14日夜、忠清南道牙山市湯井面のサムスンディスプレー、サムスンモバイルディスプレー(SMD)の工場で11分間の停電事故が起き、100億ウォン(約6億8000万円)以上の被害が出たもようだ。
同工場では、サムスンディスプレーが液晶パネルを、SMDがスマートフォンに使われるアクティブマトリックス式有機EL(AMOLED)パネルを生産している。
停電事故は、サムスンの湯井事業所に電力を供給する韓国電力新湯井発電所で工事を行っている途中に起きた。事故で工場への電力が止まり、生産ラインが一時ストップした。
サムスンは停電直後、非常電源となる無停電電源装置(UPS)を稼働したが、生産ラインの一部に被害が出た。生産現場に設置されたUPSは、停電時には高価で重要な設備だけに電力を供給する仕組みになっている。発電容量と費用の面で、全ての設備に電力を供給することは困難だ。同工場では、多くの設備で電力供給が止まり、生産ライン全体が11分間稼働を中断した。
業界では、当時生産途中だった液晶パネルには不良が発生する可能性が高く、全て廃棄しなければならず、工場を正常に再稼働するには1日以上かかるため、被害規模は100億ウォンを超えるとみている。サムスン側は「被害を受けた工場は、15日夜までにほぼ復旧した」と説明した。
■無停電電源装置(UPS)とは
停電や急激な電圧変化が起きた際、非常用の電力を供給する装置。外部電源が絶たれると、UPS内部のバッテリーの容量内で電源を維持し、生産被害を防止する。同時に作業内容のバックアップを行う余裕を与える。24時間稼働しなければならない半導体、鉄鋼、通信事業者などが主に使用しており、個人用にパソコンなどを対象にした安価なUPSもある。