超人大陸(平成24年3月12日号)
中野剛志「戦後デフレになったのは日本だけ。デフレ依存症からレジーム・チェンジの時」1/2
[動画]
超人大陸
http://www.choujintairiku.com/nakano9.html
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http://www.youtube.com/watch?v=_UzG54ZYvqA
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http://www.nicovideo.jp/watch/sm17223384
お久しぶりーふー!

はい、京都大学の中野でございます。
ご無沙汰しておりました。超人大陸の皆様には随分ご無沙汰になりました。去年の9月位からもうずっと出ておりませんでしたけど、若干言い訳とですね、宣伝やりますが、サボっていたわけではありませんで、一所懸命働いておりまして、実はずっと執筆活動をやっておりました。
ちょっと今日は皆様の前にご披露を。これまで頑張ってきたものをご紹介をして、今日はそのうちの最新の本から抜粋をして、よく講演とか呼ばれて使っている、資料とかお話をですね、噛み砕いて、皆様にご披露をしたいと思っております。
まず去年の12月かな?にですねこちらはですね、私と滋賀大学経済学部の柴山桂太先生っていう、経済思想とか政治思想とか幅広くやっておられる先生で、大体私と同じ位の年齢の方で。我々は実は、10年位の付き合いでして、いつも二人で議論をしたりですね。
大体私が偉そうにしゃべっていることは、大体柴山先生に教わったことでありまして、この二人でですねこういう「グローバル恐慌の真相」という本を出したわけであります。

結構売れたみたいで増刷もしております。
それから年明けて、2月になりましたらですね、今度はその、私は「日本思想史新論」という日本思想史の本なんですけど。
江戸時代から明治初期にですね、日本の思想史なんですけれども、なんでこんなことをやったかというと、簡単に言いますとね、まあTPP関連で日本中でですね、何が騒がれたかというと、
平成の開国とかいって、第三の開国とか言われましたけども、幕末から明治まで、黒船来航から開国したら近代化しましたと。第二次世界大戦に敗戦してからGHQに占領されて、民主化だかなんだかしましたと。
従ってまた外圧でまた変わりましょう!なんてこんなバカげたことをですね、歴史観、こんなふざけた恥ずかしい歴史観がですね、平気で蔓延したので、「TPPとは何か?」とかですね、日本はどう動くか以前にですね、
その腐りきった歴史観をですね、正さないといけないと思いまして、私は別に日本思想とか日本思想史の門下外なんですけれども、誰も正してくれないものですから、自分で研究して、こういう風に顕したとういうことです。

こちらもなんかその、結構難しげな、中身は難しくないんですけれども、難しげな本の割には結構売れ行きがいいようで、しばらくAmazonで在庫がなくなっちゃった、なんてことがあったようであります。是非ご覧いただければと思います。
それからこれも、関連しているんですけれども、外圧がないと日本は変えられないなんてのは本当にふざけた話なんですけど、頭で思っているだけじゃなくて、テレビとかで口で平気で言う奴はいっぱいいるわけですね。
私が死ぬほど嫌いなですね、古賀とかですね。あれ元官僚だったわけですけれどね、平気でテレビで言ってたんで、
「外圧がないと日本は変えられない」と。
思わずカチンと来ましたけれど、よくそういうこと平気でいう人の本が売れるもんだなあと。なんかおかしいんじゃないかと。
なんか評論家でもそういうこと言ってた奴がいましたし、現役の国会議員ですらさえ、バラエティ番組でそういうことを言っていました。
あの人、あれですね、松田公太という議員で。なんかコーヒー屋の社長かなんかやっていた人ですよね。なんか外圧がないと日本は変わらないんだと。じゃあなんでお前国会議員になったんだよ、何言ってんだお前、と。
そういう連中が平気でいるので、ついにこういう本を出してしまいまして、これは三橋貴明さんと私は大変仲が良くて、柴山さんと並んで私の元ネタは大体三橋さんなんですけれどもね。三橋さんと柴山さんと藤井先生で、藤井聡教授、この3人で私の頭は出来ているんですけれども。

「売国奴に告ぐ!」というのを出しまして。
売国奴というのは古い言葉ですけれども、最近英語で、BKDとか言われてますね。あれです。
皆さんご存知ですよね?BKD。売国奴ですよね。
皆さんご一緒に。(Repeat after me) B・K・D〜。はい。

こういう本でございます。
これは非常に読みやすいんですけれども、かなりぶっちゃけトークやってしまいまして、こんなことやっていると私はまたその、命を狙われるのかなあ、と。
しばらく大島優子の仮面を被っていないと世に出られないのかなあと、思っております。
今日のお話はですね、最新版の本で、まあ性懲りもなくですね、また本を出しまして、これあの「レジームチェンジ」であります。

(----ここから本題----)
今日はですね、この本に基づいてお話をしたいと思っております。
早速ですが、始めたいと思いますが、そもそも今レジームチェンジと申し上げましたけど、レジームというのは日本語でいうと、「政治体制」とか「政治経済システムの体制」みたいなものをレジームというわけですね。
例えば、社会主義体制、社会主義のレジームというわけですけれども。この本で使っているレジームはそういう政権とか体制という意味もあるんですけれども、実はもう一つ意味があって、「政策レジーム」という「ポリシーレジーム」という言葉が実はありまして、これは政策の一連の体系なんですね。
