◇IWGPヘビー級選手権
新日本プロレス▽16日▽大阪・ボディメーカーコロシアム▽観衆6850人(超満員札止め)
棚橋弘至(35)がIWGPヘビー級王座を4カ月ぶりに奪回した。オカダ・カズチカ(24)とのリターンマッチに、ハイフライフロー(ダイビング・ボディープレス)でフォール勝ち。6度目の戴冠に成功した。初防衛戦は団体創立40周年を記念して全日本と合同で行われる東京・両国国技館大会(7月1日)に決まっており、相手はこの日鈴木みのる(44)を破った真壁刀義(39)が有力だ。
棚橋が号泣した。試合後のインタビュー中、一通りの質疑が終わり、「俺が見たかった風景です。このプロレスを、全国に伝えていきます」と言った直後、感極まって言葉が続かなくなった。この日は90年代の新日本全盛時を思わせる、超満員札止め。チケットは1枚も残らなかったという。そのメーンで、大歓声に守られながら、怪物王者といわれたオカダから死闘の末にベルトを取り戻した。観客を満足顔で帰すのは、エースの役目。棚橋は王者に返り咲くとともに、エースの称号を守った。
2月12日に同じ会場で戦ったオカダは、この4カ月間でさらに成長していた。この日も複雑な関節技など新技を繰り出し、怪物ぶりを証明した。だが、同じ相手に2度続けて負ければ、存在価値はなくなる。オカダ得意のレインメーカー(近距離ラリアット)はすべて封じ、スリングブレイドからハイフライフローへつなげた。
前回の王者時には、新記録となる11連続防衛を果たした。「俺の記録を抜けるのは、俺だけ」。6度戴冠は過去に藤波辰爾しかいないタイ記録。試合後にはエアギターの演奏でアンコールにこたえたが、実は本物のエレキギターもこっそり練習中。リング上で披露できるまでに王座を守りきれるか。IWGPのベルトは、やはりこの男の腰が最も似合う。 (大西洋和)
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