説明と安全確保求める 大飯30キロ圏内の京滋市町長
政府が大飯原発(福井県おおい町)の再稼働を決定した16日、半径30キロの緊急防護措置区域(UPZ)に入る京都府と滋賀県の市町長たちは「原子力規制機関による中立的な監視が急務」「原発の地下構造や地震記録を検証して対策を」と、安全確保に全力を挙げるよう強く求めた。
左京区の山間部がUPZに入る京都市の門川大作市長は「緊迫する電力需給状況の下で市民生活や中小企業を守るとともに、暫定的とはいえ一定の安全対策を取ったことを踏まえれば、再稼働はやむを得ない」と容認。その上で、安全確保に向けて「国は原子力規制庁を早期に発足させ、中立的な監視体制を急ぐべきだ」と指摘した。
舞鶴市の多々見良三市長は「事故が起きれば舞鶴市が受ける被害は立地自治体と変わらない。安全の根拠が示されないままの再稼働には賛成できない」とあらためて反対を表明。隣接する福井県高浜町の高浜原発など他の原発でも再稼働の動きが広がることにも懸念を示し、「原発全てが同じではない。それぞれの地下構造や地震の記録を検証し、対策をきちんと説明すべきだ」とした。
綾部市の山崎善也市長は「福島第1原発の事故の検証も済んでおらず、新たなエネルギー政策の方向性が示されていない状況での再稼働の決定は時期尚早」とコメント。「原子力規制庁の設置や原発事故調査委員会の報告を踏まえた安全基準の見直し、エネルギー政策の再検討など課題は多い」として、政府に迅速な対応を求めた。
南丹市の佐々木稔納市長は「エネルギー政策は国の命運を左右し、国が判断することなので、とやかく言うつもりはない。ただ決断に至った経緯は国民に説明すべきだ。市民の安全安心を確保するには、まず市の防災計画を暫定版から正式のものに変更する必要がある。国の指針を早急に示してほしい」と注文をつけた。
京丹波町の寺尾豊爾町長は「免震のオフサイトセンターさえ整備できていない状況下での再稼働は、安心が確保されたとは言えず、一連の政府の対応に、ものすごく不満が残る。現時点では電力需給の関係もあり、仕方ないとは思うが、稼働は今夏限りだと理解している。原発事故の教訓が生かされていない」と強い口調で語った。
おおい町に隣接する高島市の西川喜代治市長は「事故が発生した場合に直接被害を受けるのは、立地自治体や高島市をはじめ近隣市町の住民だ。恒久安全対策が先送りされたままでの再稼働には、強い不安の念を抱く。今後の議論では、老朽原発の再稼働は行わないよう求める」とコメントした。
【 2012年06月17日 09時32分 】