さっきの社会主義であれは社会主義の体系、全ての企業は国有化しますとかですね、例えば、一連の政策の体系があるわけですね。
それを政策レジームという風に私は呼んでいるわけですけれども。
私が呼んだというよりは、ピーター・テミンという経済学者がですね、1930年代の世界恐慌から脱出していく、アメリカが脱出していく過程を分析していた時に、そういう言葉をつかったんですが。
それもあるんですが、世界恐慌とか大デフレ不況ですね。そこからどう脱出するかって時に、テミンは「政策レジームが大きく変わることで脱出した」と。
今世界でどうなっているかっていうと、ご案内の通り、2008年のリーマンショックで世界恐慌以来といわれているわけですね。
従って、世界中が大デフレ不況の危機にある。日本はですね、世界に先んじて10年以上前からデフレで苦しんでいると。
従って日本はデフレ。世界はデフレの危機。
ダブルでデフレで非常に特に日本は危ない状況になっています。
そうすると、1930年代の大恐慌はどうやって脱出したのか。
それを今、研究して参考にすることが非常に重要。従って、ポリシーレジーム、政策レジームの変更が必要でということで始めた研究がさっきの本なんですけれど。
もうひとつあるのは、ホンマもんのレジームですよね。つまり政治体制もこれから大きく変わる。正に2012年がそれですね。
こちらが2012年の選挙イヤー。

選挙しないと政権変わっちゃう国もありますけれども、選挙イヤーと言われているように、既に行われたのを含めれば、3月はロシア大統領選挙。イランの総選挙。
4月は今ギリシャ危機で問題になっているギリシャの国民議会選挙。5月はフランス大統領選挙が決選投票。それからムバラク大統領が、ムバラク体制が倒された後のエジプトでの大統領選挙が行われる。
6月にはフランスで国民議会選挙。7月はインドの大統領選挙。
このまま行くと、9月は民主党の代表選挙、自民党の総裁選挙があるといわれていますが、今なんかもっと政局とか言われて衆院解散とかみたいな議論はちらほらあります。
どうなるかは私はしりませんけれど。
10月は中国共産党大会があって、習近平体制になる、と言われているわけですね。
11月12月は(アメリカ)大統領選挙、それから韓国の大統領選挙ですね。
こういう風な流れになっているわけですが、単に選挙があるだけならいいんですけれども、例えばイランはイランの問題があってですの選挙ですね。
ギリシャはギリシャ債務危機のある中での選挙。
ユーロが問題になっている中でのフランスの選挙。
エジプトは体制崩壊した後の選挙ですよね。中国なんかもバブル崩壊した後の選挙。
それからアメリカも、まあアメリカの選挙って大抵、世の中を世界を大きく変える選挙ということなんですね。
だから何が起きているかっていうと、2008年から世界の資本主義の仕組みが大きく変わらざるを得ないっていう中で、うまく政治がうまくできないからぐちゃぐちゃしているところに、本当の選挙イヤーがドーっと押しかけてきた。
経済変動に覆いかぶさって政治変動が起きるので、これは結構大変なことになるんではないのかなと。
勿論良くなる可能性もあるんですけれど、恐らくそうとうこれは悪くなる可能性があって、要は何が悪くなるのかというと、混乱、ですよね。
従って、非常に重要で、恐らく2008年-2012年今後数年間、おそらく30年後とか50年後とか歴史に教科書に載るんでしょうね。つまりこの時歴史の大きな転換期がありました、と。
なんか松平さんが「歴史がその時大きく動いた」とかなんて言って、言いますよね。
多分あのシーンに僕らはいるんですよね。
歴史の転換期ってのは何かっていいますと、その時道を誤るとその国は衰退する。その時うまくやった国がその後、繁栄する。
歴史の分岐点にあるという非常に重要なタイミングなんですけども。
それで、レジームチェンジというのはそういう意味も含めてタイトルにこめたんですが、問題はそのレジームなんですよ。
今2008年以降、世界がデフレ不況の危機にあり、これが大恐慌以来といわれている。
大恐慌はテミンの研究によれば、政策レジームを抜本的に変換することで、よって脱出することが出来ました。
あの時もフーバー大統領がルーズベルト大統領に選挙によって変わっただけでなく、政策レジームも変えたんですね。
それと同じタイミングにあるんですが、日本はもう問題のデフレ不況に1998年からずーっとありますので、実は日本は政策レジームの変更に失敗し続けている、ということなんですね。
まずこのデフレって問題を片付けないといけないんですね。
デフレからなぜ脱却できていないか。その政策レジームはですね、デフレから脱却してインフレ、インフレといってもマイルドなインフレですけどね。
つまり、デフレよりインフレの方がまだマシなんで、普通の経済は緩やかに正常な経済は緩やかに物価が上がっていく、給料が上がっていくものなんですね。
デフレってのは異常事態なんですけれども。
しかもデフレってのは日本では10年以上あって、なんかデフレに慣れちゃっている感があってですね、少子高齢化だからデフレなんだだからとか、もう日本は成熟経済だからデフレなんだ、だとかなんだとか言っているんですけれど、全部間違いで。
戦後、デフレになった国って、日本だけなんですよ。
なんでかっていうと、デフレってあまりにも酷い。しかも世界恐慌とか酷かったわけですね。戦後、デフレだけは起こすまい。インフレになってもいいけど、デフレだけは起こすまい、というそれこそ政策レジームが変更されて、戦後その政策レジームで長いこと来ておったんですね。
