ソウル・キリスト教青年会(YMCA)は先月8日、国内最大の自動車メーカー、現代自動車と、自動車の安全規制を担当する国土海洋部(省に相当)を、検察に告発しました。現代自は、新型「グレンジャー」の欠陥に気付いていながらもこれを隠蔽(いんぺい)し、一方の政府は現代自にリコールを指示せず単純に無償修理だけを命じ、免罪符を与えたというのが告発の趣旨です。もちろん、現代自は納得がいかないといった反応です。
新型「グレンジャー」が発売された直後の昨年1月、月間販売台数は1万台にも上りました。「ソナタ」を抜いて、韓国で最高人気の車種になったのです。ところで「グレンジャー」を購入した一部の消費者の間では「運転の際に頭がズキズキする」「室内に排気ガスが入ってきているようだ」とのうわさが出回りました。一部は消費者団体に欠陥を報告し、また一部はグループを作って積極的に問題を提起しました。これに対し、現代自は一切回答しませんでしたが、昨年11月初めにこっそりと「喚起口の改善」措置に乗り出しました。また、消費者からの苦情に悩まされていた国土海洋部も、一足遅れて傘下機関の自動車性能研究所に実験を依頼し「高速走行時に室内で一酸化炭素が最大36.7ppm(ppm=100万分の1を表す単位)も検出された」と発表しました。しかし、リコールではなく「積極的な無償修理」という曖昧な決断を下し、消費者たちの反感を買いました。
無償修理の対象となった「グレンジャー」は計9万台です。このうち20%の消費者は、まだ修理を受けていません。これらの消費者の車には幸い問題がなかったか、あるいは修理対象になったこと自体を知らないのかもしれませんね。
2万個以上の部品からなる自動車が完全無欠であるはずはないのです。ただ消費者は、自動車に問題が生じた場合、メーカーと政府がもう少し正直かつ積極的に、まずは消費者のことを第一に考えるよう願っているのです。現代自が本当に恐れるべきなのは、検察による調査結果ではなく、車に失望して去っていく消費者でなければならないはずです。