大飯再稼働:電力自衛策は緩めず 関電管内企業
毎日新聞 2012年06月17日 09時16分
産業機械大手の日立造船は、関西の工場から広島や熊本の工場への一部生産シフトなどを検討していたが、「(シフトなしでも)何とか乗り切れそうだ」(古川実社長)。クレヨンを製造するサクラクレパスは、大阪工場(東大阪市)で6月までは前倒しで増産し、7〜9月の工場の稼働は止める。西村貞一社長は「節電要請が緩和されれば、注文が殺到した場合に工場を動かせるという安心材料になる」と語った。また、「再稼働が進まなければ、企業の国外流出が加速するだけだった。原発は基幹電源としても重要だ」(大手商社幹部)との声も聞かれた。
原発が再稼働しても、電力の安定供給への不安は残り、節電努力を続ける企業も目立つ。
一昨年比で20%の節電目標を今夏に掲げる住友電気工業は、原発が再稼働しても予定通りの節電を進める予定だ。「電力状況は全く安心できるわけじゃない」といい、大阪製作所(大阪市)など4拠点に自家発電設備を設置済み。「余裕があれば自家発電を動かさないなどの対応はできる」としている。日本ハムも関西から関東への一部生産シフトの検討を続ける。