だから、実はデフレって大体金融危機の後に起きるんですけれども、金融危機は戦後あったんです。どこの国でも。だけどデフレになった国って日本だけなんですね。
日本はバブル崩壊っていう金融危機があったんですが、その後デフレになりそうになった時に、実際にデフレを起こしてしまった。従ってこの日本のこの10年間20年間支配してきた政策レジームを変えないとダメだということなんです。
じゃあそもそも、デフレとは何かというと、私自身も説明をしたこともあるし、藤井聡教授がもしかしたら超人大陸でご説明したかもしれませんが、まあおさらいをしておきましょう。
デフレってのは何かっていうと、簡単に言えば、物価が下がっていくことですね。ずーっと下がり続ける。物の価値が下がり続けることですよね。
これなんで起こるかっていうと、需要と供給があって、ずっと需要が不足して、供給が多すぎる。だから労働者が職がないわけですね。労働者が多すぎる、企業が多すぎる。だから失業する。倒産する、赤字になる。
皆失業したり給料が下がったり、するもんだから消費もしない、投資もしないっていうことで、こっち(需要)が縮まり、ギャップが広がってまた物価が下がり、とまあこういうことなんですね。
それをグラフにしたのがこの絵なんですけど、これは何を意味しているかというと、今言った話でですね、需要と供給のギャップがあると、需要がどんどん縮まって供給とのギャップが広がってくるというデフレのメカニズムなんです。

言い換えるとこういうことですね、需要が少なすぎて供給が多すぎて物価が下がっていくということは、物価が下がっていく、物の価値が下がるということは、裏を返すとお金の価値が上がるってことですね。
お金の価値が上がるって事はどういうことかっていうと、よく考えてください。
お金を持っているだけで価値が上がるわけですね。そうすると、誰か消費をしますか?しませんよね。誰か投資をしますか?しませんね。
企業、特に中小企業は投資をする時に銀行から借金をしますね。融資を受けます。
ところがお金の価値が上がっていく中で銀行からお金を借りたら何が起こるかっていうと、お金返す時はお金の価値が上がっているんで、沢山返さなきゃいけないので、融資なんか誰も受けない。
だから投資もしない。
それどころか借りているお金はみんな慌てて、銀行に返さないと債務が膨らんでしまうので、みんな一所懸命歳出削減をしてお金を返しまくるんですね。
そうすると銀行はお金を貸す先がない上にお金返されてばっかりいるのでジャブジャブになっちゃう。そのお金がジャブジャブになってしょうがないので、何を買うかっていうと国債を買うわけですね。
国債しか買うものがないわけですよ。
そこで国債の金利がですね、みんな買うものだからずーっと下がっているとこういうメカニズムなわけなんですね。
そうすると、民間企業は経済合理的に動いていますから、お金の価値が上がる限りは経済合理的に考えて絶対投資や消費をしません。
そうすると、民間企業が投資や消費をしないければ需要が縮まって、需要と供給のギャップは更に広がる。ということがずーっと繰り返されます。この図にあるように供給は仕事が得られないのでそのうち、倒産をしたり、失業をしたりしていくので、だんだんだんだん、需要が縮まって供給のギャップが広がると、こっちが倒産する、でもその先に需要が縮まると。で、供給も縮まると。

でドカドカドカと。ずーっと元々ここ(基準点)に供給力があったものが、ここまで(現状値)下がっちゃう。だからデフレを放置していると、本当は潜在成長力がここだった(基準点)のにここ(現状値)まで下がっちゃうんですね。
日本は10年以上デフレだったので、こうなっちゃんですよ。だからデフレだけはイヤだ。っていうことなんですね。
非常にマズイことなんです。
じゃあこのデフレをどう脱却するか。この絵だけ見ていると簡単に見えますね。ここの需要と供給の差を埋めて、需要を増やせばいいんですが、さっき言ったように、お金の価値が上がっている限りは需要は絶対に上がりません。
従って経済合理的じゃない人が、ここ(デフレギャップ)を埋めるように、儲けを除外視して投資や消費をする必要があるんですね。
でも民間企業じゃそれは無理なんです。
そこでそれをやってくれるのが、政府なわけですね。政府が、民間はデフレの中では絶対に消費や投資をしません。

だからデフレになると民間主導の経済は不可能になるんですよ。投資も消費もしなくなる。特に投資と融資をしなくなりますね。
さて、資本主義とは何かというと、資本主義とは資本の主義ですね。資本ってのは事業活動の元手ですから、投資や融資をする、この活動が資本主義の基本ですね。
ところが、投資や融資をしないのがデフレなんですので、デフレってのは資本主義じゃなくなっちゃうって世界って事なんですよ。
戦後なんでデフレがイヤだかと言ったら資本主義じゃなくなっちゃうからですね。
だとすると民間ではもう動かなくなるので、ある意味で社会主義化する必要があるんですよ。
つまり、政府が消費や投資をする必要があると。ここで政府がこの足りない需要を埋めて強引に投資や消費をする。特に公共投資ですね、ここで埋めるわけです。
民間の銀行はお金の貸出先がなくなるので、お金がある。それを国債で吸い上げて、公共投資をやると。で、ここ(デフレギャップ)が埋まればですね、需要と供給が埋まれば、ちょっと需要を多くすると何が起こるかっていうと、物価が上がり始めますね。物価が上がるってことは貨幣の価値が下がるってことなので、今度は民間企業はお金を持っておくと損ですから、慌てて消費や投資をする。そこで民需が伸びてくるわけですね。
