超人大陸(平成24年3月12日号)
中野剛志「戦後デフレになったのは日本だけ。デフレ依存症からレジーム・チェンジの時」2/2
さて、このバブルの時、景気がいい時に、政府は何をしていたかというと、インフレの時はケインズ主義的な考えの時は、公共投資はどうするんですか?減らさなきゃならないですよね。増やすとバブルが酷くなります。景気が良くなりすぎます。民間の投資が多すぎるので減らさなければならない。
なのに、なんで増やしているんでしょうか?
つまり、景気が良くて民間の投資が大勢なのに、政府が投資を増やしているんですよ。
だからバブルになっちゃったんですね。これは何を意味しているか、なんで政府はそんなことを80年代やったのか。アメリカの要求なんですよ。
アメリカが貿易不均衡を是正するために、日本に内需拡大の要求をしてきたんですね。アメリカは貿易赤字なのでもっと輸入しろ、日本はもっと内需拡大しろと。その圧力に屈する形で、内需拡大ったって景気がいいので、輸入できないので、公共投資をやったんですよ。
そしたら日本はアメリカの要求のせいで、バブルになっちゃんたんです。
で1991年にバブルが崩壊しました。だから負債がいきなり止まっていますね。
民間の負債が止まっています。そこでバブルが崩壊して、今度は民間の負債が伸びなくなったので、逆に政府が投資をし、政府が負債を負う、つまり国債を発行する必要があったんです。
最初はそれをやっていたんです。90年代。だから民間の負債は減らなかった。
ところが96-97年、橋本内閣ですね。
橋本内閣の時に何をやったかというと、「財政再建」だと。「公共投資は意味がない」と。
本当はこれ、民間の負債が落ちないように意味があったんですけれども、意味がないといって、「緊縮財政」「消費税増税」をやったわけですね。
だから緑の政府支出が減っているんですが、政府支出と供に民間の負債が減っています。
民間の負債が減り続けるということは、ヤバイってことです。これデフレってことなんですよ。
っていうことは、ケインズ主義は意味がなかったんではなくて、逆なんですよ。
ケインズ主義ってのは、景気がいい時は財政出動は減らす。景気が悪い時は財政出動をする。これがケインズ主義なんです。
日本は何をやったか。景気がいい時に、財政出動をしてバブルを起こし、景気が悪くなってデフレになるそうになったら財政出動を減らした。つまりケインズ主義が意味がないんじゃなくて、ケインズ主義がやれっていっていることの逆のことを2回連続やったんですね。
そんなことやればどんな国だって20年間失われますよ。という話なんです。
これ以上をまとめると、こういうことなんです。
これ一回お見せしたかもしれませんが、インフレとデフレではやるべきことが逆なんです。

ケインズ主義ってのは、インフレってのは需要が多すぎて、供給が少なすぎることなので、公共投資を減らさなければいけないですね。
それから供給を増やさなければならないので、自由化とか規制緩和とか生産性の向上とかやならなければならない。インフレの時は需要を減らし供給を増やす、ということをやらなけれなならないんですね。
今の日本みたいなデフレでは全く逆で、需要が少なすぎて供給が多すぎるので、供給を減らして需要を増やさなきゃいけないと。
従って、インフレの時とデフレの時の経済政策は全く反対のはずなんですよ。これがそれなんですよ。

インフレの時は需要が多すぎて供給が少なすぎるので、やるべきことは需要を減らして供給を増やすこと。
デフレはその逆です。
従ってインフレ対策はまず、政府の支出を減らす財政健全化、増税、行革、小さな政府、金融引き締め、こういうことをやります。
需要を減らし供給を増やすために、生産性の向上のために規制緩和や非効率部門淘汰、グローバル化、こういったことをやります。
地方分権ってのはこれは地方に任せることで、地方の方が財政厳しいので、これはどちらかというと、この需要の減少になるということです。
でグローバル化で競争を世界的に促進するということなんです。
このインフレ対策をやったのは誰かっていうと、サッチャーとレーガンなんですね。
つまり、いわゆる「新自由主義」「構造改革」ってやつですね。
サッチャーやレーガンはなんで小さな政府、規制緩和や民営化と言ったかというと、80年代初頭、サッチャーやレーガンが登場した時、アメリカやイギリスはインフレで悩んでいたんです。だからそれをやった。
じゃあデフレの時。日本はデフレの時何をやればいいかというと、その逆です。
財政は、緊縮財政、財政再建じゃなくて財政出動。金融は引き締めじゃなくて緩和。雇用の確保。競争は促進しないで抑制して協調する。それから中央政府は地方政府の財政赤字を助けるためにガンガン財政出動をする。それからグローバル化は抑制する。
つまりインフレ対策とデフレ対策はまるっきり逆なんです。
さっき言った大恐慌でそれをやったのがルーズベルトであり、日本であれば高橋是清なんですね。
最近で言うと小渕政権、麻生政権はそれを分かっていたんですが、これ途中で頓挫すると。
すなわち、日本でこの20年間流行っていた構造改革とか消費税増税とか財政健全化っていうのは、全部インフレ退治の政策なんです。
だから構造改革とか新自由主義みたいなインフレ対策みたいなインフレ退治をデフレを警戒しないといけないこの日本。バブル崩壊後にやり続けたから、デフレになったんですね。
