関電、節電達成で優遇措置=家庭向け―電力不足対策(時事通信)
関西電力は4日、大阪府と大阪市が合同で設置したエネルギー戦略会議で、今夏の電力不足対策として、節電目標を達成した家庭に対し、商品券を渡すなど一定の優遇措置を導入する方針を明らかにした。同社が家庭の節電への取り組みに関し優遇措置を導入するのは初めて。また、ピーク電力抑制のため、午後3時前後の電気料金を上げる一方、夜間料金を下げるメニューも新設する。
関電大飯原発(福井県おおい町)3、4号機の再稼働の行方が不透明な上、大飯原発が再稼働したとしても、今夏は依然として大幅な電力不足に陥る可能性があると同社は見込んでおり、家庭向けに優遇措置を導入することにした。
さて、最後の原子力の灯であった泊原発も運転停止し、一応は再稼働方針が示された大飯原発にもこれといった進展が見られない中、関西電力圏内の危機は刻一刻と近づいています。そもそも行政サイドはアリバイづくり的にしか仕事をしていないのか、大飯原発にしか再稼働の見込みを出すことができていない、その他の原発に関しては全く目途が立っていない有様です。元より関西電力にしても大飯原発だけの再稼働では厳しい、その大飯原発ですら確実でないのですから、まぁ行政の怠慢は厳しく問われるべきでしょうね。玄海原発を巡っては九州電力の失態もありましたけれど、いずれにせよ震災から1年以上を経て、平常運転に戻すどころか西日本にまで原発問題を波及させ、昨年以上に事態を悪化させているわけです。メルトダウンしたのは、たぶん理性の方だったのでしょう。
先日は、原発再稼働に反対すると称して反日だけハンストした瀬戸内寂聴氏が「私が生きてきた90年で、こんな悪い時代はなかった」「戦争中の方が、まだ、ましでしたよね」などと取材陣に述べたそうです。私が実体験ではなく文献から知る限り「戦争中」であれば、曲がりなりにも政府方針となっているものに対して公然と抗議しようものなら特高に捕まって拷問で殺される可能性も否定できないイメージがあるのですが、実際に当時を生きていた人の証言によると戦争中の方がまだマシで、今の方が悪い時代なのだそうです。これが戦争体験の風化か!などと思わないでもありませんが、当時を生きてきた人が言うのですから、たぶんそういうものなのでしょう。今後は原発稼働停止で今まで以上の化石燃料を確保する必要性に迫られるだけに、南方に進出して日本の「共栄圏」でも作ることを考えなければいけないのかも知れませんね。そうなったら戦争ですけれど、その方がまだマシと戦争時代を実際に経験した人が力説しているのですから。
それはさておき、迫り来る電力不足の危機に対処すべく、大阪府と市、そして関西電力が設置したエネルギー戦略会議では、ニンジン作戦を考えているようです。何でも節電目標を達成した家庭には商品券をプレゼントだとか。そうは言っても、元より家庭の消費電力が占める割合はそう大きくありません。加えて、昼間の電力が足りないのに、昼間は働きに出て家を留守にしている家庭では節電の余地などないことは誰にでも分かると思います。家庭部門がどう足掻いたところで「なんちゃって節電」「節電ごっこ」の域を出ることはないでしょう。結局、本格的な節電のためには「平日の昼間に工場を止める」しかないわけです。そのためには家庭向けだけではなく産業向けの電力料金も、今まで以上に「昼は高く、夜は安く」設定するなどしてピークとなる時間帯のシフトを促すことが効果的なのですが、しかし……
当然ながら人がいなければ機械は動かせません。平日の昼間に工場を動かすのを止めて夜間に操業させるとならば、その分だけ深夜労働しなければならない人が急増します。現時点では、今まで以上に夜間料金を下げるメニューはあくまで家庭向けのようですけれど、同様のことが産業向けに行われたとしても何ら不思議ではなさそうです。電力会社だけではなく行政府の公認の元、料金割引というニンジンによって夜間の操業即ち深夜労働へのシフトが推進されるという悪夢のような事態も差し迫った危機として想定されなければならないことでしょう。何せ行政の長があの人ですから、さらなる節電/ピークシフトを促す策として深夜労働の割増賃金撤廃を提唱するとか、深夜労働を増やした企業に報奨金を出すとか、そういう事態だって一概にあり得ないとは言えません。