民主が伸びてったら、今度は放っておけばインフレになっちゃうので、民需が伸びてきたら、それに合わせて公共需要・公共投資を減らしていくと。
で最後、公共投資なしでも、民間が十分に需給ギャップが埋まるようになったらもう政府の役割はおしまい。
ということで、財政出動する必要がない。
だから財政出動を公共投資でずっとするわけじゃないんですね。
それから民間企業の投資を阻害するんじゃなくて、デフレの時は民間企業の投資を誘発するのが公共投資なんですよ。
さてと、日本は1998年からずっとデフレなんですが、正にバブルが崩壊して、バブルが崩壊ってのは、資産価格が半分とか2割とかにドーンと下がるってことですね。
従ってこの後、デフレになるってことを気をつけなければならないのだけれど、公共投資をバーンとやらなきゃいけないんですね。
最初はやっていたんですよ。やっていたんですが、1996年位からですね、その公共投資が多すぎる、無駄であるってことになりました。
でもそれで公共投資を引き下げ始めたのは96年以降ですが、それとともに1997年に決定で1998年から消費税が2%上がりました。つまり財政再建ですね。
でもそれとともに1998年からデフレに突入して未だにデフレから脱却できない。
よく公共投資が多すぎるっていうんですけれども、このグラフをご覧下さい。

藤井先生がもしかしたらご紹介されたかもしれませんが、1996年を100として公共投資の総額を見たのがこちらのグラフなんですけれども。
1996年から半分にまで引き下げられてしまったのは日本だけで、イギリスもフランスもアメリカもむしろ急激に伸ばしていて、ドイツは同じくらい。
つまり日本が先進国と比較して公共投資が多すぎるっていっても先進国が増やしているんですね。

日本だけが半分に減らしている。しかもさっきご紹介したようにデフレなのに半分にしちゃったんですよね。
じゃあGDPに占める公共投資の比率はどうでしょう。
確かにGDPに占める公共投資の比率は1996年の時、6%と高かった。これは欧米は大体3%位ですが、こう構造改革の結果、欧米並みになっている。

にもかかわらず、コンクリートから人へということで更に減らして。だけどもう欧米並みであることは、適正化というとそれ全然違うわけですよ。
第一にさっき言ったように日本はデフレ。民間が投資しない。民間がお金を借りない。だから誰か別の人がお金を借りて投資をしなけばならないのに、公共投資をデフレじゃない欧米並みにしているってことが問題の一つ。
問題の二つは、こうした欧米の国のどこで地震が起きたり、どこで台風がしょっちゅう来たり、どこであんなに川が急に氾濫したりするところがあるんですか?
つまり地震大国っていうだけで、例えばフランスの道路橋とかの太さと日本の道路橋の太さ、全然違うわけなんですね。
つまりこれだけ災害の多い国、これだけ平野が少ない国は公共投資の額が多くてて当然。言い換えると土建国家であって当然なんです。わが国の国土がそうなんですね。にも拘らず欧米並みにしてしまったんですね。だから地震や水害とかがどうにもならなくなっているわけですね。
これだけめちゃくちゃをやったということです。
で、よく公共投資は無駄であるとか、ケインズ主義は古いとか。
ケインズ主義は何かというと、不景気の時は財政出動をやって、景気を立て直す。
勿論景気がいい時は財政出動をやると今度はインフレになっちゃうのでそれは良くないんですね。そのケインズ主義は意味がないんだ、とずーっと言われてきました。まだ言っている人がいます。意味がないかを確認しておきましょう。この絵です。

これは何かというとですね、この青いほうが民間の負債の額なんです。黄緑の方が政府の投資、公共投資の額なんですね。
これは何を意味しているかっていうと、80年代位から90年代位まで民間の負債がうなぎ上りで上がっています。これは何を意味しているかっていうと、バブルです。
つまり景気がいいからみんなガンガン借金してガンガン投資をしていたので、民間の負債が上がっていくんですね。
よく、負債が膨らむ事が悪いことだと思っている人がいるんですけれども、それは一般消費者とかお家はそうですけれども、企業になったらビジネスセンスのある人だったら「なんで負債が膨らんだらいけないの?」って思いますよね。
つまり、負債を膨らませることで投資を増やして景気を大きくするので、銀行からお金を借りるのは当たり前で、借金しちゃいけない、健全じゃないといけないってことだったら、銀行はなんのためにあるんだってことになっちゃう。
だからバブルの時は負債が上がっちゃう、景気がいい時は負債の額が上がっていって、バブルなので負債が膨らみすぎるんですね。これまた良くないわけです。
それがずーーっ時ている。
今度はデフレになると、さっき説明したように借金しなくなるので、民間の負債が下がっちゃうってことなんですね。
それがこれで示していて、つまりこれ(右肩上がりグラフ)はバブルを示していて、これ(右肩下がり)がデフレを示しているってことなんですね。
(続く)
中野剛志「戦後デフレになったのは日本だけ。デフレ依存症からレジーム・チェンジの時」1/2
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超人大陸
http://www.choujintairiku.com/nakano9.html
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http://www.youtube.com/watch?v=_UzG54ZYvqA
ニコニコ動画
http://www.nicovideo.jp/watch/sm17223384
お久しぶりーふー!