で、デフレになったのに、また構造改革が足りないんだといって、狂ったようにずっとやるので。だって構造改革はインフレを退治するために、人為的に起こす政策なんですから、それで日本だけがずっとデフレだということなんです。
非常にバカげた話だということなんですね。
さて、これこそが私が言いたいことなんです。
つまりですね、インフレの時とデフレの時の対策が逆ってことは、政策レジームの逆なんですよ。
だからインフレの時はデフレを起こすデフレレジームが必要なのは事実です。これがサッチャーやレーガンがやったことです。これが構造改革なんですね。
ところがデフレの時や大恐慌の時や今のようなデフレの時は、インフレを起こすようなインフレレジームが必要だということです。
だから大恐慌はさっきのピーター・テミンの分析では、大恐慌はどうやって脱出したかっていうと、フーバー大統領のデフレレジームをルーズベルト大統領が政権交代してかつ、その政策レジームをデフレレジームからインフレレジームに変えたんです。
だから公共投資もやったし、農産品の価格が下がらないように割り当て制にして、価格を支えたんですよね。
だから農産品の競争の激化なんてやってない。生産性の向上とか農業の構造改革とかしていない。その逆に農業を保護しまくったということなんです。
これをやらならきゃいけないんですが、実はこれをやった男がいるんです。実はルーズベルト大統領は大統領選に当選した時は、その政策レジームの変更とはわかっていなくて、世間も新聞もみんなそれでも、財政健全化しないといけないんだ、と思い込んでいた。
だから大恐慌で失業率が20%という酷い時なのに、財政健全化はいいことだ、とみんな思っていた。
実はルーズベルトも当選する前や当選した後は財政健全化やります!って言っていて、各新聞は「流石ルーズベルト大統領!ルーズベルトに期待する!」とかですね、きっとそういうこと実際、今の日本と同じように言っていたんですね。
「先送りできない課題」とかですね、そんな感じで財政健全化をみんなで褒め称えていたわけですね。
ところがそんなことをやったらもっと大恐慌が悪化することが分かっていた人間が何人かいて、そのうちの一人がこの男。マリナー・エクルズ。この人はこれはタイムズの写真なんですけれど、

この人は経済学者じゃないんです。
経済学者は当時の常識では、財政健全化はとにかくいいことだ!ってことになっていたんですけれど、エクルズはユタ州の実業家でかつ銀行家で。銀行家で銀行を経営している時に大恐慌を直撃したので、彼はわかったんですよ。
彼はビジネスセンスがあるので、デフレが起きた途端にみんな銀行にお金を返し始めて、このままではヤバイということに彼は気づいた。
彼は経済学で教えられていることに捕らわれないで、これはヤバイってことで、正に財政出動とか、財政健全化を逆にしてはいけないんだと。国債をバンバンと発行すりゃいいんだと、彼は考えたんですね。
それでそれを地元の国会議員に言ったら、その地元の国会議員がルーズベルト大統領に差し込んだんですよ、その話を。そうしたらルーズベルトが「じゃあこの人の話を聞こう」って事で彼は議会に呼ばれて証言をするんですね。
そこで言った内容が実は、ルーズベルトの心を変えて、いわゆる有名なニューディール政策に繋がるんですよ。このエクルズが考えたことっていうのは、ジョン・メイナード・ケインズと殆ど同じ考え方だったんですが、ジョン・メイナード・ケインズがその考えを明らかにしたのは1936年。
彼はその前で、自伝の中で「オレ、ケインズの本って読んだことない」って言っているんですね。
彼はビジネスマンで銀行家なんですけれど、実態の経済の動きをよく知悉していたので、それで学問からではなくて、実体験からケインズと同じ結論にいち早く達していて、そしてルーズベルトを説得したんですね。
このエクルズがですね、当時一所懸命ですね、彼はみんなからやっぱり批判されるんですよ。批判されて、彼は雑誌に書いたり、新聞に出たり議会で証言したり、或いはラジオで一所懸命訴えるんですね。
当時バードという上議員議員がいて、これは日本でいうと与謝野馨みたいな奴なんですよ。
「借金はこれ以上増やしちゃいけないんだ!」とか「「財政健全化しないとダメなんだ!」ってのを言い続けていたのに対して、エクルズは果敢にそれに反論をし続けました。
当時の常識では今の構造改革論者と同じなんですけれど、政府は市場に介入すべきではない。じゃあデフレはどうするのか。デフレは物価が下がるから、そのうち価格は市場メカニズムで均衡する。だから今苦しい企業を助けちゃいけないんだ。というのが当時の常識。
今でもそうですよね。デフレで企業が苦しんで効率が悪くなっているのに、非効率な企業は淘汰しろ!建設会社は淘汰しろ!とかやってますよね。
TPPでもそうです。農業の非効率な農業は淘汰しろとか。デフレの時なんか非効率を淘汰しても仕方ないんですね。それを淘汰してもデフレはどんどん悪化するんです。
1930年代の常識もそうだった。エクルズはこれは違うといって彼はこう言いました。
「人々は価格が下がると信じている限り、物ではなく金を欲しがる。」
だから金を溜め込んじゃうので、デフレは底なしだ。ずっと金を溜め込むのでいつか均衡してまた景気が良くなる。つまり底を打ってまた上がるなんてことはない。普通の景気循環じゃないぞ。