先日は深夜バスの大事故もあったばかりで、まぁ個人の資質に寄るところはあるにせよ概して深夜労働はキツイものです。少しでも働く人の立場を慮る政治家であれば、なるべく深夜労働を余儀なくされる人を減らそうと考えるのが筋というものではないでしょうか。深夜時間帯の割増賃金が定められているのは、負担が重い労働への補償でもあり、深夜労働が増えすぎないようにと抑制する意味合いだってあるはずです。しかし、目立った自治体の長は概ね電力不足を深刻化させる方向で動いているようです。その結果として出てくるのは、さらなる節電の必要性、ピークシフトの必要性であり、深夜労働の増加でもあります。いくら「電力は足りている」と強弁したところでない袖は振れない、操業中に停電されたら困るような企業は自分なりに対策を取ることでしょう。深夜営業に「ケシカラン」と声を上げる政治家はいても、必然性のない深夜労働を増やさないようにと動いている政治家はどれだけいることやら。
そういえば、学生時代にちょっとだけ深夜のバイトをしていたことがあります。まぁ、短期間でも夜勤はつらいですね。幸いにして夜のバイトをしてみた時期とは別なのですが、家の隣で延々と工事が続いていたことがありました。それと時を同じくして夜は夜で道路工事が重なったというのはさておき、まぁ昼間はずっと工事でやかましいことこの上なかったわけです。あまりにうるさいので建設会社に電話してみたりもしましたが、早朝の音出し作業は控えるとの言質は採れても(実際は何も遠慮なしでした)、昼間は仕方がないでしょうと全く取り合ってもらえなかったことが記憶に残っています。近隣住民が皆、夜に寝て、昼間はどこかに外出する生活を送っていると想定しているのであれば、それでいいのかも知れません。ところが実際には夜に働く人もいる、本人の希望に関わらず昼夜の逆転した生活を余儀なくされている人もいるのです。深夜に働いて、昼間に寝ようと思ったら工事が始まって轟音が止まらない、でも建設会社は昼間に寝ようとする人にまでは配慮しないし、それが当然だと思っていたりする、まぁ夜間に働く人の世間的な扱いって、そんなものなのでしょうね。でも電気が足りない以上、皆で一斉に電気を使うわけにはいきません。電気を「分け合う」為には、電気を使う時間をずらさなければならない、その分だけ仕事を夜間に回さなければならない人も増えるのです。
彼は再稼働に猛烈に反対する姿勢を見せ(←ここ「反対」ではなく「反対する姿勢」であるところに注意)、再稼働やむなしとした民主党を日本滅亡の政党であるかのような罵声を投げつけて批判し、世の中の反原発感情に迎合しました。
ところが電力が足りない、特に橋下のお膝元「関西電力」ほどその影響は大きく、このままなら計画停電も、となって彼の姿勢はぐらつきます。
世の中の流れが脱原発であっても、急激にやればそれは確実に電力不足を招き、停電ということにでもなろうものなら自分への批判が高まることを恐れたのでしょう。
「電力不足か原発再稼働かは市民が決めること」などと、責任を転嫁する姿勢に変わったのです。
今までの彼の姿勢はいつもこうでした。口だけ番長で、都合が悪くなると他人に爆弾を放り投げて自分の安全は保とうとします。
もういい加減、大阪市民は目を覚ましたらどうですか。
反日だけのハンストなんて、要するに昼食を抜いただけ、相撲取りなら日常的なことですからね。そんな程度で偉そうに説教されても、と。
>プチ左派さん
まぁ、目を覚ます以前に大阪の有権者(そして橋下を待望する全国各地の有権者)は、自ら望んで夢を見ている気がしますね。自分たちの夢を橋下に投影しているからこそ、あんな道化の猿芝居でも拍手喝采してしまう。現実に向き合わないではいられない事態は、すぐそこに迫っているはずなのですが。
病人が続出しますけど、という問いへの答えは、結局一日空調を止めるとウン百万円節約できるから、ということでした。多少病人が出たとして、「節電のために我慢して下さい」とでも言っておけば良い側は、それを言い訳にして、経費節減に躍起です。何しろ、病気になったり治療費を払うのは、個人の責任として扱われますので。
シフトをずらすとか、授業時間を変更するとか、そういうものも他の場所で働いている人間や学生にとっては、たまったものではないですね。他所がそれに即して、対応してくれるわけではないですから。
結局、この「節電」で割を食うのは、「我慢させられる個々人・家庭」ばかりなんですよね。節電量としては大したものでなくとも、個々人の我慢を総合した結果、企業なり団体なりはかなりのコストを削減できるわけで、他者や弱者に配慮しない今の日本の企業的体質が、この「節電」に飛びついているように思えてなりません。