はい、京都大学の中野でございます。
ご無沙汰しておりました。超人大陸の皆様には随分ご無沙汰になりました。去年の9月位からもうずっと出ておりませんでしたけど、若干言い訳とですね、宣伝やりますが、サボっていたわけではありませんで、一所懸命働いておりまして、実はずっと執筆活動をやっておりました。
ちょっと今日は皆様の前にご披露を。これまで頑張ってきたものをご紹介をして、今日はそのうちの最新の本から抜粋をして、よく講演とか呼ばれて使っている、資料とかお話をですね、噛み砕いて、皆様にご披露をしたいと思っております。
まず去年の12月かな?にですねこちらはですね、私と滋賀大学経済学部の柴山桂太先生っていう、経済思想とか政治思想とか幅広くやっておられる先生で、大体私と同じ位の年齢の方で。我々は実は、10年位の付き合いでして、いつも二人で議論をしたりですね。
大体私が偉そうにしゃべっていることは、大体柴山先生に教わったことでありまして、この二人でですねこういう「グローバル恐慌の真相」という本を出したわけであります。
結構売れたみたいで増刷もしております。
それから年明けて、2月になりましたらですね、今度はその、私は「日本思想史新論」という日本思想史の本なんですけど。
江戸時代から明治初期にですね、日本の思想史なんですけれども、なんでこんなことをやったかというと、簡単に言いますとね、まあTPP関連で日本中でですね、何が騒がれたかというと、
平成の開国とかいって、第三の開国とか言われましたけども、幕末から明治まで、黒船来航から開国したら近代化しましたと。第二次世界大戦に敗戦してからGHQに占領されて、民主化だかなんだかしましたと。
従ってまた外圧でまた変わりましょう!なんてこんなバカげたことをですね、歴史観、こんなふざけた恥ずかしい歴史観がですね、平気で蔓延したので、「TPPとは何か?」とかですね、日本はどう動くか以前にですね、
その腐りきった歴史観をですね、正さないといけないと思いまして、私は別に日本思想とか日本思想史の門下外なんですけれども、誰も正してくれないものですから、自分で研究して、こういう風に顕したとういうことです。
こちらもなんかその、結構難しげな、中身は難しくないんですけれども、難しげな本の割には結構売れ行きがいいようで、しばらくAmazonで在庫がなくなっちゃった、なんてことがあったようであります。是非ご覧いただければと思います。
それからこれも、関連しているんですけれども、外圧がないと日本は変えられないなんてのは本当にふざけた話なんですけど、頭で思っているだけじゃなくて、テレビとかで口で平気で言う奴はいっぱいいるわけですね。
私が死ぬほど嫌いなですね、古賀とかですね。あれ元官僚だったわけですけれどね、平気でテレビで言ってたんで、
「外圧がないと日本は変えられない」と。
思わずカチンと来ましたけれど、よくそういうこと平気でいう人の本が売れるもんだなあと。なんかおかしいんじゃないかと。
なんか評論家でもそういうこと言ってた奴がいましたし、現役の国会議員ですらさえ、バラエティ番組でそういうことを言っていました。
あの人、あれですね、松田公太という議員で。なんかコーヒー屋の社長かなんかやっていた人ですよね。なんか外圧がないと日本は変わらないんだと。じゃあなんでお前国会議員になったんだよ、何言ってんだお前、と。
そういう連中が平気でいるので、ついにこういう本を出してしまいまして、これは三橋貴明さんと私は大変仲が良くて、柴山さんと並んで私の元ネタは大体三橋さんなんですけれどもね。三橋さんと柴山さんと藤井先生で、藤井聡教授、この3人で私の頭は出来ているんですけれども。
「売国奴に告ぐ!」というのを出しまして。
売国奴というのは古い言葉ですけれども、最近英語で、BKDとか言われてますね。あれです。
皆さんご存知ですよね?BKD。売国奴ですよね。
皆さんご一緒に。(Repeat after me) B・K・D〜。はい。
こういう本でございます。
これは非常に読みやすいんですけれども、かなりぶっちゃけトークやってしまいまして、こんなことやっていると私はまたその、命を狙われるのかなあ、と。
しばらく大島優子の仮面を被っていないと世に出られないのかなあと、思っております。
今日のお話はですね、最新版の本で、まあ性懲りもなくですね、また本を出しまして、これあの「レジームチェンジ」であります。
(----ここから本題----)
今日はですね、この本に基づいてお話をしたいと思っております。
早速ですが、始めたいと思いますが、そもそも今レジームチェンジと申し上げましたけど、レジームというのは日本語でいうと、「政治体制」とか「政治経済システムの体制」みたいなものをレジームというわけですね。
例えば、社会主義体制、社会主義のレジームというわけですけれども。この本で使っているレジームはそういう政権とか体制という意味もあるんですけれども、実はもう一つ意味があって、「政策レジーム」という「ポリシーレジーム」という言葉が実はありまして、これは政策の一連の体系なんですね。
さっきの社会主義であれは社会主義の体系、全ての企業は国有化しますとかですね、例えば、一連の政策の体系があるわけですね。
それを政策レジームという風に私は呼んでいるわけですけれども。