正に日本もそうですね。それをエクルズは言い続けました。
「インフレも心配だけどデフレはインフレよりはるかにタチが悪い」
といい続けました。
それからですね、財政赤字は悪である、という意見に対してですね彼はこう言ったんですね。
「債務の拡大なしに繁栄した時代はない。」
つまり、景気がいい時ってのは債務が拡大している。つまり民間の債務とかが拡大しているんですね。
大体、資本主義なんだから債務が拡大いいに決まっているでしょ。反対に債務が縮小している時、債務の縮小なしにデフレに陥った時代はない。
つまり、債務が縮小したらヤバイ。さっきお見せした図ですね。民間の債務が縮小し出したらデフレになる。
だけど、民間はデフレである限り債務は縮小せざるを得ないので、政府が債務を膨らまして、民間と政府を足した債務が、縮まらないようにならないと、デフレになるぞ、といったんですね。
日本の場合は愚かな事に、民間の債務が減っている時に、政府の債務を減らそうとしたのでデフレになったのですが、当時のアメリカもそれをやっちゃってたんです。
エクルズはデータを基づいてこう言いました。1929年から世界恐慌が始まるんですが、
「1929-1933年、政府債務と民間債務を足した合計の債務が−14%。つまり政府債務が下がっている。ところが同時に国民所得は50%以上も下がっているぞ。」
つまり債務が下がると、国民所得はもっと下がる。だから民間の債務が下がっている時は政府の債務を増やさないと、国民の所得がは下がるぞ。
「いい加減、借金は良くないことだってのをやめなさい。」
といったんですね。エクルズはまたこう言いました。
均衡財政と言う人たちに
「あのね、財政の均衡が大事じゃなくて、経済の均衡が大事なんです。」
つまり、財政の収支が大事じゃなくて、経済の需要と供給が均衡することが大事なんです、ってことを言い続けまして、彼は政府の役割は補完的であるべきだというアイディアを出しました。
つまり、民間が投資や債務を減らしている時は、政府は増やす。民間が増やしている時は政府は減らす。ってことでトータルが減らないように、政府は常に民間と逆をやりなさい、ということなんですね。
その時に、フーバー大統領は日本でいう消費税を上げて健全財政化をしようとしてて、デフレを悪化させたんですが、
エクルズは消費税は減税すべきだ。むしろ貯蓄を溜め込んでいる金持ちに課税すべきだという風にエクルズは言いました。
それから「財政破綻するんだ!アメリカは財政破綻するんだ!」という意見にエクルズはこう言いました。
「自国民からお金を借りている限り、貧しくなることはあり得ない。」
日本もそうなんですね。日本も日本の国債は9割以上日本人が買っているんですが、それをエクルズは分かっているんですよ。自国民から借りているのになんで貧しくなるの?だと。
エクルズがこう言いました。
「もし我々アメリカ人が貧しくなるんだとしたら、それは経済成長が出来なること。」
つまりさっきの図、これですね。

デフレによって潜在成長率が破壊される事、これが貧しくなるのであって、債務が膨らんで貧しくなるんじゃないんだってふうにいったんですね。
これもエクルズはデータで言いました。
イングランド史。イングランドの歴史によると18世紀、イングランドはフランスと戦争をしていたので、戦争のためにいっぱい借金をした。
だから政府債務は5000ポンドから8億ポンドに激増したんですね。
そこで、当時のイギリスでも財政破綻だと言われたんですが、
「イギリスは全部ポンド建てでやっていたんですけれども、5000ポンドから8億ポンドまで激増しましたが、イギリスの財政は破綻したって記録ないんだけど。」って言ったんですね。
それから日本だと、財政出動は意味がないから、金融緩和をやるべきだ、という意見が多いんですけれど、エクルズはそれは無理だと言っています。
因みにエクルズは、ニューディールのアイディアを出したってことで、ルーズベルトに採用されて、彼はFRB、日本でいう日銀総裁、FRBの議長になったんですよ。
だから彼は金融も元々銀行家で詳しいんですけれど、彼は
「金融政策でデフレは脱却出来ない!」
と言ってますね。
それは経済学者は、まともな経済学者はこう言うんですよ。
「インフレの時に金利を上げるとインフレを抑止できるんですけど、デフレの時はみんなお金を溜め込むので、金利を下げてお金ジャブジャブにしても、無理だ」
って言うんですが、エクルズもそう言っているんですよ。
つまりこれは経済学者の間でこういっているんですね。紐では押せない。
紐で引っ張ることは出来ても、押すことは出来ない、ですよね。
それと同じでインフレの時にインフレ退治で金利を上げる事は出来るんですが、デフレの時に金利を下げるだけじゃ、デフレ脱却を出来ない。エクルズはそれを分かっていたんですね。
色々エクルズの話をしているとなかなか話が長くなっちゃうんで、最後にエクルズの言葉をいくつか紹介しましょう。非常にいいこと言っています。
まず、エクルズは当時は小さな政府は良い、と言われていたんですけれども、エクルズは「違うぞ、大きな政府の時代だ」ということでこういう言葉を残しています。
19世紀とか20世紀初頭までは小さな政府、市場メカニズムがいいんだってことになっていたんですが、エクルズはこう言ったんですよね。

