裁判:「安全神話は虚偽」/技術論抜き異色の訴え/玄海原発運転差し止め訴訟、あす第1回口頭弁論

2012年06月14日

九州電力玄海原発の運転差し止め訴訟でデモ行進する原告ら=佐賀市中の小路で2012年3月12日午後1時25分
九州電力玄海原発の運転差し止め訴訟でデモ行進する原告ら=佐賀市中の小路で2012年3月12日午後1時25分

 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の運転差し止めを求め、九州などの市民が国と九電を相手取った裁判の第1回口頭弁論が15日、佐賀地裁で開かれる。原告数は4252人に上り、国内の原発訴訟で過去最多。反原発運動に参加したことのない人も多く、福島第1原発事故によって市民が原発の危険を身近に感じた表れといえる。また「安全神話」の崩壊を受け、技術論を争点にしない異色の訴えとなっている。【田中韻、関谷俊介】

 「福島原発事故の被害を無駄にしない。玄海原発を止めるだけでなく、日本から原発をなくす裁判だ」。弁護団共同代表の板井優弁護士は今回の裁判をそう意義付ける。

 原発の設置取り消しや運転差し止めを求める裁判は70年代から各地で起こされてきた。耐震性など技術的な問題を争点としてきたが、原告勝訴は二つのみで、いずれも後に逆転敗訴。ほとんどが過去に大事故が起こらなかったことなどを理由に退けられており、国の安全神話を司法も追認してきた形だ。

 脱原発弁護団全国連絡会(東京)によると、原発事故後に起こされた12の原発訴訟も、多くは技術論から個別の原発の危険性を指摘している。

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