私が呼んだというよりは、ピーター・テミンという経済学者がですね、1930年代の世界恐慌から脱出していく、アメリカが脱出していく過程を分析していた時に、そういう言葉をつかったんですが。
それもあるんですが、世界恐慌とか大デフレ不況ですね。そこからどう脱出するかって時に、テミンは「政策レジームが大きく変わることで脱出した」と。
今世界でどうなっているかっていうと、ご案内の通り、2008年のリーマンショックで世界恐慌以来といわれているわけですね。
従って、世界中が大デフレ不況の危機にある。日本はですね、世界に先んじて10年以上前からデフレで苦しんでいると。
従って日本はデフレ。世界はデフレの危機。
ダブルでデフレで非常に特に日本は危ない状況になっています。
そうすると、1930年代の大恐慌はどうやって脱出したのか。
それを今、研究して参考にすることが非常に重要。従って、ポリシーレジーム、政策レジームの変更が必要でということで始めた研究がさっきの本なんですけれど。
もうひとつあるのは、ホンマもんのレジームですよね。つまり政治体制もこれから大きく変わる。正に2012年がそれですね。
こちらが2012年の選挙イヤー。
選挙しないと政権変わっちゃう国もありますけれども、選挙イヤーと言われているように、既に行われたのを含めれば、3月はロシア大統領選挙。イランの総選挙。
4月は今ギリシャ危機で問題になっているギリシャの国民議会選挙。5月はフランス大統領選挙が決選投票。それからムバラク大統領が、ムバラク体制が倒された後のエジプトでの大統領選挙が行われる。
6月にはフランスで国民議会選挙。7月はインドの大統領選挙。
このまま行くと、9月は民主党の代表選挙、自民党の総裁選挙があるといわれていますが、今なんかもっと政局とか言われて衆院解散とかみたいな議論はちらほらあります。
どうなるかは私はしりませんけれど。
10月は中国共産党大会があって、習近平体制になる、と言われているわけですね。
11月12月は(アメリカ)大統領選挙、それから韓国の大統領選挙ですね。
こういう風な流れになっているわけですが、単に選挙があるだけならいいんですけれども、例えばイランはイランの問題があってですの選挙ですね。
ギリシャはギリシャ債務危機のある中での選挙。
ユーロが問題になっている中でのフランスの選挙。
エジプトは体制崩壊した後の選挙ですよね。中国なんかもバブル崩壊した後の選挙。
それからアメリカも、まあアメリカの選挙って大抵、世の中を世界を大きく変える選挙ということなんですね。
だから何が起きているかっていうと、2008年から世界の資本主義の仕組みが大きく変わらざるを得ないっていう中で、うまく政治がうまくできないからぐちゃぐちゃしているところに、本当の選挙イヤーがドーっと押しかけてきた。
経済変動に覆いかぶさって政治変動が起きるので、これは結構大変なことになるんではないのかなと。
勿論良くなる可能性もあるんですけれど、恐らくそうとうこれは悪くなる可能性があって、要は何が悪くなるのかというと、混乱、ですよね。
従って、非常に重要で、恐らく2008年-2012年今後数年間、おそらく30年後とか50年後とか歴史に教科書に載るんでしょうね。つまりこの時歴史の大きな転換期がありました、と。
なんか松平さんが「歴史がその時大きく動いた」とかなんて言って、言いますよね。
多分あのシーンに僕らはいるんですよね。
歴史の転換期ってのは何かっていいますと、その時道を誤るとその国は衰退する。その時うまくやった国がその後、繁栄する。
歴史の分岐点にあるという非常に重要なタイミングなんですけども。
それで、レジームチェンジというのはそういう意味も含めてタイトルにこめたんですが、問題はそのレジームなんですよ。
今2008年以降、世界がデフレ不況の危機にあり、これが大恐慌以来といわれている。
大恐慌はテミンの研究によれば、政策レジームを抜本的に変換することで、よって脱出することが出来ました。
あの時もフーバー大統領がルーズベルト大統領に選挙によって変わっただけでなく、政策レジームも変えたんですね。
それと同じタイミングにあるんですが、日本はもう問題のデフレ不況に1998年からずーっとありますので、実は日本は政策レジームの変更に失敗し続けている、ということなんですね。
まずこのデフレって問題を片付けないといけないんですね。
デフレからなぜ脱却できていないか。その政策レジームはですね、デフレから脱却してインフレ、インフレといってもマイルドなインフレですけどね。
つまり、デフレよりインフレの方がまだマシなんで、普通の経済は緩やかに正常な経済は緩やかに物価が上がっていく、給料が上がっていくものなんですね。
デフレってのは異常事態なんですけれども。
しかもデフレってのは日本では10年以上あって、なんかデフレに慣れちゃっている感があってですね、少子高齢化だからデフレなんだだからとか、もう日本は成熟経済だからデフレなんだ、だとかなんだとか言っているんですけれど、全部間違いで。
戦後、デフレになった国って、日本だけなんですよ。
なんでかっていうと、デフレってあまりにも酷い。しかも世界恐慌とか酷かったわけですね。戦後、デフレだけは起こすまい。インフレになってもいいけど、デフレだけは起こすまい、というそれこそ政策レジームが変更されて、戦後その政策レジームで長いこと来ておったんですね。