現在の無秩序な経済がもたらした狂った混乱や恐怖の中で、われわれは、歴史上これにまでない大胆で勇気ある指導力を必要としている。
それから新たな経済哲学、新たな社会システムの根本的な変化が必要となっている。
19世紀の経済学、市場に任せればいいという経済学は役に立たない。150年の寿命が終わった。これからは自由競争や無制御な個人主義による資本主義システムはもう役に立たない。
つまり自由競争だ、個人の時代だってのは終わった。ってこれアメリカで言っているんですよ。と彼は言っている。
じゃあ何が必要かと。

われわれに欠けているのは資本主義的民主政治の本質に関する基本的な理解である。
どういう意味かっていうと彼はこのように言っているんですね。
これまでの自由放任のシステムは維持できない。つまりインフレになったりデフレになったり、変動が激しすぎるので、政府はインフレになったら止める、デフレになったらそれを止めるって風に、常に政府が動かなきゃいけない。で、デフレは失業とか大変な問題を一杯起こすので、民主主義国家じゃ維持できないと。だって失業者が一杯いたら民主主義もへったくれもないですよね。だから資本主義を守り、民主主義を守るために、政府の財政出動が必要だと言っているんですね。
これは実は当時アメリカは、デフレで失業者がいっぱい出ると、
「痛みを伴う改革だから仕方がない」「痛みに堪えろ」
と言っていたんですね。
日本でも言ってますよね。でもエクルズは
「痛みになんか堪えられるわけないだろ、オレ達生きているんだぞ、ふざけるな!」
ってエクルズは言っているわけです。
極めつけエクルズはこう言ってますね。当時この後アメリカは戦争するわけです。実は日本と戦争するんですけれども、こう言うんですね。

敵国との戦争から人命を守るために使われるのと同じ政府債務が、平時においては、失望と絶望から人命を守るためにも使われるのである。
つまり、政府債務は悪だ!国債は悪だ!財政赤字は悪だ!って言っている人に対してエクルズはこういうふうなことを言っているんですね。
敵と戦争して命がけで戦っている時に、財政赤字に心配するバカがあるか?
戦争に勝つ。国を守るためには財政赤字なんか心配しないでガンガンやる。当たり前だろ?それと同じだ。
デフレという許しがたい、恐慌という許しがたいものと戦うために財政赤字を惜しむなんてバカじゃないか。
だから日本はバカだって事なんですが、日本の場合はもっと酷い。
1000年に一度っていう震災が起きて、この震災と戦うために、人命を助けるために、財政出動をしなければならないのに、それも惜しんだんですね。
さてこういうふうなこと、戦争と戦うための能力がないのと同様に、恐慌と戦う政府の能力にも制限はない。
とエクルズは言いました。
つまり、大きな政府の時代が来たんですね。
エクルズの場合は、この様に考え方を抜本的にレジームチェンジを彼は考え方を変えることが出来て、ルーズベルトもそれに合わせて、変えたので、戦後アメリカは大恐慌から繁栄した、ということであります。
日本はそれが出来ていないから、まとめると、こういうことなんですね。
二つの政策レジームがあるということなんですね。

インフレ退治のデフレレジーム。それからエクルズ、ルーズベルトがやったデフレ退治のインフレレジーム。この二つがあるんですが。
日本はですね、デフレを心配しなきゃいけないのに、構造改革だ!構造改革ってのはデフレレジームですからね。財政健全化もデフレレジームなんですね。これでずーーーっとやってきて、これが正しいと、ずっと思い込んでだと。
だからなんです。平成の失われた20年、10年以上のデフレ。
この間出てきた人達、経済学者、みんなコレを言ったわけですね。それからエリート達はみんなコレです。
それから、政策通と呼ばれる政治家。彼らの政治通の政策ってデフレレジームの政策なんですよ。
デフレレジームに通じていたので政策通という。彼らはだからデフレを起こした。
改革派と呼ばれる人達、経済学者や官僚、古賀ですな。
改革派と呼ばれた官僚達の改革ってのはデフレを起こすための改革なんですよ。
だから政策通って呼ばれる政治家、改革派っていわれる官僚、みんなデフレレジームの中で評価される人達の意見を聞いたって、デフレから出られるわけがありません。
従って、政策通じゃない人、改革派じゃない人、これまで高い評価を得られなかった人、守旧派、抵抗勢力、反動、この人達じゃないとデフレは脱却出来ません。
アメリカにはエクルズという人がいました。さあ日本にそういう人が何人出てくるか、それにかかっていると思われます。
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<参考資料>
【参議院 国民生活・経済・社会保障に関する調査会】平成24年2月22日 京都大学藤井聡教授公述資料(PDF)
中野剛志「戦後デフレになったのは日本だけ。デフレ依存症からレジーム・チェンジの時」2/2
さて、このバブルの時、景気がいい時に、政府は何をしていたかというと、インフレの時はケインズ主義的な考えの時は、公共投資はどうするんですか?減らさなきゃならないですよね。増やすとバブルが酷くなります。景気が良くなりすぎます。民間の投資が多すぎるので減らさなければならない。
なのに、なんで増やしているんでしょうか?