「いっそ停電に、、、」と思うこともありますが、どうせ「原発を動かしたいがための陰謀だ」的な言説でなんにも見ない人たちが多いと思うのでそれは考えないことにしてます。
節電気運に乗じて、体よく「電気代の節約」に走っているところもあるでしょうね。空調を切ったり、列車の運行を減らしたり、コストダウンしつつ利用者の不満は「節電にご協力ください」で抑え込むみたいな。本来なら非難されるべきことのはずですけれど、そういう企業ほど「節電/脱原発に協力的」と賞賛されていそうな気がして、とても嫌です。
>Dursanさん
原発の有無にかかわらず、どうしても昼より夜の需給の方が少ない以上、夜の電気は余りますよ。この上、火力発電所の故障まで相次げば「夜ですら足りない」ことはあるかも知れませんが。しかるに、電力会社の管理能力に懐疑的な人ほど火力発電所が故障しないことを前提に考えていたりする、火力発電所が故障しようものなら原発再稼働のための陰謀と考えたり……
"上から目線"と揶揄される一つの常套句ですが、「電力のことなんて何にも知らないくせに」と言いたくなります。彼らのやっている事は、電力テロです。火力をフル稼働しているそうですが、下手すると老朽化で無くとも危険です。
老朽化であればその火力が故障するだけで済みますが、系統崩壊(供給エリア全域で起こる大規模停電)や電圧崩壊(配電系統の電圧低下から波及する大規模停電)の恐れもあります。というか、これをずっと前から恐れています。いつどこで起こるか、供給側にとっても予測不可能な停電です。原発が無いだけでこれだけのリスクがあるというのに、「電力は足りる」とか「節電ムード一色」とか、冗談じゃないです...。
勝手ながら、可能な限りの再稼動を強く求める文書を何箇所かに送りました。西日本の猛暑でクーラーを使わないのは拷問だと思っていますので。
何でも他地域から関電に電力を融通「させる」べく政府が協力要請を検討しているそうです。もはや「頑張ろう東北」はなげうって「頑張ろう関西」みたいな事態になりつつあると感じますね。本当にもう、これだけの電力不足がどれほどリスクの大きいことなのか、それを直視できない人が多すぎます。
せっかくのネットカフェで久々のパソコンなので1つ質問させてください。
電力不足対策で、
「停電回避のためにはピーク時に需給調整契約を結んでいる企業の送電を順番に止めるべき。そういった企業は契約により電気料金が通常より安いんだから、その分で従業員に休業補償をして、業務時間についてはズラしたり延長したりしないように法律で決めればいい。そうやって企業に内部留保を吐き出させれば景気回復にもつながる。」
と何かに書いてあったのを去年見た記憶があります。
その時は、なるほど「脱原発」とかの世間的に反対しづらい理由をくっつけて、企業に内部留保を少しでも吐き出させるっていうのも悪くないな、とは思いました。
ただ肝心の、それだけで停電が回避できるのか、についてはよくわかりませんでした。
管理人さんはこのアイディアについてどう思われますか。
もし過去のエントリーで既に書かれていらっしゃいましたら、そのエントリーを教えてください。
もし特に書かれてなかったり、書かれている過去エントリーの時からさらに状況が変わっている(今年は去年とは違って関西方面が深刻なようですし)ということでしたら、ぜひコメント欄でお考えをお聞かせください。
それは愚の骨頂であって内部留保の活用を唱える人全体の信頼を損ねさせかねない危険な妄言です。そのような主張が垂れ流されることで、内部留保に手を付けろと説く人全体が愚かだと思われることを最も危惧しますね。
まず内部留保は偏在していて、吐き出せる企業と無理な企業がある、日頃から内部留保の積み上げに努めて経済を停滞させてきた企業は耐えられても、内部留保を積み上げずに金銭を社会に還元してきた企業は潰れてしまうでしょう。その内部留保論は、高齢者を一律に富裕層と決めつけて年金をカットせよと迫る暴論に等しいです。
また企業の生産活動を止めたとして、休業期間中の給与は補償できても、生産が止まれば当然のこととして社会全体に負の影響を与えます。ましてや一時的に給与を維持する程度なら十分な内部留保ではあっても、生産活動が止まって売り上げが激減することにまで耐えられるほどの額ではないのです。
元より、強制的に電気を止めておきながら「停電を回避」も何もあったものじゃないと思うのですが。