特集ワイド:留飲を下げたい人たち 「バカヤロー」アプリ人気、他者への攻撃同調も
毎日新聞 2012年06月15日 東京夕刊
◇過激さウケる時代風潮を危惧
何だか妙な空気だ。誰かを徹底的にたたく言説が注目され、さらに攻撃的な声が膨れ上がる。現象の背後には「留飲を下げたい」という共通の思いが流れている気がする。時代の気分を考えた。【井田純】
「バカヤロー」。そんな名前のスマートフォン用アプリが、じわじわ人気を呼んでいる。
怒りをぶつけたい相手を画面で選択、質問に従って役職や人柄、許せないところなどを入力していくと、状況に合った「怒りのフレーズ」が表示される。例えば<お前も働けサボリ係長!>。それをスマホに向かって叫び、留飲を下げるのだ。
開発チーム「こばりゅーラボ」の担当者は「声の大きさや滑舌が数値化されるゲーム感覚が受けているようです」。ツイッターと連動させ、叫んだ内容をつぶやくこともできる。ダウンロード数は公開から1カ月余りで既に約4000に達した。
スマホに向かって言う分には遊びで済むが、狙いを定めた相手に仮借のない言葉をぶつけ、ダウンさせて快哉(かいさい)を叫ぶとなると笑ってはいられない。