つまり、景気が良くて民間の投資が大勢なのに、政府が投資を増やしているんですよ。
だからバブルになっちゃったんですね。これは何を意味しているか、なんで政府はそんなことを80年代やったのか。アメリカの要求なんですよ。
アメリカが貿易不均衡を是正するために、日本に内需拡大の要求をしてきたんですね。アメリカは貿易赤字なのでもっと輸入しろ、日本はもっと内需拡大しろと。その圧力に屈する形で、内需拡大ったって景気がいいので、輸入できないので、公共投資をやったんですよ。
そしたら日本はアメリカの要求のせいで、バブルになっちゃんたんです。
で1991年にバブルが崩壊しました。だから負債がいきなり止まっていますね。
民間の負債が止まっています。そこでバブルが崩壊して、今度は民間の負債が伸びなくなったので、逆に政府が投資をし、政府が負債を負う、つまり国債を発行する必要があったんです。
最初はそれをやっていたんです。90年代。だから民間の負債は減らなかった。
ところが96-97年、橋本内閣ですね。
橋本内閣の時に何をやったかというと、「財政再建」だと。「公共投資は意味がない」と。
本当はこれ、民間の負債が落ちないように意味があったんですけれども、意味がないといって、「緊縮財政」「消費税増税」をやったわけですね。
だから緑の政府支出が減っているんですが、政府支出と供に民間の負債が減っています。
民間の負債が減り続けるということは、ヤバイってことです。これデフレってことなんですよ。
っていうことは、ケインズ主義は意味がなかったんではなくて、逆なんですよ。
ケインズ主義ってのは、景気がいい時は財政出動は減らす。景気が悪い時は財政出動をする。これがケインズ主義なんです。
日本は何をやったか。景気がいい時に、財政出動をしてバブルを起こし、景気が悪くなってデフレになるそうになったら財政出動を減らした。つまりケインズ主義が意味がないんじゃなくて、ケインズ主義がやれっていっていることの逆のことを2回連続やったんですね。
そんなことやればどんな国だって20年間失われますよ。という話なんです。
これ以上をまとめると、こういうことなんです。
これ一回お見せしたかもしれませんが、インフレとデフレではやるべきことが逆なんです。
ケインズ主義ってのは、インフレってのは需要が多すぎて、供給が少なすぎることなので、公共投資を減らさなければいけないですね。
それから供給を増やさなければならないので、自由化とか規制緩和とか生産性の向上とかやならなければならない。インフレの時は需要を減らし供給を増やす、ということをやらなけれなならないんですね。
今の日本みたいなデフレでは全く逆で、需要が少なすぎて供給が多すぎるので、供給を減らして需要を増やさなきゃいけないと。
従って、インフレの時とデフレの時の経済政策は全く反対のはずなんですよ。これがそれなんですよ。
インフレの時は需要が多すぎて供給が少なすぎるので、やるべきことは需要を減らして供給を増やすこと。
デフレはその逆です。
従ってインフレ対策はまず、政府の支出を減らす財政健全化、増税、行革、小さな政府、金融引き締め、こういうことをやります。
需要を減らし供給を増やすために、生産性の向上のために規制緩和や非効率部門淘汰、グローバル化、こういったことをやります。
地方分権ってのはこれは地方に任せることで、地方の方が財政厳しいので、これはどちらかというと、この需要の減少になるということです。
でグローバル化で競争を世界的に促進するということなんです。
このインフレ対策をやったのは誰かっていうと、サッチャーとレーガンなんですね。
つまり、いわゆる「新自由主義」「構造改革」ってやつですね。
サッチャーやレーガンはなんで小さな政府、規制緩和や民営化と言ったかというと、80年代初頭、サッチャーやレーガンが登場した時、アメリカやイギリスはインフレで悩んでいたんです。だからそれをやった。
じゃあデフレの時。日本はデフレの時何をやればいいかというと、その逆です。
財政は、緊縮財政、財政再建じゃなくて財政出動。金融は引き締めじゃなくて緩和。雇用の確保。競争は促進しないで抑制して協調する。それから中央政府は地方政府の財政赤字を助けるためにガンガン財政出動をする。それからグローバル化は抑制する。
つまりインフレ対策とデフレ対策はまるっきり逆なんです。
さっき言った大恐慌でそれをやったのがルーズベルトであり、日本であれば高橋是清なんですね。
最近で言うと小渕政権、麻生政権はそれを分かっていたんですが、これ途中で頓挫すると。
すなわち、日本でこの20年間流行っていた構造改革とか消費税増税とか財政健全化っていうのは、全部インフレ退治の政策なんです。
だから構造改革とか新自由主義みたいなインフレ対策みたいなインフレ退治をデフレを警戒しないといけないこの日本。バブル崩壊後にやり続けたから、デフレになったんですね。
で、デフレになったのに、また構造改革が足りないんだといって、狂ったようにずっとやるので。だって構造改革はインフレを退治するために、人為的に起こす政策なんですから、それで日本だけがずっとデフレだということなんです。
