九学級が学級閉鎖になった。入院が必要になる重症化した例はなかったが、この間、全校児童の四分の一に当たる九十三人が欠席した。

 高山市内の小学校でも五月下旬にロタウイルスによる胃腸炎が集団発生。中濃地域の介護老人保健施設でも同時期、入所者と職員計三十六人が感染性胃腸炎の症状を訴えた。

 県保健医療課によると、感染性胃腸炎は冬が発生のピーク。毎年四月以降は減少するが、今年は五月第一週に二百三十八人だった患者数が翌週から三週連続で増えた。全国的にも増加傾向だという。

 ロタウイルスやノロウイルスは、食べ物や人の手を介して口に入ることで感染する。主な症状は吐き気や嘔吐、下痢。症状は一〜二日と短い。胃腸炎による直接の死の危険性は低いが、下痢などで脱水症状を起こして乳児や高齢者などが亡くなる場合がある。

 感染症が専門の岐阜大病院の渡辺珠代助教は、発生件数が増えている理由は不明としつつも「手洗いやマスク着用などに気を付けるインフルエンザの流行時期を過ぎて市民の気が緩んだことは一因かも。全国で増えていることから、ウイルスの性質の変化も考えられる」と指摘する。

 予防法は、手洗いの徹底や生ものの加熱調理だという。

 (多園尚樹)

 

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