だから、実はデフレって大体金融危機の後に起きるんですけれども、金融危機は戦後あったんです。どこの国でも。だけどデフレになった国って日本だけなんですね。
日本はバブル崩壊っていう金融危機があったんですが、その後デフレになりそうになった時に、実際にデフレを起こしてしまった。従ってこの日本のこの10年間20年間支配してきた政策レジームを変えないとダメだということなんです。
じゃあそもそも、デフレとは何かというと、私自身も説明をしたこともあるし、藤井聡教授がもしかしたら超人大陸でご説明したかもしれませんが、まあおさらいをしておきましょう。
デフレってのは何かっていうと、簡単に言えば、物価が下がっていくことですね。ずーっと下がり続ける。物の価値が下がり続けることですよね。
これなんで起こるかっていうと、需要と供給があって、ずっと需要が不足して、供給が多すぎる。だから労働者が職がないわけですね。労働者が多すぎる、企業が多すぎる。だから失業する。倒産する、赤字になる。
皆失業したり給料が下がったり、するもんだから消費もしない、投資もしないっていうことで、こっち(需要)が縮まり、ギャップが広がってまた物価が下がり、とまあこういうことなんですね。
それをグラフにしたのがこの絵なんですけど、これは何を意味しているかというと、今言った話でですね、需要と供給のギャップがあると、需要がどんどん縮まって供給とのギャップが広がってくるというデフレのメカニズムなんです。
言い換えるとこういうことですね、需要が少なすぎて供給が多すぎて物価が下がっていくということは、物価が下がっていく、物の価値が下がるということは、裏を返すとお金の価値が上がるってことですね。
お金の価値が上がるって事はどういうことかっていうと、よく考えてください。
お金を持っているだけで価値が上がるわけですね。そうすると、誰か消費をしますか?しませんよね。誰か投資をしますか?しませんね。
企業、特に中小企業は投資をする時に銀行から借金をしますね。融資を受けます。
ところがお金の価値が上がっていく中で銀行からお金を借りたら何が起こるかっていうと、お金返す時はお金の価値が上がっているんで、沢山返さなきゃいけないので、融資なんか誰も受けない。
だから投資もしない。
それどころか借りているお金はみんな慌てて、銀行に返さないと債務が膨らんでしまうので、みんな一所懸命歳出削減をしてお金を返しまくるんですね。
そうすると銀行はお金を貸す先がない上にお金返されてばっかりいるのでジャブジャブになっちゃう。そのお金がジャブジャブになってしょうがないので、何を買うかっていうと国債を買うわけですね。
国債しか買うものがないわけですよ。
そこで国債の金利がですね、みんな買うものだからずーっと下がっているとこういうメカニズムなわけなんですね。
そうすると、民間企業は経済合理的に動いていますから、お金の価値が上がる限りは経済合理的に考えて絶対投資や消費をしません。
そうすると、民間企業が投資や消費をしないければ需要が縮まって、需要と供給のギャップは更に広がる。ということがずーっと繰り返されます。この図にあるように供給は仕事が得られないのでそのうち、倒産をしたり、失業をしたりしていくので、だんだんだんだん、需要が縮まって供給のギャップが広がると、こっちが倒産する、でもその先に需要が縮まると。で、供給も縮まると。
でドカドカドカと。ずーっと元々ここ(基準点)に供給力があったものが、ここまで(現状値)下がっちゃう。だからデフレを放置していると、本当は潜在成長力がここだった(基準点)のにここ(現状値)まで下がっちゃうんですね。
日本は10年以上デフレだったので、こうなっちゃんですよ。だからデフレだけはイヤだ。っていうことなんですね。
非常にマズイことなんです。
じゃあこのデフレをどう脱却するか。この絵だけ見ていると簡単に見えますね。ここの需要と供給の差を埋めて、需要を増やせばいいんですが、さっき言ったように、お金の価値が上がっている限りは需要は絶対に上がりません。
従って経済合理的じゃない人が、ここ(デフレギャップ)を埋めるように、儲けを除外視して投資や消費をする必要があるんですね。
でも民間企業じゃそれは無理なんです。
そこでそれをやってくれるのが、政府なわけですね。政府が、民間はデフレの中では絶対に消費や投資をしません。
だからデフレになると民間主導の経済は不可能になるんですよ。投資も消費もしなくなる。特に投資と融資をしなくなりますね。
さて、資本主義とは何かというと、資本主義とは資本の主義ですね。資本ってのは事業活動の元手ですから、投資や融資をする、この活動が資本主義の基本ですね。
ところが、投資や融資をしないのがデフレなんですので、デフレってのは資本主義じゃなくなっちゃうって世界って事なんですよ。
戦後なんでデフレがイヤだかと言ったら資本主義じゃなくなっちゃうからですね。
だとすると民間ではもう動かなくなるので、ある意味で社会主義化する必要があるんですよ。
つまり、政府が消費や投資をする必要があると。ここで政府がこの足りない需要を埋めて強引に投資や消費をする。特に公共投資ですね、ここで埋めるわけです。