非常にバカげた話だということなんですね。
さて、これこそが私が言いたいことなんです。
つまりですね、インフレの時とデフレの時の対策が逆ってことは、政策レジームの逆なんですよ。
だからインフレの時はデフレを起こすデフレレジームが必要なのは事実です。これがサッチャーやレーガンがやったことです。これが構造改革なんですね。
ところがデフレの時や大恐慌の時や今のようなデフレの時は、インフレを起こすようなインフレレジームが必要だということです。
だから大恐慌はさっきのピーター・テミンの分析では、大恐慌はどうやって脱出したかっていうと、フーバー大統領のデフレレジームをルーズベルト大統領が政権交代してかつ、その政策レジームをデフレレジームからインフレレジームに変えたんです。
だから公共投資もやったし、農産品の価格が下がらないように割り当て制にして、価格を支えたんですよね。
だから農産品の競争の激化なんてやってない。生産性の向上とか農業の構造改革とかしていない。その逆に農業を保護しまくったということなんです。
これをやらならきゃいけないんですが、実はこれをやった男がいるんです。実はルーズベルト大統領は大統領選に当選した時は、その政策レジームの変更とはわかっていなくて、世間も新聞もみんなそれでも、財政健全化しないといけないんだ、と思い込んでいた。
だから大恐慌で失業率が20%という酷い時なのに、財政健全化はいいことだ、とみんな思っていた。
実はルーズベルトも当選する前や当選した後は財政健全化やります!って言っていて、各新聞は「流石ルーズベルト大統領!ルーズベルトに期待する!」とかですね、きっとそういうこと実際、今の日本と同じように言っていたんですね。
「先送りできない課題」とかですね、そんな感じで財政健全化をみんなで褒め称えていたわけですね。
ところがそんなことをやったらもっと大恐慌が悪化することが分かっていた人間が何人かいて、そのうちの一人がこの男。マリナー・エクルズ。この人はこれはタイムズの写真なんですけれど、
この人は経済学者じゃないんです。
経済学者は当時の常識では、財政健全化はとにかくいいことだ!ってことになっていたんですけれど、エクルズはユタ州の実業家でかつ銀行家で。銀行家で銀行を経営している時に大恐慌を直撃したので、彼はわかったんですよ。
彼はビジネスセンスがあるので、デフレが起きた途端にみんな銀行にお金を返し始めて、このままではヤバイということに彼は気づいた。
彼は経済学で教えられていることに捕らわれないで、これはヤバイってことで、正に財政出動とか、財政健全化を逆にしてはいけないんだと。国債をバンバンと発行すりゃいいんだと、彼は考えたんですね。
それでそれを地元の国会議員に言ったら、その地元の国会議員がルーズベルト大統領に差し込んだんですよ、その話を。そうしたらルーズベルトが「じゃあこの人の話を聞こう」って事で彼は議会に呼ばれて証言をするんですね。
そこで言った内容が実は、ルーズベルトの心を変えて、いわゆる有名なニューディール政策に繋がるんですよ。このエクルズが考えたことっていうのは、ジョン・メイナード・ケインズと殆ど同じ考え方だったんですが、ジョン・メイナード・ケインズがその考えを明らかにしたのは1936年。
彼はその前で、自伝の中で「オレ、ケインズの本って読んだことない」って言っているんですね。
彼はビジネスマンで銀行家なんですけれど、実態の経済の動きをよく知悉していたので、それで学問からではなくて、実体験からケインズと同じ結論にいち早く達していて、そしてルーズベルトを説得したんですね。
このエクルズがですね、当時一所懸命ですね、彼はみんなからやっぱり批判されるんですよ。批判されて、彼は雑誌に書いたり、新聞に出たり議会で証言したり、或いはラジオで一所懸命訴えるんですね。
当時バードという上議員議員がいて、これは日本でいうと与謝野馨みたいな奴なんですよ。
「借金はこれ以上増やしちゃいけないんだ!」とか「「財政健全化しないとダメなんだ!」ってのを言い続けていたのに対して、エクルズは果敢にそれに反論をし続けました。
当時の常識では今の構造改革論者と同じなんですけれど、政府は市場に介入すべきではない。じゃあデフレはどうするのか。デフレは物価が下がるから、そのうち価格は市場メカニズムで均衡する。だから今苦しい企業を助けちゃいけないんだ。というのが当時の常識。
今でもそうですよね。デフレで企業が苦しんで効率が悪くなっているのに、非効率な企業は淘汰しろ!建設会社は淘汰しろ!とかやってますよね。
TPPでもそうです。農業の非効率な農業は淘汰しろとか。デフレの時なんか非効率を淘汰しても仕方ないんですね。それを淘汰してもデフレはどんどん悪化するんです。
1930年代の常識もそうだった。エクルズはこれは違うといって彼はこう言いました。
「人々は価格が下がると信じている限り、物ではなく金を欲しがる。」
だから金を溜め込んじゃうので、デフレは底なしだ。ずっと金を溜め込むのでいつか均衡してまた景気が良くなる。つまり底を打ってまた上がるなんてことはない。普通の景気循環じゃないぞ。
正に日本もそうですね。それをエクルズは言い続けました。
「インフレも心配だけどデフレはインフレよりはるかにタチが悪い」
といい続けました。
それからですね、財政赤字は悪である、という意見に対してですね彼はこう言ったんですね。
「債務の拡大なしに繁栄した時代はない。」
つまり、景気がいい時ってのは債務が拡大している。つまり民間の債務とかが拡大しているんですね。
大体、資本主義なんだから債務が拡大いいに決まっているでしょ。反対に債務が縮小している時、債務の縮小なしにデフレに陥った時代はない。
つまり、債務が縮小したらヤバイ。さっきお見せした図ですね。民間の債務が縮小し出したらデフレになる。
だけど、民間はデフレである限り債務は縮小せざるを得ないので、政府が債務を膨らまして、民間と政府を足した債務が、縮まらないようにならないと、デフレになるぞ、といったんですね。
日本の場合は愚かな事に、民間の債務が減っている時に、政府の債務を減らそうとしたのでデフレになったのですが、当時のアメリカもそれをやっちゃってたんです。
エクルズはデータを基づいてこう言いました。1929年から世界恐慌が始まるんですが、
「1929-1933年、政府債務と民間債務を足した合計の債務が−14%。つまり政府債務が下がっている。ところが同時に国民所得は50%以上も下がっているぞ。」
つまり債務が下がると、国民所得はもっと下がる。だから民間の債務が下がっている時は政府の債務を増やさないと、国民の所得がは下がるぞ。
「いい加減、借金は良くないことだってのをやめなさい。」
といったんですね。エクルズはまたこう言いました。
均衡財政と言う人たちに
「あのね、財政の均衡が大事じゃなくて、経済の均衡が大事なんです。」
つまり、財政の収支が大事じゃなくて、経済の需要と供給が均衡することが大事なんです、ってことを言い続けまして、彼は政府の役割は補完的であるべきだというアイディアを出しました。
つまり、民間が投資や債務を減らしている時は、政府は増やす。民間が増やしている時は政府は減らす。ってことでトータルが減らないように、政府は常に民間と逆をやりなさい、ということなんですね。
その時に、フーバー大統領は日本でいう消費税を上げて健全財政化をしようとしてて、デフレを悪化させたんですが、
エクルズは消費税は減税すべきだ。むしろ貯蓄を溜め込んでいる金持ちに課税すべきだという風にエクルズは言いました。
それから「財政破綻するんだ!アメリカは財政破綻するんだ!」という意見にエクルズはこう言いました。
「自国民からお金を借りている限り、貧しくなることはあり得ない。」
日本もそうなんですね。日本も日本の国債は9割以上日本人が買っているんですが、それをエクルズは分かっているんですよ。自国民から借りているのになんで貧しくなるの?だと。
エクルズがこう言いました。
「もし我々アメリカ人が貧しくなるんだとしたら、それは経済成長が出来なること。」
つまりさっきの図、これですね。
デフレによって潜在成長率が破壊される事、これが貧しくなるのであって、債務が膨らんで貧しくなるんじゃないんだってふうにいったんですね。
これもエクルズはデータで言いました。
イングランド史。イングランドの歴史によると18世紀、イングランドはフランスと戦争をしていたので、戦争のためにいっぱい借金をした。
だから政府債務は5000ポンドから8億ポンドに激増したんですね。
そこで、当時のイギリスでも財政破綻だと言われたんですが、
「イギリスは全部ポンド建てでやっていたんですけれども、5000ポンドから8億ポンドまで激増しましたが、イギリスの財政は破綻したって記録ないんだけど。」って言ったんですね。
それから日本だと、財政出動は意味がないから、金融緩和をやるべきだ、という意見が多いんですけれど、エクルズはそれは無理だと言っています。
因みにエクルズは、ニューディールのアイディアを出したってことで、ルーズベルトに採用されて、彼はFRB、日本でいう日銀総裁、FRBの議長になったんですよ。
だから彼は金融も元々銀行家で詳しいんですけれど、彼は
「金融政策でデフレは脱却出来ない!」
と言ってますね。
それは経済学者は、まともな経済学者はこう言うんですよ。
「インフレの時に金利を上げるとインフレを抑止できるんですけど、デフレの時はみんなお金を溜め込むので、金利を下げてお金ジャブジャブにしても、無理だ」
って言うんですが、エクルズもそう言っているんですよ。
つまりこれは経済学者の間でこういっているんですね。紐では押せない。
紐で引っ張ることは出来ても、押すことは出来ない、ですよね。
それと同じでインフレの時にインフレ退治で金利を上げる事は出来るんですが、デフレの時に金利を下げるだけじゃ、デフレ脱却を出来ない。エクルズはそれを分かっていたんですね。
色々エクルズの話をしているとなかなか話が長くなっちゃうんで、最後にエクルズの言葉をいくつか紹介しましょう。非常にいいこと言っています。