民間の銀行はお金の貸出先がなくなるので、お金がある。それを国債で吸い上げて、公共投資をやると。で、ここ(デフレギャップ)が埋まればですね、需要と供給が埋まれば、ちょっと需要を多くすると何が起こるかっていうと、物価が上がり始めますね。物価が上がるってことは貨幣の価値が下がるってことなので、今度は民間企業はお金を持っておくと損ですから、慌てて消費や投資をする。そこで民需が伸びてくるわけですね。
民主が伸びてったら、今度は放っておけばインフレになっちゃうので、民需が伸びてきたら、それに合わせて公共需要・公共投資を減らしていくと。
で最後、公共投資なしでも、民間が十分に需給ギャップが埋まるようになったらもう政府の役割はおしまい。
ということで、財政出動する必要がない。
だから財政出動を公共投資でずっとするわけじゃないんですね。
それから民間企業の投資を阻害するんじゃなくて、デフレの時は民間企業の投資を誘発するのが公共投資なんですよ。
さてと、日本は1998年からずっとデフレなんですが、正にバブルが崩壊して、バブルが崩壊ってのは、資産価格が半分とか2割とかにドーンと下がるってことですね。
従ってこの後、デフレになるってことを気をつけなければならないのだけれど、公共投資をバーンとやらなきゃいけないんですね。
最初はやっていたんですよ。やっていたんですが、1996年位からですね、その公共投資が多すぎる、無駄であるってことになりました。
でもそれで公共投資を引き下げ始めたのは96年以降ですが、それとともに1997年に決定で1998年から消費税が2%上がりました。つまり財政再建ですね。
でもそれとともに1998年からデフレに突入して未だにデフレから脱却できない。
よく公共投資が多すぎるっていうんですけれども、このグラフをご覧下さい。
藤井先生がもしかしたらご紹介されたかもしれませんが、1996年を100として公共投資の総額を見たのがこちらのグラフなんですけれども。
1996年から半分にまで引き下げられてしまったのは日本だけで、イギリスもフランスもアメリカもむしろ急激に伸ばしていて、ドイツは同じくらい。
つまり日本が先進国と比較して公共投資が多すぎるっていっても先進国が増やしているんですね。
日本だけが半分に減らしている。しかもさっきご紹介したようにデフレなのに半分にしちゃったんですよね。
じゃあGDPに占める公共投資の比率はどうでしょう。
確かにGDPに占める公共投資の比率は1996年の時、6%と高かった。これは欧米は大体3%位ですが、こう構造改革の結果、欧米並みになっている。
にもかかわらず、コンクリートから人へということで更に減らして。だけどもう欧米並みであることは、適正化というとそれ全然違うわけですよ。
第一にさっき言ったように日本はデフレ。民間が投資しない。民間がお金を借りない。だから誰か別の人がお金を借りて投資をしなけばならないのに、公共投資をデフレじゃない欧米並みにしているってことが問題の一つ。
問題の二つは、こうした欧米の国のどこで地震が起きたり、どこで台風がしょっちゅう来たり、どこであんなに川が急に氾濫したりするところがあるんですか?
つまり地震大国っていうだけで、例えばフランスの道路橋とかの太さと日本の道路橋の太さ、全然違うわけなんですね。
つまりこれだけ災害の多い国、これだけ平野が少ない国は公共投資の額が多くてて当然。言い換えると土建国家であって当然なんです。わが国の国土がそうなんですね。にも拘らず欧米並みにしてしまったんですね。だから地震や水害とかがどうにもならなくなっているわけですね。
これだけめちゃくちゃをやったということです。
で、よく公共投資は無駄であるとか、ケインズ主義は古いとか。
ケインズ主義は何かというと、不景気の時は財政出動をやって、景気を立て直す。
勿論景気がいい時は財政出動をやると今度はインフレになっちゃうのでそれは良くないんですね。そのケインズ主義は意味がないんだ、とずーっと言われてきました。まだ言っている人がいます。意味がないかを確認しておきましょう。この絵です。
これは何かというとですね、この青いほうが民間の負債の額なんです。黄緑の方が政府の投資、公共投資の額なんですね。
これは何を意味しているかっていうと、80年代位から90年代位まで民間の負債がうなぎ上りで上がっています。これは何を意味しているかっていうと、バブルです。
つまり景気がいいからみんなガンガン借金してガンガン投資をしていたので、民間の負債が上がっていくんですね。
よく、負債が膨らむ事が悪いことだと思っている人がいるんですけれども、それは一般消費者とかお家はそうですけれども、企業になったらビジネスセンスのある人だったら「なんで負債が膨らんだらいけないの?」って思いますよね。
つまり、負債を膨らませることで投資を増やして景気を大きくするので、銀行からお金を借りるのは当たり前で、借金しちゃいけない、健全じゃないといけないってことだったら、銀行はなんのためにあるんだってことになっちゃう。
だからバブルの時は負債が上がっちゃう、景気がいい時は負債の額が上がっていって、バブルなので負債が膨らみすぎるんですね。これまた良くないわけです。
それがずーーっ時ている。
今度はデフレになると、さっき説明したように借金しなくなるので、民間の負債が下がっちゃうってことなんですね。
それがこれで示していて、つまりこれ(右肩上がりグラフ)はバブルを示していて、これ(右肩下がり)がデフレを示しているってことなんですね。
(続く)