まず、エクルズは当時は小さな政府は良い、と言われていたんですけれども、エクルズは「違うぞ、大きな政府の時代だ」ということでこういう言葉を残しています。
19世紀とか20世紀初頭までは小さな政府、市場メカニズムがいいんだってことになっていたんですが、エクルズはこう言ったんですよね。
現在の無秩序な経済がもたらした狂った混乱や恐怖の中で、われわれは、歴史上これにまでない大胆で勇気ある指導力を必要としている。
それから新たな経済哲学、新たな社会システムの根本的な変化が必要となっている。
19世紀の経済学、市場に任せればいいという経済学は役に立たない。150年の寿命が終わった。これからは自由競争や無制御な個人主義による資本主義システムはもう役に立たない。
つまり自由競争だ、個人の時代だってのは終わった。ってこれアメリカで言っているんですよ。と彼は言っている。
じゃあ何が必要かと。
われわれに欠けているのは資本主義的民主政治の本質に関する基本的な理解である。
どういう意味かっていうと彼はこのように言っているんですね。
これまでの自由放任のシステムは維持できない。つまりインフレになったりデフレになったり、変動が激しすぎるので、政府はインフレになったら止める、デフレになったらそれを止めるって風に、常に政府が動かなきゃいけない。で、デフレは失業とか大変な問題を一杯起こすので、民主主義国家じゃ維持できないと。だって失業者が一杯いたら民主主義もへったくれもないですよね。だから資本主義を守り、民主主義を守るために、政府の財政出動が必要だと言っているんですね。
これは実は当時アメリカは、デフレで失業者がいっぱい出ると、
「痛みを伴う改革だから仕方がない」「痛みに堪えろ」
と言っていたんですね。
日本でも言ってますよね。でもエクルズは
「痛みになんか堪えられるわけないだろ、オレ達生きているんだぞ、ふざけるな!」
ってエクルズは言っているわけです。
極めつけエクルズはこう言ってますね。当時この後アメリカは戦争するわけです。実は日本と戦争するんですけれども、こう言うんですね。
敵国との戦争から人命を守るために使われるのと同じ政府債務が、平時においては、失望と絶望から人命を守るためにも使われるのである。
つまり、政府債務は悪だ!国債は悪だ!財政赤字は悪だ!って言っている人に対してエクルズはこういうふうなことを言っているんですね。
敵と戦争して命がけで戦っている時に、財政赤字に心配するバカがあるか?
戦争に勝つ。国を守るためには財政赤字なんか心配しないでガンガンやる。当たり前だろ?それと同じだ。
デフレという許しがたい、恐慌という許しがたいものと戦うために財政赤字を惜しむなんてバカじゃないか。
だから日本はバカだって事なんですが、日本の場合はもっと酷い。
1000年に一度っていう震災が起きて、この震災と戦うために、人命を助けるために、財政出動をしなければならないのに、それも惜しんだんですね。
さてこういうふうなこと、戦争と戦うための能力がないのと同様に、恐慌と戦う政府の能力にも制限はない。
とエクルズは言いました。
つまり、大きな政府の時代が来たんですね。
エクルズの場合は、この様に考え方を抜本的にレジームチェンジを彼は考え方を変えることが出来て、ルーズベルトもそれに合わせて、変えたので、戦後アメリカは大恐慌から繁栄した、ということであります。
日本はそれが出来ていないから、まとめると、こういうことなんですね。
二つの政策レジームがあるということなんですね。
インフレ退治のデフレレジーム。それからエクルズ、ルーズベルトがやったデフレ退治のインフレレジーム。この二つがあるんですが。
日本はですね、デフレを心配しなきゃいけないのに、構造改革だ!構造改革ってのはデフレレジームですからね。財政健全化もデフレレジームなんですね。これでずーーーっとやってきて、これが正しいと、ずっと思い込んでだと。
だからなんです。平成の失われた20年、10年以上のデフレ。
この間出てきた人達、経済学者、みんなコレを言ったわけですね。それからエリート達はみんなコレです。
それから、政策通と呼ばれる政治家。彼らの政治通の政策ってデフレレジームの政策なんですよ。
デフレレジームに通じていたので政策通という。彼らはだからデフレを起こした。
改革派と呼ばれる人達、経済学者や官僚、古賀ですな。
改革派と呼ばれた官僚達の改革ってのはデフレを起こすための改革なんですよ。
だから政策通って呼ばれる政治家、改革派っていわれる官僚、みんなデフレレジームの中で評価される人達の意見を聞いたって、デフレから出られるわけがありません。
従って、政策通じゃない人、改革派じゃない人、これまで高い評価を得られなかった人、守旧派、抵抗勢力、反動、この人達じゃないとデフレは脱却出来ません。
アメリカにはエクルズという人がいました。さあ日本にそういう人が何人出てくるか、それにかかっていると思われます。
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<参考資料>
【参議院 国民生活・経済・社会保障に関する調査会】平成24年2月22日 京都大学藤井聡教授公述資料(PDF)